ワインに含まれる健康成分と言えば、ポリフェノール。血中のコレステロールを抑制したり、抗酸化作用があったりと“百薬の長”の名にふさわしい働きがあることで知られている。
そんなワインの成分だが、これから研究が進むにつれて注目を集めそうな成分がある。“エラグ酸”という成分だ。
エラグ酸とは?
エラグ酸とはベリー系やザクロなどにも含まれている天然ポリフェノールの一種。日本では厚生労働省からも認定を受けている成分だ。
ガンを抑制する効果、糖尿病を予防する効果、抗ウイルス効果、アンチエイジングや美白効果がある成分としてサプリメントなどに利用されている。
脂肪の燃焼を高める効果も?
米オレゴン州立大学の研究チームが発表した論文によると、ワインを飲むことで肥満や脂肪肝などの改善が期待できる可能性が出てきたようだ。
同研究チームによると、アメリカ南東部の固有種「マスカダイン」から抽出した4つの天然成分に人間の肝臓や肝細胞をさらしたところ、肝細胞内の脂肪酸の代謝を促進する働きにより、脂肪細胞の成長を抑え、新しく脂肪細胞ができるのを遅らせる効果があったという。
このとき、特に効果が目立ったのがエラグ酸だったそうだ。
さらにヨーロッパの品種ピノ・ノワールを使った、こんな実験も行っている。
高脂肪の食事で太らせたマウスに、高脂肪の食事とともにピノ・ノワールの抽出物を10週間与え、高脂肪の食事だけを与え続けたマウスと比較。ピノ・ノワールの抽出物を与えられたマウスは、そうでないマウスに比べて肝臓の脂肪の量が少なく、血糖値も低いことが分かった。
ただし適量に限る
今回マウスに与えたピノ・ノワールの抽出物の量は、人間に換算するとグラス1~2杯程度だという。
研究チームの指揮を執ったシェイ教授は、「ただし適量に限る」と強調した上で、「エラグ酸が人間にも効果があるかどうかはまだ分からない」とコメントしている。