ナポレオンやグレース・ケリー、ダ・ヴィンチなどなどが、淡い風合いで見事に再現されたアートがある。
2年かけて10作品を制作
コルクアートを1つ仕上げるには、2400個ものコルクが必要なのだとか。
1日1本ワインを飲んでも1年で集まるコルクは365個でしかない。作品作りにはレストランやワインスクール、ワイン愛好家が協力。10作品を制作するのに、約3万個ものコルクが集まったのだという。
作者であるソムリエの久保友則さんは、コルクアート活動を紹介するFacebookに「積み重ねて絵を書いたのは僕たちですが、飲んだのは皆さんです」と感謝の言葉を記している。
思い出を再利用
これらのアートが何でできているか分かるだろうか?
実は飲み終わった後の「コルク」を使って描かれたものだ。白や赤の違いだけではなく、ぶどう品種や熟成期間によっても変わる色の濃淡を利用して、絵を再現しているのだという。
コルクアートは、本来ならば捨てるはずのコルクを利用した作品だ。しかし、ワインとともに過ごした楽しい時間を、コルクは最初から最後まで目撃している。
つまり、コルクアートは単なる廃材アートではなく、「思い出の集まり」を利用したアートだと言える。
久保さん自身もコルクアートを始めたきっかけを、こんな風に説明している。
仕事をしている内にとくに意味もなく貯まっていったたくさんのコルク。 このワインは美味しかったな、この時は誰と飲んだな、この国で食べた料理とワインは美味しかったな、とか思い出すとなかなか捨てられなくて。 集まっていくたくさんのコルクを何かに使えないだろうか・・・ そうして始めたのがコルクアートでした。
(引用元:キャンプファイア)
1つ1つの作品に思い出が詰まっていることを考えながら、あらためて作品を眺めてみると、セピア色の作品がより一層ぬくもりを持つような気がしてこないだろうか。
ベネンシアを使った作品も
シェリー酒などを注ぐときに使うベネンシアを組み込んだ作品もある。
それが久保さんにとって9番目の作品、サルバドール・ダリだ。
髭の部分に使えなくなったベネンシアが再利用されている。さらにこのダリの作品には、両目にハートマークのコルクが使われているのだとか。
この作品はダリ美術館やスペイン大使館のFacebookアカウントにもシェアされており、世界の人をも驚かせている。
まずは東京での個展開催を目指す
コルクアートは、久保さんが勤める恵比寿のフランスワイン専門店「ラ・ヴィネ」のほか、都内のいくつかのレストランで見ることができる。
久保さんはさらにコルクアートの活動を広めるため、パリでの個展を目指しているという。まずは足掛かりとして、東京での個展開催に向け、キャンプファイアで支援を受け付け中だ。