コラム

ボジョレー・ヌーヴォー解禁日11月17日間近! 知っているとより楽しいボジョレーの基本知識

11月に入るとワイン好きはそわそわし始める。今年は誰のつくったどんなヌーヴォーを、どこで飲もうか。そんなことが頭をよぎる毎日が始まるからだ。

人気のあるお店は、ヌーヴォー解禁日の予約が取れないこともある。また、どんなヌーヴォーを提供するのかでお店のセンスが測られることもあると聞く。

今ではコンビニや大手スーパーにも並ぶボジョレー・ヌーヴォー。実は日本こそ、ボジョレー・ヌーヴォーの最大の輸出先だ。しかし、その内容はまさにピンからキリまで。工場で大量生産されるヌーヴォーもあるが、生産者の魂のこもった個性豊かなワインも多い。

Beaujolais Table

その年に採れたぶどうを収穫後約2カ月で仕立て上げたヌーヴォー。いかにバランスの良い味わいを追求できるかが、つくり手の腕の見せどころだ。

そんなボジョレー・ヌーヴォーについて、「知識編」と「つくり手編」の2回に分けてご紹介しよう。

ボジョレーについて

ボジョレーとは、フランス・ブルゴーニュ地方の最も南に位置するワイン産地。ブルゴーニュで最大の面積を誇る。ブルゴーニュの他の地方とは異なり、ガメイ種を使用した軽快な赤ワインが多くつくられている。

北部は花崗岩土壌で、レベルの高い「クリュ・デュ・ボジョレー」が生産される。南部はより肥沃な土壌を持ち、AOCボジョレーやAOCボジョレー・ヴィラージュがつくられる。

Beaujolais - Fleurie

ボジョレー・ヌーヴォーができるまで

ボジョレー・ヌーヴォーの解禁日が「11月第3木曜日」と制定されたのは、比較的最近の1984年のことだ。

もちろんそれまでも、収穫したばかりのフレッシュなぶどうを使ってつくった新酒は地元を中心に広く楽しまれていたが、解禁日が決まってからはパリを中心に多くの都市でも楽しまれるようになった。

9月に収穫したぶどうを使用し、たった2カ月で醸造・瓶詰めされるわけだが、「マセラシオン・カルボニック(炭酸ガス浸潤法)」という製法がそれを可能にしている。

通常なら破砕したぶどうを発酵させるところ、この製法ではぶどうを破砕せずタンクにどんどん入れていく。次第に下部のぶどうが重さでつぶれ、果汁が出て自然に発酵が始まる。発酵により炭酸ガスが生成され、タンク内に炭酸ガスが充満。つぶれていないぶどうの内部でも化学変化が起き始める。色素は果皮から抽出され、途中からは白ワインのように醸造する。

この製法を使用すると、色づきは良いが味わいはライトで、渋みや苦味が少ないワインが出来上がる。逆にこの方法を採らないと、色づきが薄く、苦味や酸味ばかりが強い新酒ができてしまうというわけだ。

Beaujolais_3

ボジョレーのランク

前述のように、ボジョレー地方にはボジョレー、ボジョレー・ヴィラージュの他、非常に良質な産地として認定されたクリュ・デュ・ボジョレーが10クリュ存在する(クリュ・デュ・ボジョレーはサン・タムール、ジュリエナス、シェナス、ムーラン・ナ・ヴァン、フルーリー、シルーブル、モルゴン、レニエ、ブルイィ、コート・ド・ブルイィ)。この中にはムーラン・ナ・ヴァンのようにボジョレー産のガメイを使用したとは思えない力強いものもあり、個性のあるワインがつくられている。

Beaujolais night

次回では、ボジョレーの中でも有名なつくり手と個性的なつくり手を中心にご紹介していく。産地とつくり手を知っていただいたら、きっとちょっと格上のボジョレー・ヌーヴォーにもチャレンジしたくなることだろう。ぜひ、お楽しみに。

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About the author /  Yayoi Ozawa
Yayoi Ozawa

フランス料理店経営ののち、ワインとグルメ、音楽を専門とするライターへ転身