コラム

「ボルドー」と言えば”赤”ではなく”白”だった!? 復権狙うボルドー・辛口白ワイン

フランスの中でもワインの銘醸地として知られるボルドー。「ボルドー」でつくられるワインの種類を問われたら、カベルネ・ソーヴィニヨンやメルローなど、複数の黒ぶどう品種をブレンドした赤ワインを挙げる方が多いだろう。

ところが、ずっと昔のボルドーをよく知る人は、「ボルドーのワインと言えば?」と聞くと「辛口の白ワイン」を思い浮かべる人の方が多いようなのだ。

実は、「ボルドー」=「赤ワイン」というイメージが定着したのは、ここ最近のこと。1969年まで、ボルドーでは白ワインの方が赤ワインよりも多くつくられていたという。

そんなボルドーの白ワインに関するさまざまな知識について、ボルドーワイン委員会が2017年11月に開催したワークショップ「芸術のワインBordeaux White」で教わってきた。

ワイン業界では近年、「ボルドーの辛口白ワインは品質が向上している」と評価が高まってきているという。意外と知られていないボルドーの辛口白ワインの世界、これから一緒にのぞいていこう。


香りを豊かにする分子の発見が、ボルドー辛口白ワインの進化を促した

ボルドーで辛口白ワイン用のぶどうを育てている畑の面積は9000haほど。ボルドーの全栽培面積から見ると、約8%を占める。2016年の辛口白ワインの生産量は6860万本。ボルドー全体では年間7億本前後のワインが生産されているため、約1割が辛口白ワインとなる。

アントル・ドゥー・メール、グラーヴ、ペサック・レオニャンなど13のアペラシオンが認められ、日本でも毎年200万本以上のボルドー辛口白ワインが愛飲されている。

冒頭で触れたように、1度は赤ワインに圧倒されたボルドーの白ワインだったが、「白ワインの法王」とも呼ばれた醸造家で研究者のドゥニ・デュブルデュー氏が、1990年代にソーヴィニヨン・ブランの香りの豊かさをもたらす分子を発見。それ以降、「ソーヴィニヨン・ブランをベースとする白ワインの品質を向上させるためには、ぶどう栽培から醸造に至るまで、どのようにすれば最善なのか」と科学的なアプローチで最適解を探れるようになり、ボルドーの白ワインは大きく前進することとなった。

Denis Dubourdieu (II)

早飲みタイプか、熟成タイプか。ボルドー辛口白ワインは2グループに分かれる

ボルドーの辛口白ワインは、大きく2つのグループに分かれることになる。

1つは、アントル・ドゥー・メールやボルドー、コート・ド・ボルドーなどのグループ。爽やかで果実味豊かな味わいが特徴で、若いうちに飲むのがおすすめ。醸造にはステンレスタンクを使用して、熟成期間は短めだ。

Vineyard, Entre-deux-Mers

もう一方は、ボルドーの中でも、グラーヴやペサック・レオニャンでつくられる辛口白ワイン。しっかりしたストラクチャーがあって繊細。複雑な、花のような、果実味豊かなアロマを感じられる。中には8年以上の長期熟成に耐えられるものもある。

France 2017 - Chateau Olivier - Pessac-Leognan

9割近くを占めるソーヴィニヨン・ブランとセミヨンの2品種

そうしたボルドーの白ワインに使われるぶどう品種の代表格と言えば、ソーヴィニヨン・ブランとセミヨンだ。白ワイン用ぶどう品種の栽培面積で見ると、セミヨンが47%、ソーヴィニヨン・ブランが42%とこの2品種だけで9割近くを占めている。

Sauvignon Blanc & Akelei

このほかの主なぶどう品種の栽培面積は、ミュスカデルが6%ほど。残る5%で育てられているのが、コロンバール、ユニ・ブラン、ソーヴィニヨン・グリといったその他の品種だ。

ボルドーの辛口白ワインは、赤ワインと同様、こうしたぶどう品種からつくった単一品種のワインをブレンド(アッサンブラージュ)することで仕上げていく。

このアッサンブラージュこそ、辛口白ワインのみならず、ボルドーのワインを語る上で欠かせない技法となる。

ボルドーの辛口白ワインのつくり手たちは、どのような工夫をしながらアッサンブラージュしているのか、後日掲載する記事にて詳しく取り上げたい。

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