コラム

イギリスで最も販売されたチリワイン。常に革新を追い求め、ハイコスパワインを生み出すコノスル ~ 解説:チリ名門ワイナリー

   

チリの名門ワイナリーを紹介する本シリーズ。今回は、環境に配慮したワインづくりとコストパフォーマンスに優れたワインで高く評価されている「コノスル」について、ご紹介していこう。

コノスルのエピソード

1993年に創設されたコノスルは歴史の浅いワイナリーだが、産するワインに対する世界の評価は高い。1990年代後半に、ロンドンのワイン店やスーパーマーケットで扱われるようになると、値段とは釣り合わないその味わいに人々は驚いたという。そして瞬く間に人気を博し、2001年にはイギリスでもっとも販売されたチリワインとなった。

イギリスの雑誌「ドリンクス・インターナショナル」でも高評価を得ている。同誌では毎年、ワイン業界最難関の資格を有するマスターオブワインやソムリエなど200人以上の専門家の投票によって決定する「最も称賛されるワインブランド」を発表している。その投票でコノスルは、品質の信頼性やコストパフォーマンスの高さなどから、マスターオブワインの半数以上から票を得た。さらに、ほかのワイン誌や世界各国のコンクールで150以上の賞を受賞するなど高い評価を得ている。

Cono Sur Vineyards

コノスルの歴史

コノスルは、1993年に設立された。コノスルとは「南向きの円錐」という意味で、「南向きの円錐の形をした南米大陸から、世界に向けてニューワールドワインの魅力を発信していく」という思いが込められている。

コノスルは「家系図を持つような伝統もない、埃を被ったヴィンテージボトルもない、あるのは品質の高いワインのみ」というポリシーを持っている。そのポリシーのもと、革新的発想や技術でニューワールドを伝える、表現豊かなワインをつくり、成長してきた。

1993年の設立当初、輸出量は3万ケースだったが、10年後の2003年には160万ケース、2005年には200万ケース超と拡大し、輸出量において大手チリワイナリーの1つに成長した。

Cono Sur Sparkling Wine

コノスルのワインづくり

進歩的なワインづくり

コノスルのワインづくりの特徴として、恐れることなく革新的なことを追い求める進歩的なワインづくりが挙げられる。

周りから異質な目で見られながらも、コルク臭対策として、1995年に合成コルクをいち早く導入した。さらに2002年にはチリで初めてスクリューキャップを採用。さらに、今では珍しくなくなったサステナブル農法や有機栽培などを、時代に先駆けて取り入れたりもした。

醸造施設にも最先端の設備を備えており、コルチャグアヴァレーのチンバロンゴにあるワイナリーでは、温度管理されたステンレススチールタンクで1200万リットルのワインを生産できる。温度と湿度が管理された熟成用セラーには4000個の樽が貯蔵されている。さらに1999年には、ピノ・ノワールを醸造するため特別に設計された別館を建設し、続いてピノ・ノワール専用のセラーも建設。そのセラーでは最大53万リットルの生産が可能だ。

Cono Sur sala de barricas Chile

地球環境に配慮したワインづくり

コノスルは、地球環境保全に積極的なワイナリーでもある。化学物質を使用しない有機農法や、化学物質を可能な限り使用しないサステナブル農法を早くから導入。アヒルに虫の駆除をさせるなど、自然の力を借りることで、自然のサイクルを尊重したぶどう栽培をしている。

コノスルのワインボトルに描かれている自転車は、自転車でぶどう畑にやってくる農夫たちへの敬意と、自然サイクルを尊重したぶどう栽培を表している。

さらにコノスルは、二酸化炭素削減を推進するイギリスのカーボン・ニュートラル社のカーボン・オフセット事業に参加。生産や運搬、施設の運営などワイン生産によって発生する二酸化炭素の排出量を、植林や自然エネルギーの導入などで、相殺(オフセット)し、二酸化炭素排出量を実質ゼロにしようと取り組んでいる。

カーボン・オフセット事業に対してコノスルが提供した資金は、カーボン・ニュートラル社によってトルコの風力発電に投資されている。この資金提供により、コノスルは、「コノスルのワインが世界各国に輸送される際に排出される二酸化炭素が、実質ゼロになっている」というカーボン・ニュートラル・デリヴァリーの認証を受けている。

Cono Sur Santa Elisa Estate

コノスルのおすすめワイン

Cono Sur Visión

ヴァラエタルシリーズ

コノスルのワインの中で最も手頃な価格のシリーズ。しかしながら、十分な飲みごたえがあり、コストパフォーマンスに優れたワインと評されている。

オーガニック シリーズ

有機栽培されたぶどうを使用したワインシリーズ。化学薬品を全く使用していないことを証明するBCSエコ認定を受けた畑で栽培されたぶどうを使用している。

20バレルシリーズ

コノスルの最高級シリーズ。それぞれのぶどう品種の特徴を引き出すのに最適な土壌と気候に恵まれた特別な畑で栽培したぶどうを使用している。収穫量を制限することで深みと凝縮感が増したワインに仕上がっている。

オシオ

ピノ・ノワールの最高級品。フランス、ブルゴーニュ地方のドメーヌ・ジャック・プリュールの協力のもとつくられたチリで最高峰と評されるプレミアム・ピノ・ノワール。ぶどうは丁寧に手摘みされた後、冷蔵コンテナでワイナリーまで輸送される。手作業で選別し、最良のぶどうだけを使用。フレンチオーク100%の新樽で12ヶ月熟成してつくられる。

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