コラム

これから伸びるワインのパッケージは――ハーフボトルが人気に?|Sopexa「WINE TRADE MONITOR 2018」

世界のワイン市場についてリサーチを行うSopexaが2018年10月9日、「WINE TRADE MONITOR(ワイントレードモニター) 2018」を発表した。この調査では、アメリカ、日本、中国、香港、ベルギー、カナダの主要6市場の輸入業者、卸売業者、小売業者を含む781の専門家を調査対象とし、今後2年間の市場展開と傾向を予測している。

今回は、同調査結果の「パッケージのトレンド展望」にポイントを絞って紹介する。

パッケージのトレンド展望

アジア市場ではボトルワイン、北米ではボックス入りや缶入りタイプが需要増か

WINE TRADE MONITORでは、ワインの入れ物やラベルについての調査も実施している。入れ物については、アジア市場は従来同様にボトルに対する支持が強かった。特に、ハーフボトルやそれ以下の容量が好まれる傾向にあり、調査対象者の約67%がそれらの売り上げが伸びていると回答している。一方、北米では、調査対象者の40%以上がボックス入りや缶入りタイプの需要増が見られるとしている。しかし、中国やベルギーでは、ボックス入りや缶入りタイプの支持は10%未満となっている。

デジタル技術を導入したラベル

Internet
今回の調査で、アジアの調査対象者は、デジタル技術を用いたパッケージングやラベルの導入が消費者へのアピール方法として有効だとの見方を示している。ネットの情報に頼る傾向が強い地域では、ネットでワインの原産地や品質の信頼性、トレーサビリティーといった情報を入手できることで消費者が安心し、売り上げの伸びにつながるとしている。

Sopexaの中国担当者Augustin Missoffe(オーガスティン・ミソフ)氏は、デジタル技術を導入したパッケージングについて次のように述べている。
「中国のように急速な変化を遂げている国では、日常生活がデジタル化され、消費者はインターネットに頼る生活を送っている。消費者との関係を維持していくには、さまざまなデジタルチャネルの活用が欠かせない。“online-to-offline”あるいは“O2O”と呼ばれるネット上の情報や活動が実店舗での購買行動に影響を与えるという考え方が話題となっているが、“online and offline”“O+O”、すなわち“オンラインマーケティングとオフラインマーケティングの融合”という発想も登場し、注目を集めている。例えば、コネクテッド・パッケージング技術の導入により、消費者はネットを通じ、パッケージにインプットされたワインの生産地、仕入れ業者などの情報、さらには相性の良いレシピやおいしく飲むためのヒントなどを得られる。レストランでの食事の際、気に入ったワインがあれば、その場でスマートフォンを使ってオーダーし、自宅へ直接配送するといった手続きも可能だ。
物流面では、生産者から実際にワインを楽しむ最終消費者に至る全過程を追跡できる。中国でいち早くこのコネクテッド・パッケージング技術を採用し、スマート・ラベルの導入を開始した企業の1つに、ワインメーカーのPernod Ricard(ペルノ・リカール)がある。消費者はスマートフォンや携帯電話をワインのラベルにかざすだけで、そのワインに関するさまざまな情報にアクセスできるのだ」

さらに、上海の企業間取引(B2B、BtoB)顧客関係管理ソリューション企業MadeForGoodsのCEOであるThomas Morisset(トーマス・モリセット)氏も、コネクテッド・パッケージング技術の重要性について次のように説明する。
「中国ではワインカンパニー最大手10社のうち9社が、自社で扱うワイン数種にそれぞれ固有のQRコードを表示し、情報・サービスを提供している。こうしたスマート・ラベリング技術の導入範囲はメーカーによって異なるが、企業間取引(B2B)または企業対消費者取引(B2C)を問わず効果が確認されている。中でも、『Wechat(微信)』というアプリでQRコードをスキャンすると、そのワインが本物かどうかを確認できるといった活用法が最も一般的となっている。中国では特にPenfolds(ペンフォールズ)やMaison Castel(メゾン・カステル)といったメーカーのワイン、Jacob’s Creek Moscato(ジェイコブス・クリーク マスカット)などのワインにこのサービスを導入し、効果が得られている」

また、その他にも、次のような例を挙げている。
「中には、B2Bアプリ(取引先等企業向けアプリ)を開発し、卸売業者や小売業者、バー、レストランなど顧客からのロイヤルティーの向上を図っているブランドもある。中国に伝わる“紅包(ホン・バオ)”と呼ばれるお年玉を渡す習わしをヒントに、Wechatアプリで顧客向けプロモーションを手掛け、今後製品購入時に割引サービスが受けられるクーポンを発行したり、ロイヤリティープログラムの一環としてボーナスポイントをプレゼントしたりする企画を実施しているブランドもある」

このように、アジア市場でデジタル技術を導入したパッケージングが積極的に導入されている一方で、北米やベルギーでは普及が遅れている。北米やベルギーでは、調査対象者のおよそ半数が、デジタル技術の導入による実質的な付加価値は全く得られていないとしている。特にアメリカでは、調査対象者の18%が、ワイン販売にこうしたデジタル技術を活用するという考え方が浸透していないと回答した。

<関連リンク>
【WINE TRADE MONITOR 2018】世界のワイン市場トレンド分析と展望を発表

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