コラム

日本ではわずか50本! 150周年記念の「キュヴェV」、老舗シャンパーニュ・メゾン「カナール・デュシェーヌ」がリリース

1868年創業、2018年に150年周年を迎えたシャンパーニュ・メゾン「カナール・デュシェーヌ」。手掛けたシャンパーニュはフランス国内の小売店で2番目に売れているという大変有名なメゾンだ。

そんなカナール・デュシェーヌの150周年を記念した「キュヴェV 2010 エクストラ・ブリュット」が2018年11月27日、日本でもお披露目となった。発表会場で語られた開発秘話、リリースまでのエピソードを紹介していこう。


災禍に見舞われた2010年ヴィンテージの魅力を最大限に引き出した

それまでになかったタイプのキュヴェをつくろうというプロジェクトがカナール・デュシェーヌで動き出したのは2010年のこと。テーマは、「新しいアッサンブラージュ」。醸造責任者のローラン・フェドゥ氏は、「カナール・デュシェーヌの正統なスタイルでありながら、2010年ヴィンテージの良さを最大限に引き出すアッサンブラージュ」を追求したと言う。

シャンパーニュ地方の2010年は、春まではぶどうが順調に生育していた。ところが7月の暴風雨、8月の大雨により、ぶどうは壊滅的ダメージを受けた。それに加えて、灰色カビ病とベト病の影響を受けたぶどうも多かった。手間は掛かっても、広範囲から収穫して丁寧に選果する必要があった。

結果として醸造量を少量に絞ることとなり、この記念すべき新たなキュヴェはマグナム7000本のみの生産となった。

「キュヴェV」、“V”に込められた意味

新たに誕生したキュヴェは、「キュヴェV」と名付けられた。「V」には次のような意味が込められている。
・Victor Canard(創業者)
・Vintage(生産年)
・Victory(勝利)
・Vigneron(自らぶどうをつくり醸造する人)

キュヴェV は8年前に仕込まれたシャンパーニュだが、若々しくフレッシュな外観だ。絶え間なく、きめ細やかな生き生きした泡が立つ。味わいは、柑橘系の焼き菓子のように甘酸っぱく香ばしい。トースト、ブリオッシュ香が芳醇だ。


キュヴェVは今後の熟成の可能性も大きく、長く楽しめる見通しだ。

熟成香のような香りがあるが、これは樽を使っているわけではない。シャンパーニュに使われているピノ・ノワール由来の香りが、熟成香をほうふつとさせるそうだ。

今回は創業150年記念として発売されたが、今後も良いヴィンテージ、「キュヴェV」にふさわしいヴィンテージがあれば、生産する計画だという。

今回リリースした「キュヴェV」にはすべてシリアルナンバーが振られ、全7000本のうち日本国内で販売されるのはたったの50本だ。

どこかで出会えたらぜひ、味わってみてほしい。カナール・デュシェーヌ150年の英知がぎゅっと詰まった美味を味わえるだろう。

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About the author /  Yayoi Ozawa
Yayoi Ozawa

フランス料理店経営ののち、ワインとグルメ、音楽を専門とするライターへ転身