コラム

日本ワイン用ぶどうの作付面積を拡大、「あくまでも質を追及」する姿勢で ~事業方針から見えたサントリーの思い

サントリーワインインターナショナルは、2020年1月21日に「2020年事業方針説明会」を開催した。その中で、国内外で高い評価を受けている、自社の日本ワインについても語られた。

ブームともいえる日本ワインだが、サントリーの日本ワインの販売数量は前年を下回る結果となった。しかし、サントリーは前向きだ。

3つのワイナリーがつくる、3つのラインアップ

サントリーが持つ日本のワイナリーは、山梨県甲斐市にある「登美の丘ワイナリー」、新潟県上越市の「岩の原葡萄園」、長野県塩尻市の「塩尻ワイナリー」の3カ所だ。

これらのワイナリーで、自園産のぶどうを100%使用した「登美の丘ワイナリー」シリーズを中心に、契約農家とつくる「塩尻ワイナリー」シリーズ、「ジャパンプレミアム」シリーズのラインアップを取りそろえている。

販売数量低下の背景に、国内外の高い評価が

国内ワイン事業全体を見ると、国内市場でのワイン消費が減る中で、対前年度102%という結果を出したサントリー。しかし、日本ワインの販売数量だけで見ると、岩の原葡萄園を含めても、日本ワインの販売数量は対前年72%となっている。

理由の1つは、サントリーの日本ワインが国内外の賞を受賞したこともあり、2018年の販売数量が対前年119%と大きく伸長したこと。その結果、一部商品の出荷調整を実施することとなり、2019年に販売できる数量が限られてしまった。

「あくまでも量より質を追求」した日本ワインを

サントリーの日本ワインづくりは、自園を中心に、青森県、山形県、山梨県、長野県の契約農家、そして2016年に立ち上げた自社の農業生産法人による長野県と山梨県でのぶどう栽培が支えている。

サントリーでは、「良いワインをつくるためには、良いぶどうづくりが欠かせない」と考えている。少しずつ生産量を増やし、安定して供給できる体制を整えていきたいと考えているが、良いぶどうづくりに必要なのは、土地の気候や条件だけではない。人材やワインづくりへの思い、技術、努力が重要となる。

自園や契約農家と一緒につくったぶどうにこだわっていくため、量を大きく増やすことはできないのだという。

「日本の風土を知り、100年の研鑽を重ねた技術を注ぎ込み、世界を感動させる日本ワイン」をつくるため、あくまでも量ではなく、質の追及をしていくとのことだ。

作付面積を2025年までに1.5倍へ

サントリーには、山梨県と長野県に農業生産法人があり、山梨県(甲斐市、中央市)と長野県(坂城町、立科町、塩尻市)でぶどう栽培を行っている。2019年のぶどう作付面積は自園(登美の丘、岩の原)が31ha、農業生産法人が15haだが、2025年までに農業生産法人の作付面積を2倍以上の36haにしたいという考えだ。

現在は農地の獲得などを着々と進めており、人材の確保や醸造のしやすさを含めて場所を検討している。

2019年も質の高さが認められた

「登美 赤 2014」は、2018年に続き、「インターナショナル・ワイン・チャレンジ(IWC:International Wine Challenge)2019」で金賞を受賞。2018年には、日本ワイン部門の最高賞であるトロフィーを受賞して注目を集めた。

また、「登美の丘 甲州 2017」は、「デキャンター・ワールド・ワイン・アワード(DWWA:Decanter World Wine Awards)2019」でプラチナ賞を受賞。日本を含むアジアから出品されたワインで唯一の受賞となった。

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About the author /  鵜沢 シズカ
鵜沢 シズカ

J.S.A.ワインエキスパート。米フロリダ州で日本酒の販売に携わっている間に、浮気心で手を出したワインに魅了される。英語や販売・営業経験を活かしながら、ワインの魅力を伝えられたら幸せ