コラム

2020~21年のワイン市場、日本ワインが過去最高の成長へ ~WINE TRADE MONITOR 2019

SOPEXAは2020年2月7日、ワインの主要生産国や輸入国を対象とし、世界におけるワインのトレンドと市場予測を調査したレポート「WINE TRADE MONITOR(ワイン・トレード・モニター)2019」を発表した。

同レポートの発表は、今年で8回目となる。今回は、イギリスとドイツが加わり、ベルギー、中国、香港、日本、アメリカの7市場を対象に調査が実施された。

今後のワインのトレンドや市場動向は、どのようなものになると予測されているのだろうか。984の輸入業者、卸売業者、小売業者が参加した調査の結果と、ワインのトレンドについて紹介する。

ワインの市場動向

最も人気のワイン生産国は、全調査市場でフランス、イタリア、スペインの3カ国となった。調査結果によると、この中でも特にイタリアが、2021年に最も売り上げを伸ばす見通しだという。

イギリス市場に対する「ブレクジット」の影響

イギリス経済に深刻な影響を及ぼすとされる、欧州連合(EU)からの離脱、通称「ブレクジット(Brexit)」。一方で、ワイン市場への影響については、楽観的に考えている人が多いようだ。

調査結果によると、ブレクジットの影響でイギリスのワイン市場が縮小すると予測した人は、回答者の44%と半数に満たなかった。

また、回答者の多くが、ブレクジットの影響で、イギリスへの南半球のワイン輸入が増えると考えている。仮に、ヨーロッパ産ワインの輸入が減少しても、南半球からの輸入ワインが埋め合わせとなるかもしれない。

日本ワイン、過去最高の成長へ

ワインの人気が年々高まる日本は、今やワインの輸入大国だ。日本のワイン市場はバラエティに富んでおり、イギリスに次いで2番目に最も多様な生産国のワインを取り扱っている。

そんな日本のワイン市場だが、回答者の49%が成長すると回答している。そのけん引役となるのは、フランスワインでもイタリアワインでもなく、日本ワインとなりそうだ。

同調査では、回答者の40%が、フランスやイタリアのワインよりも、日本ワインが売り上げを伸ばすと予想している。しかも、本調査に参加した貿易専門家によると、国産ぶどう100%でつくられた日本ワインの売り上げは、過去最高の成長を記録する見込みだという。

日本ワインの売り上げ上昇について、SOPEXA Japon & AustraliaのマネージングディレクターLoïc Brunot氏は、「日本でのワイン生産は、ヨーロッパのワイン、特にフランスワインの人気が高まり始めた70年代から発展してきた。その後ワインの品質が向上し、地元のワイン業者、そして消費者の注目を集め始めたのはごく最近のことだ」と語る。

その上で、「今日では、日本ワインが国内市場のワインコーナーやレストランで明らかに存在感を増している。また、地元のワインを求める消費者や、2020年のオリンピックの機会を活用してワインのプロモーションをする生産者の努力により、その需要が増加している」とコメントしている。

ワインのトレンド

赤ワイン

調査結果によると、フランスのボルドー、ラングドック、ブルゴーニュ、ローヌの4地域の赤ワインの生産が拡大することが見込まれる。

イギリス市場では、アルゼンチンのメンドゥーサに注目が集まっている。中国と香港では依然として、ボルドーワインの人気が非常に高い。ドイツ、ベルギー、日本では、ラングドックワインへの関心が高まる見通しだ。

ブルゴーニュワインは全体で3位にランクインし、香港での需要が高まると回答者の3分の1が答えている。

白ワイン

ニュージーランドのマールボロとフランスのロワールの2地域の白ワインが、過去2年間と同様に最も市場成長が期待されている。

それらに続くのは、ベルギーと日本で販売が好調なラングドックの白ワインと、アジアで人気を集めているブルゴーニュの白ワインだ。

ロゼワイン

調査に参加した専門家の67%が、ロゼワインの中ではプロヴァンス産のものが、ベルギーを除く全ての市場でトップの販売数となった。全市場を合わせても、トップ3の販売数になると予測している。

ラングドックのロゼワインも回答者の57%に支持され、継続的な成長が見込まれている。

イタリアのロゼワインは、アメリカとイギリスを除く全ての市場でトップ3の販売実績が予測されている。

一方、アメリカでは、ロゼワインの売り上げは苦境に陥る見通しだ。

スパークリングワイン

全ての市場でトップ3の販売数になると予測されるのが、イタリアのスパークリングワイン「プロセッコ」だ。

その他のスパークリングワインは、市場ごとに成長予測が大きく異なる。ドイツとイギリスでは「クレマン」、日本とアメリカ、ベルギーでは「カバ」、中国と香港では「シャンパン」の成長が見込まれている。

この他に、オーガニックワインとバイオディナミック農法でつくられたワインが台頭する見込み。また、イギリスとドイツでは、低アルコールワインが好評を博するとのことだ。

【関連リンク】
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