コラム

「知ってもらう」はもう卒業! 新フェーズに突入した長野ワインの今を楽しむ ~NAGANO WINE FES in 東京2020

56ものワイナリーが拠点を構え(2020年1月時点)、ワイン産出県として存在感を増しつつある長野県。2020年2月9日には、7回目となる「NAGANO WINE FES in 東京2020」が帝国ホテル 東京(東京都千代田区)で開催され、長野県内にある33のワイナリーが自慢のワインを提供した。

「長野県のワインを知ってもらう」ことを目的にスタートしたこのイベントだが、今年からは「NAGANO WINEを選び、買ってもらう」ことに目的をシフト。「自宅に連れて帰ってもらえるワイン」「店で注文してもらえるワイン」といった自信とともに、数々のワインが提供された。

花開く「信州ワインバレー構想」

開会のあいさつで登壇した阿部守一長野県知事は、「『信州ワインバレー構想』は着実に花開いている」とし、その手応えを示した。「信州ワインバレー構想」とは、長野県産ワイン(NAGANO WINE)のブランド化と県内ワイン産業の発展のため、長野県が策定したものだ。

信州ワインバレー構想では、長野県のワイン産地を「桔梗ヶ原ワインバレー」「日本アルプスワインバレー」「千曲川ワインバレー」「天竜川ワインバレー」の4地域に分けて、それぞれのテロワールを生かしたワインを産出している。

乾杯に登壇したのは、「ヴィラデスト ガーデンファーム アンド ワイナリー」のオーナーであり、信州ワインバレー構想推進協議会の会長を務める玉村豊男氏。2015年にぶどう栽培とワイン醸造、ワイナリーの経営を学べる「千曲川ワインアカデミー」をスタートさせ、NAGANO WINEの発展に寄与した人物だ。

玉村氏は、「機会があれば長野県に来てもらい、つくった人の思いときれいな風景を眺めて、味わいを新たにしてもらえたらと思う」と、長野の地とつくり手たちへの思いを語った。

2019年ヴィンテージの出来栄えは?

今回のイベントでは、いくつかのワイナリーが2019年ヴィンテージを提供していた。2019年は日本各地で悪天候に悩まされたが、ワインへの影響はあったのだろうか。「セラーキタムラ」の代表取締役で、長野県原産地呼称管理制度の官能審査委員を務める北村秀雄氏は、2019年ヴィンテージについて次のように語ってくれた。

「2019年前半は天候が良かったものの、途中で雨に悩まされた。早熟のぶどうに関しては難しいところもあったが、晩熟型のぶどうについては場所によって非常に良いものができている。これから熟成させていくので、楽しみなところだ。白ぶどう品種の栽培は厳しく、栽培家や醸造家の腕が試される年だったが、みんな頑張ったなという印象がある」

雨に悩まされたからこそ、2019年ヴィンテージはワイナリーの個性や技術が楽しめる出来栄えになったようだ。

7回目を迎えたイベントの変革

「知ってもらう」から「選び、買ってもらう」へシフトした今回のイベント。乾杯の前には“最初の1杯”を求めて、「Rue de Vin(リュードヴァン)」や「楠わいなりー」のブースに行列ができた。顔なじみの来場者をワイナリーが迎えるといういつもの光景が見られたが、7回目となる今回のイベント自体には、大きな変革があった。

事業者向け試飲会を拡大

まず、2019年は1時間ほどだった、レストランや小売店などを対象にした事業者向け試飲会を3時間に拡大。入場者数も増やしたがチケットは事前に完売し、約300人が来場した。多くの“ご縁”が生まれたという。

一般向け試飲会でチケットが値下げ

事業者向け重視に変更されたことにより、一般向け試飲会の開催回数が2回から1回となり、軽食がチケット制からビュッフェ方式になった。それに伴い、2019年は7000円(当日7500円)だった前売りチケットが、5000円(当日5500円)へと値下げになった。

メニューは、シュタンベルクの信州ジビエを使ったソーセージやテリーヌ、ホクトのきのこのフリカッセ、木の花屋の「王滝かぶ甘酢漬け」「サラダピクルス」、NAGANO WINEを練り込んだ「信州ワインブレッド」など

より身近で参加しやすいイベントになったこともあり、2019年12月7日から発売された一般チケットは、2020年1月17日には早々に完売した。

県庁内に創設された営業局

2019年4月には、長野のいいものをPRするだけではなく、販売推進を目的とした営業局が長野県庁内に創設された。また、長野県観光機構が酒類販売業免許を取得し、長野県産のワインやシードルを都内や県外、そして海外に向けて営業しているところだという。

老舗から新規まで、NAGANO WINEの“今”を感じる

当初は25のワイナリーでスタートした、NAGANO WINE FES in 東京。2019年からヴィンヤード(ぶどう栽培家)の出展はなくなり、ワイナリーのみとなったが、それでも今回は33のワイナリーが出展している。

県内には、老舗や国内外での受賞歴を持つワイナリーなど、名の知れたところも多い。2019年9月には、山梨県の勝沼、長野県の桔梗ヶ原に続く、「シャトー・メルシャン」の3つ目のワイナリーとして、上田市に「シャトー・メルシャン 椀子ワイナリー」がオープンしている。

一方で、ワイナリーの数は年々増えており、2019年には11の新規ワイナリーが誕生。そうした新しいワイナリーや、個人・家族で経営しているワイナリーの中には、「知ってもらいたい」と参加しているところも多い。

老舗から新規まで、長野県にあるワイナリーが一堂に集まった会場は、「知ってもらいたい」と「買ってもらいたい」というそれぞれの思いがあふれ、まさしくNAGANO WINEの“今”を感じる空間だった。

NAGANO WINE応援団の代表で、長野県観光機構の魅力発信プロデューサー(ワイン)を務める花岡純也氏は、「このイベントを通じ、よりNAGANO WINEを買いやすい環境を整えていきたい」と語った。

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