コラム

20代の若手醸造家3人が手掛けた「ホップ×スパークリングワイン」の楽しみ方とは?

メルシャンは2020年4月22日、売れ行きが好調なカジュアルスパークリングワインの新商品「メーカーズレシピ スパークリング ウィズ ホップ」のWEB発表会を開催した。同社初となるオンラインでの開催だ。

「ワインとホップのスパークリングワイン」という新商品は、20代の若手醸造家3人が手掛けたものだという。この記事では、その新しさや楽しみ方のポイントを紹介する。

カジュアルスパークリングとは

カジュアルスパークリングとは、「飲みやすい」「買いやすい」「使いやすい」にこだわり、スパークリングワインをもっと日常で楽しめるものとしてメルシャンが定義した新しいカテゴリーだ。「何を飲んだらいいか分からない」「きちんとした作法が必要」という、ワインに対して消費者が抱いている心理的なハードルを下げ、ワインの間口を広げることが期待されている。

その代表的な商品となるのが、「おいしい酸化防止剤無添加ワイン シードル」。2019年3月の販売開始から1年以上経ったが、売れ行きは大変好調で、若い世代や普段はワインを飲まない層に受け入れられている。

●こだわりポイント1:飲みやすい
ワインのアルコール度数は通常12~14%だが、カジュアルスパークリングは10%以下と低めだ。さらに、ワイン独特の渋味や酸味を抑え、ワイン初心者にも楽しめる味わいを追求している。

●こだわりポイント2:買いやすい
スパークリングワインというと、特別な日やクリスマスなどに飲むもので値段も高いというイメージがあるが、カジュアルスパークリングは価格帯もお手頃。家でのくつろぎのひとときにも、気軽に楽しむことができる。

●こだわりポイント3:使いやすい
多くのスパークリングワインに使われているマッシュルーム型のコルク栓は、慣れていないと開けにくく、リキャップできないので、「1本(750ml)を飲み切らないといけない」というイメージがある。カジュアルスパークリングは、 開けやすくてリキャップしやすいスクリューキャップを採用している。また、さまざまな食事に合わせやすいことも使いやすいポイントだ。

2020年は販売数量前年比2倍を目指す

2019年に販売数量11万ケース(換算量:500ml×12本)となったカジュアルスパークリング。2020年は、その2倍の22万ケースを目指すという。

「おいしい酸化防止剤無添加ワイン シードル」に加え、2020年2月には「おいしい酸化防止剤無添加ワイン グレープフルーツシードル」が通年販売になり、同年5月下旬にはパッケージがリニューアルされた「ビストロ スパークリング」シリーズが発売予定だ。

これに加え、今回発表となった「メーカーズレシピ スパークリング ウィズ ホップ」が同年6月2日に新発売となり、ラインアップに仲間入りする。

これらのラインアップで、さまざまな飲用シーンでの提案を図り、カジュアルスパークリングカテゴリーとしての市場活性化を図っていくという。

「ホップ×スパークリングワイン」とは

「メーカーズレシピ スパークリング ウィズ ホップ」とは、スパークリングワインにビールの原料であるホップを浸潤させた変わり種ワインだ。

ワインの醸造技術と梅酒の製造方法を活用した漬け込む浸漬技術を併せ持つメルシャンと、ビール開発でのホップ活用技術を持つキリングループとのタッグにより実現した。“今までにない”をキーワードとしたスパークリングワインだ。

実現したのは20代の若手3人

“今までにない”商品を実現したのは、メルシャンとキリンホールディングスの3人の若手醸造家だ。

この商品を思いついたのは、メルシャン藤沢工場で普段は原料評価をしている赤宗行三さん(写真右)。海外でワインとさまざまな飲み物を組み合わせて楽しんでいる文化を体験し、ワインとビールの組み合わせに面白みを感じたことがきっかけだ。これまでビールの製法でぶどう果汁を使っていたり、ワインの製法でビールの材料を使っていたりするものはあっても、日本人の味覚には合わないという問題点があった。

このアイデアを基に、キリンホールディングスの飲料未来研究所で商品開発を担当する洞口萌実さん(写真中央)が、ホップのフルーティな香りがありながらも絶妙な苦みを楽しめるレシピをつくった。

そのレシピを実際の商品に落とし込む製造方法の開発に成功したのが、メルシャンの製造担当である林諒子さん(写真左)だ。

このように、3人は甘味・酸味・苦み・香りのバランスに徹底的にこだわり、日本人の味覚に合う味わいに仕上げた。

商品に込めた3つのこだわり

1つ目のこだわりは、「ワイン」。ホップに一番合うワインとして、果実感のある白ワインを選んだ。

こだわりの2つ目は、スパークリングワインに浸潤させる「ホップ」。キリンホールディングスの飲料未来研究所の協力の下、このコンセプトに最も合うアメリカ産ホップを探し出した。

3つ目は、素材の量を最大限に生かす「浸漬製法」だ。ホップの量が少なかったり浸漬時間が短かったりするとホップの香りが立たず、かといって、ホップの量が多かったり長すぎたりすると苦味が出過ぎてしまう。程よいホップの香りや苦味にたどり着くまでに、何回も失敗をしながら製造方法を模索したという。

赤宗さんはWEB発表会内で、「ワインをもっと気軽に飲めるものにしたい、日本のワイン文化に広がりをもたらしたい、という共通の思いがあった。これが実現したら、今までにない、日本のワイン文化に広がりをもたらす商品になると信じて3人で取り組んだ」と開発当時を振り返っている。

なぜホップを選んだのか

若手醸造家3人がつくったこの新商品のターゲットは、20代後半から40代の年齢層だ。若者のビール離れが進む中で、あえてホップを選んだのは理由がある。それは、近年のクラフトビール人気だ。

クラフトビールの支持層は幅広いが、主に30代を中心とした世代に受け入れられている。メルシャンの前田宏和マーケティング部長は、「今までにない味わいや手づくり感が支持されている理由ではないか」と考えているそうだ。

今まで日本になかったホップとスパークリングワインの組み合わせも、若い世代のワインユーザー拡大につながるのではないかと期待しているという。

「メーカーズレシピ スパークリング ウィズ ホップ」の楽しみ方

今までにないホップを使ったスパークリングワインは、楽しみ方も独特だ。

スパークリングワインを飲むときにはワイングラスを用意するものだが、この商品はタンブラーでも楽しめる。

筆者宅には透明なタンブラーがなかったため焼酎グラスを使用したが、バランスの良い甘みと酸味、苦味のバランスを十分に楽しめた。グラスを選ばずに手軽に楽しめる商品であることは間違いない。

グリーンな香りとかんきつの香りが広がり、苦みは心地よく、後味にはすっきりとしたぶどうらしい後味が残る。ビールの味や香りが苦手だという人でも楽しめそうだ。アルコール分は8%と通常のワインよりも控えめだが、ホップの苦味が飲みごたえを与えてくれるので、物足りなさは感じない。

料理と一緒に楽しむのがおすすめ

「メーカーズレシピ スパークリング ウィズ ホップ」は、スーパーに並ぶ定番の惣菜や居酒屋料理とよく合う。マリアージュのポイントは、塩味が強く、脂を多く含んでいる料理を選ぶことだ。

デザートにも合う

食後のひとときを楽しむワインとして、デザートと合わせてみるのもおすすめだという。バームクーヘンやチョコレートなど油脂が入っているものやナッツの皮が入って苦味のあるものと合わせるのがポイントだとしている。家にあるさまざまな食べ物で、マッチングを楽しんでみるのも良さそうだ。

「メーカーズレシピ スパークリング ウィズ ホップ」は、2020年で3万ケース(500ml×12本)の販売を目標としている。参考小売価格は610円(税別)。話のタネにもなるので、ビールや酎ハイの代わりにオンライン飲み会の1本に選んでみてはいかがだろうか。

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