コラム

「黒猫ワイン」を知ってる? キュートなラベルで猫型ボトルのタイプも[動物ワイン]

ワイン好きの中には、その味わいだけではなく、ラベルやボトルのデザインなども楽しみにしている人もいると思う。

ワインのつくり手はそれぞれ、ラベルやボトルのデザインにこだわっているものだ。その中でも、安旨ワインの代名詞となりつつあるチリの「アルパカ」のように、動物をモチーフとしてデザインしたワインがいくつかある。

ワイン好きにとっても、動物好きにとってもチェックしておきたい動物をモチーフとしたワイン。一体どんなものがあるのか、これから何回かに分けて紹介していきたい。

ドイツ生まれの「黒猫ワイン」

動物をデザインに採り入れたワインの一例として、「黒猫ワイン」と呼ばれるワインが挙げられる。特に有名なものは、ドイツでつくられている白ワインだ。

何種類か世に出ている黒猫ワイン。その中にはラベルに黒猫が描かれているだけではなく、猫の形を模したボトルに詰められたものもある。

I Can Has Riesling?

黒猫ワインは見た目がかわいいだけではなく、非常に飲みやすい。ワイン初心者やワインが苦手な人でも楽しめるワインだ。

通称ではなく本当に「黒猫ワイン」だった!

黒猫ワインは、ドイツのワイン生産地・ライン川流域のツェル・モーゼル地区に位置するツェルで生産されている。

黒猫ワインの名称は、「ツェラー・シュヴァルツェ・カッツ」。ドイツ語で「ツェラー」は「ツェル村の」、「シュヴァルツェ」は「黒」、「カッツ」は「猫」を表す。つなげると「ツェル村の黒猫」となる。商品名自体が「黒猫ワイン」なのだ。

Zeller Schwarze Katz Riesling

スペインやフランスなどでつくられているワインにも、ラベルに黒猫が描かれているものはある。しかし「黒猫ワイン」という名に最もふさわしいのは、ドイツのツェルでつくられているこの「ツェラー・シュヴァルツェ・カッツ」だろう。

「黒猫」という名の由来は?

黒猫ワインという名前がつけられたのには、ある言い伝えが背景にあるようだ。

昔、ワイン商人がおいしいワインを探してツェル村にやってきたことがある。そしてワイン商が「どのワインを買おうか」とワイン樽を物色。最高のものを決められずにいると、1匹の黒猫がある樽に飛び乗って商人を威嚇した。

Zeller Schwarze Katz

ワイン商人は「この黒猫は、おいしいワインを守ろうとしているのだ」と考え、その樽を買い付けることにした。後から試してみたところ、非常においしいワインだったという。

そんな出来事があったことから、そのワインの原料となったぶどうが採れる畑のことを「黒猫」と呼ぶようになったそうだ。

この言い伝えが本当かどうかはわからないが、ツェラー・シュヴァルツェ・カッツが「黒猫」と呼ばれる畑から収穫したぶどうを使っていることは確かだ。そして黒猫ワインのラベルには、地域名として「ツェラー」、畑名として「シュヴァルツェ・カッツ」と表記され、黒猫の絵が描かれている。

ラベルだけでなく品質も優れた黒猫ワイン

このような逸話を持つ黒猫ワイン。ワインラベルのコレクターの中には、黒猫ワインのラベルのかわいさに魅了された人も多いようだ。「ツェラー・シュヴァルツェ・カッツ」を手掛けるつくり手は同地区に複数いる。それぞれがかわいらしい黒猫を描いたラベルを用意しているので、収集癖をさらに刺激されるのかもしれない。

そんな黒猫ワインの肝心の味わいはどうなのだろうか。前述のとおり、複数のつくり手がツェラー・シュヴァルツェ・カッツを送り出しているが、その味わいは基本的に、果実味が豊かで甘味があり、アルコール度数が低め。そのため、ワイン初心者や、ワインに苦手意識のある人でも飲みやすいワインとなっている。

初心者に飲みやすいだけではなく、品質もしっかりしている。ツェラー・シュヴァルツェ・カッツは、ドイツのワイン法で最高級のQ.m.P(生産地限定格付け高級ワイン)、あるいはQ.m.Pに次ぐQ.b.A(生産地域限定上級ワイン)に指定されているものが多い。そのため、ワインの味わいにうるさい上級者にも楽しめる1本だとも言える。

1968 - Zeller Schwarze Katz (Mosel)

このようにラベルのかわいさだけでなく、品質も兼ね備えた「黒猫ワイン」。価格もお手頃なものが多く、さまざまな面から楽しめるワインと言えるだろう。

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