コラム

「ナパの奇跡」と呼ばれたケンゾーエステイトを設立した辻本憲三氏 [日本人がワインで世界を驚かせた]

野球やサッカーなどのスポーツの分野では、世界で活躍する日本人選手の名前が多くの人に知られている。

一方、新聞やテレビで大きく取り上げられることはあまり多くないかもしれないが、ワインの分野に目を向けてみても「世界で活躍する日本人」は確かにいる。海外を拠点として世界中の愛好家をうならせるワインのつくり手など、世界中のワイン関係者から注目されている日本人もいるのだ。

今回は、世界をうならせるワインをつくる日本人の1人として、ケンゾーエステイト(KENZO ESTATE)を設立した辻本憲三氏のことをご紹介したいと思う。

Kenzo Estate

「ナパの奇跡」と呼ばれるワイン

2008年、ワイン界に素晴らしいワインが登場した。アメリカ・カリフォルニア州のナパ・ヴァレーからケンゾーエステイトの初ビンテージワインとなる「紫鈴 rindo」「紫 murasaki」「藍 ai」が送り出されたのだ。これらのワインは「ナパの奇跡」と言われるほど、世界中から高い評価を受けた。

Kenzo Estate - Napa

この「ナパの奇跡」と呼ばれるワインで世界を驚かせたのが、辻本憲三氏だ。

「辻本憲三」という名前を聞いて、中にはピンとくる人もいるかもしれない。辻本氏は「ストリートファイター」「モンスターハンター」「バイオハザード」といった人気ゲームを開発したカプコンの創業者で、現在は会長兼CEO(最高経営責任者)を務めている。

ゲーム業界の成功者である辻本氏、ゲームに続いてワインの世界でも名を上げたのだ。

畑づくりから始めたワインづくり

栄光を手にした人が、ステータスとして伝統あるワイナリーの所有者になるケースは比較的よくある。しかし、辻本氏の場合は既存のワイナリーを買収するのではなく、自らワイナリーを立ち上げ、畑づくりから始めた。

事の始まりは、アメリカで「子どもが家の中でゲームばかりしているのは良くない」といった批判が渦巻き始めたことだった。それなら「屋外のアミューズメントパークを」と、カリフォルニア州のナパ・ヴァレーに470万坪の土地を子会社に購入させたのだと言う。ただ、その経営はうまくいかず、最終的に、辻本氏が個人でその土地を買い取ったのだ。

ナパ・ヴァレーでは1990年代ごろから、生産量を抑えて品質を高めた超高級ワイン「カルトワイン」がつくられている。辻本氏も、そうしたカルトワインをつくろうと考えた。

Kenzo Estate

しかし、初めてつくったワインはおいしかったが、カルトワインとしては物足りなかった。そこでカルトワインに使われるぶどう栽培の名人として名を馳せていたデイヴィッド・アブリュー氏と、ワイン評論家のロバート・パーカー氏から「ワインづくりの女神」と称された醸造家のハイディ・バレット氏と手を組み、畑の土の状態を変えることから取り組み始めた。せっかく育ったぶどうの木を引き抜き、土を掘り返して最高の畑をつくることにしたのだ。

そして辻本氏が土地を手にしてから10年以上の歳月を経て、「ナパの奇跡」と呼ばれるほどのワインが誕生することになった。

Kenzo Estate

手に届くカルトワインを!

高品質で生産量が少なく、人気が高い。多くのカルトワインは、当然のように一般人では手が届かないような高価な値がつくようになる。

しかし、辻本氏は「最高のワインをみんなに飲んでもらいたい」と考え、値段はぎりぎりまで抑えているという。

確かに簡単に手が届く価格ではないが、ちょっと頑張れば手が届く価格ではある。また、価格的にも量的にも手が届きやすくするためにハーフボトルも生産している。

参考までに、KENZO ESTATEのオンラインショップでは、「紫鈴 rindo 2014」はフルボトルで1万3000円(税別。以下同)、ハーフボトルで6500円、「紫 murasaki 2013」はフルボトルで3万円(完売)、「藍 ai 2013」は3万円(完売)となっている。

Kenzo Estate

ケンゾーエステイトのぶどうの木は、まだ若くこれからさらに円熟味を増していく。専門家たちは、円熟味を増したときにできるケンゾーエステイトのワインの味わいを、今から楽しみにしているという。

日本人の辻本憲三氏がカリフォルニアのナパ・ヴァレーに立ち上げたケンゾーエステイト。これから一層の飛躍を遂げるワイナリーとなりそうだ。

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