コラム

「ジョルジュ デュブッフ ボジョレー ヌーヴォー」テイスティングセミナー(後編)~2022年の新酒の味わいは?

毎年、多くの人が楽しみにしている、ボージョレ・ヌーボー。2022年の解禁日は11月17日だ。この日、サントリー ワインカンパニーは、「ジョルジュ デュブッフ ボジョレー ヌーヴォー」テイスティングセミナーを開催した。

セミナーでは、同社輸入・カジュアルワイン事業部のチョウ・アンジ氏と生産者であるジョルジュ デュブッフから取締役のアドリアン・デュブッフ・ラコンブ氏が登壇し、ボージョレ・ヌーボーについての基礎知識や2022年の作柄、ワインの出来栄えなどについて解説があった。

【関連記事】「ジョルジュ デュブッフ ボジョレー ヌーヴォー」テイスティングセミナー(前編) ~2022年は史上トップレベルのヴィンテージが完成!

後編となる本記事では、「ジョルジュ デュブッフ オレンジ ヌーヴォー 2022 セレクションド デュブッフ」「ジョルジュ デュブッフ ボジョレーヌーヴォー 2022 セレクションド デュブッフ」の味わいや、それぞれのワインに合うおすすめ料理を紹介する。

「ジョルジュ デュブッフ オレンジ ヌーヴォー 2022 セレクションド デュブッフ」(左)と「ジョルジュ デュブッフ ボジョレーヌーヴォー 2022 セレクションド デュブッフ」(右)

ジョルジュ デュブッフ オレンジ ヌーヴォー 2022 セレクションド デュブッフ

「ジョルジュ デュブッフ オレンジ ヌーヴォー」は、今年で3年目を迎える。最初にリリースした年は新型コロナウイルス感染症が拡大した年で、アドリアン氏はその後の動きを心配していたそうだ。しかし今や人気のワインとなり、2022年ヴィンテージも素晴らしいオレンジワインが出来上がった。

両方の良いところを生かしたワイン

オレンジワインは、白ぶどうを使って赤ワインの製法でつくるワインだ。

ワインをつくる際、ぶどうをすり潰した後、白ワインは果皮や種を取り除くが、オレンジワインは赤ワインのように皮や種ごと果汁を発酵させる。そのため、白ぶどうの果実味や甘みと、赤ワインが持つコクと渋み、両方の良いところを併せ持っている。

味わいとペアリング

外観は金色を帯びたオレンジ色で、熟したスモモやかんきつ系フルーツを口に含んだようなジューシーさがある。2022年ヴィンテージの特徴はオレンジの皮を思わせる心地良いほろ苦さで、スパイスを使ったエキゾチックな料理、ショウガやネギ、ニンニクなど土に近い素材との相性が良い。

◆ペアリング例
生春巻き。中に入れる具はサーモンでも良いが、アドリアン氏のおすすめはエビ。ネギやショウガをたっぷりかけた油淋鶏(ユーリンチー)も合う。

左上:生春巻き、左下:油淋鶏、右下:ヤンニョムチキン

「ジョルジュ デュブッフ オレンジ ヌーヴォー 2022 セレクションド デュブッフ」
ぶどう品種:グルナッシュ・ブラン
アルコール度数:12%
参考価格:4070円/750ml(税込)、3190円/375ml(税込)

ジョルジュ デュブッフ ボジョレーヌーヴォー 2022 セレクションド デュブッフ

“ボージョレの帝王”ことデュブッフ氏の、秘伝のブレンド技術から生まれた、ジョルジュ デュブッフの顔とも言えるヌーボー。2022年ヴィンテージは、自社畑の比率を増やしたブレンドになっている。

味わいとペアリング

生き生きとしたルビー色の外観。口に含むと、フランボワーズのような赤いベリーやイチゴのような甘みが広がる。軽やかな酸味でタンニンはまろやか。2022年ヴィンテージは、特にぶどうの糖度が高かったため、イチゴよりさらに甘いイチゴジャムの雰囲気もある。甘辛い味わいの料理にとても良く合う。

◆ペアリング例
軽くフルーティーな味わいなので、和食をはじめ、さまざまな料理に合わせられる。2022年ヴィンテージには甘辛いソースを絡めたヤンニョムチキンがおすすめ。オレンジワインで紹介した油淋鶏、カツオなど赤身の魚、白カビチーズも良く合う。

「ジョルジュ デュブッフ ボジョレーヌーヴォー 2022 セレクションド デュブッフ」
ぶどう品種:ガメ
アルコール度数:13%
参考価格:3850円/750ml(税込)、3080円/375ml(税込)

飲用時の適温や保管について

ボージョレ・ヌーボーは、赤ワインながらタンニンが少なめで、爽やかな酸味があるため、飲む時の温度は10℃前後が適している。冷蔵庫の野菜室で3時間程度、氷水で冷やすなら20分くらいでちょうど飲み頃の温度になるそうだ。

また、保管しない前提でつくっているワインなので、年内に飲み切るようにしたい。

ボージョレ・ヌーボーと温暖化

2022年のボージョレ地方は、良いぶどうをつくるのに適した天候だったが、暑さが非常に厳しかったとの話から、ジョルジュ デュブッフの温暖化対策について会場から質問が上がった。

同社でも、温暖化が進むことで、ボージョレ・ヌーボーが持つ軽さやフレッシュさなどの味わいが変わる可能性があることを懸念している。

対策として、古い樹を守ってぶどうの平均樹齢を上げる取り組みをしている。古い樹は若い樹よりも根が長く、地下の水を吸い上げやすいため、耐久性があり温暖化に適していると言える。また、ワインのアッサンブラージュをする際、土壌の立地を検討したり、北側の農家からぶどうを買い付けたりといった工夫をして、生産するワインの方向性がぶれないようにしているそうだ。

2022年もボージョレを楽しもう!

アドリアン氏が生まれたリヨン地方では、ボージョレ・ヌーボーは、凝った料理ではなく、チーズやシャルキュトリ(ハムやソーセージなど食肉加工品全般)などのシンプルなおつまみと共に、友人たちと楽しく飲み交わすスタイルだという。

皆さんも、家族や友人と深まる秋を感じながら、2022年のボージョレ・ヌーボーを気軽に味わってみてはいかがだろうか。

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