コラム

ブリス|テロワールをシンプルかつ緻密に引き出す、グラン・クリュ・ブジー最古のメゾン ~「フィラディス 泡フェス!2024」生産者レポ④

フィラディスは、シャンパーニュの試飲イベント「フィラディス 泡フェス!2024」を、2024年4月8日に大阪、同月10日に東京で開催した。フィラディスの考える「アルチザン・シャンパーニュ」に該当する6人の生産者が来日し、それぞれのシャンパーニュを提供した。アルチザン・シャンパーニュのコンセプトについては、下記の記事で紹介している。

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今回は、来場していた生産者のうち、ブリス(Brice)について紹介する。

ブリスとは

来場していた12代目当主のジャン・ルネ・ブリス氏

ブジー村最古の家族経営メゾン

ブリスは、1764年から続く、ブジー村最古のメゾン。現在は、グラン・クリュ(特級畑)であるブジーに8ha、プルミエ・クリュ(1級畑)のシニー・レ・ローズなどに4haの自社畑を所有し、家族経営で畑を守っている。

12代目当主を務めるジャン・ルネ・ブリス氏は、HVE(環境価値重視認証)で最も取得が難しいHVE3を取得し、ぶどう畑を完全にオーガニックに移行させた。さらに、シャンパーニュ屈指の醸造家クリストフ・コンスタン氏を招致し、積極的に設備投資するなど、シャンパーニュの品質向上を目指しながら、ワインづくりを次世代に引き継いでいこうとしている。

テロワールを重視したワインづくり

今回来場していたジャン氏は、ブリスのワインづくりについて「一番大切にしているのはテロワールです。テロワールに敬意を払わなくてはいけません」と話してくれた。醸造は区画ごとに行い、同じ区画内でブレンドをすることでテロワールを表現している。

また、最大限に成熟させたぶどうを収穫し、ボトルに果実の全てを詰め込んでいるとのこと。そのために、酸味を和らげるマロラクティック発酵(MLF)を注意深く避け、清澄は行わないなど、シンプルながらも細かいことを積み重ねているそうだ。

ブリスのワイン

エリタージュ

ヴィンテージ:NV
品種:ピノ・ノワール70%、シャルドネ30%
熟成:ステンレス、木樽
瓶内熟成期間:42カ月
ドザージュ:4g/L
希望小売価格:7600円(税別)

ブリスのフラッグシップワイン。ドザージュ(補糖)を控えめにし、ガス圧を通常よりも低くするなど緻密な醸造で、食事に合わせやすいワインにしているとのこと。

ジャン・ルネ・ブリス氏は、「主体であるピノ・ノワールのフルーティーさとフレッシュさ、香りのバランスの良さ、上品さが、エリタージュをどんなシーンでも合わせやすい1本にしている」と話してくれた。

エリタージュ・ウー・ペール・ナチュール

ヴィンテージ:NV
品種:ピノ・ノワール70%、シャルドネ30%
熟成:ステンレス、木樽
瓶内熟成期間:12カ月以上
ドザージュ:0g/L
希望小売価格:8600円(税別)

こちらは、「エリタージュ」と同じブレンドだが、ステンレスタンクと木樽での熟成期間が長い。「エリタージュ」がおよそ1年の熟成と3年の瓶内熟成をするのに対して、こちらは2年の熟成と12カ月以上の瓶内熟成をしている。そのため、より樽感と熟成感を反映した味わいとなる。

シャンパーニュでは、同じブレンドでドザージュをしないワインをつくる生産者が多いが、ブリスではドザージュをしない分、より手をかけて醸造しているとのこと。

流通が限られたシャンパーニュも

会場では、流通先が非常に限られているという、出会えたらラッキーなワインも味わうことができた。

ブラン・ド・ノワール ブジー パルセル・ル・ポトー

ヴィンテージ:2019
品種:ピノ・ノワール100%
熟成:ステンレス、木樽
瓶内熟成期間:42カ月以上
ドザージュ:0g/L
希望小売価格:1万9800円(税別)

こちらはブジーの区画ル・ポトーにある、樹齢45年以上のぶどうを使用した1本。1年の熟成、42カ月以上の瓶内熟成を行い、ブジーらしさが感じられるシャンパーニュに仕上げている。

会場でも存在感を示していたブリス。大阪会場では、醸造家のクリストフ・コンスタン氏も来場していたそうで、日本市場を大切にしていることが伝わってきた。

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About the author /  鵜沢 シズカ
鵜沢 シズカ

J.S.A.ワインエキスパート。米フロリダ州で日本酒の販売に携わっている間に、浮気心で手を出したワインに魅了される。英語や販売・営業経験を活かしながら、ワインの魅力を伝えられたら幸せ