日本において2015年にはフランス産を抜いて、輸入量トップに輝いたのがチリ産のワインだ。
こんな日本のチリワイン人気は、世界的に見ると珍しい現象のようだ。ブルームバーグに掲載された世界各国の意外なワインの好みを紹介した記事で取り上げられている。
日本では、なぜこんなにチリワインが人気なのだろうか。他の国の意外なワインの好みとともに紹介したい。
日本人がチリワインを好きな理由
日本でチリワインがウケている理由は、安くて飲みやすく、さらにおいしいというコストパフォーマンスのよさだろう。
チリや南アフリカといったワインのニューワールドでは、現地の人件費の安さや、気候がぶどう栽培に適し、伝統にとらわれないワインづくりができる。その中でも、日本で特に安く手に入るのがチリワインだ。
チリワインは、なぜ日本で安く手に入るのだろうか。
日経ビジネスの記事によると、チリワインの輸入量は10年間で7倍に増加した。そのきっかけは2007年9月に結ばれたEPA(経済連携協定)だという。これにより他国には15%(または1リットル当たり125円)かかっている関税が、2019年4月の関税ゼロに向けて、段階的に引き下げられているため、日本ではチリワインが安く手に入るのだ。
北イタリアの人はシャンパン好き
フランスのシャンパーニュ地方でつくられ、規定の条件を満たしたもののみが名乗ることを許されるシャンパン。イタリアでつくられるスパークリングワインは、スプマンテやフリッツァンテと呼ばれている。
参考記事:「プロセッコ」「スプマンテ」「カヴァ」の違いはこれ!――覚えておきたいスパークリングワイン用語~イタリア・スペイン編~
シャンパンとスプマンテでは発酵方式も違っているのだが、北イタリアではスプマンテではなくシャンパンの方が好まれる傾向があるようだ。
また、北イタリアに位置するロンバルディア州東部のフランチャコルタでは、シャンパンと同じ瓶内二次発酵方式でつくられた「フランチャコルタ」を生産している。
スウェーデン人はイタリア産アマローネが好き
ヴェネト州のヴァルポリチェッラでつくられるアマローネは、2~6カ月ほど陰干ししたぶどうを絞った後、樽の中で2~6年間熟成し、その後、瓶の中で1~3年間熟成させてつくるワインだ。
時間をかけてつくられたアマローネは、芳醇でほのかな甘みを感じるワイン。アルコール分は16%と若干お高めだ。
もともとスウェーデンでは、イタリア産ワインへの評価が高かったそうだ。アマローネも例外ではなかったが、毎日飲むには価格が高かった。現在では同じつくり方をした安いワインが、ミニアマローネとして人気だという。
フランス人はポートワイン好き
発酵途中にアルコール度数の高いブランデーを加えてつくるポルトガル産のポートワイン(酒精強化ワイン)。
フランスと言えば、もちろんワインの名産地を多数抱え、ワイン文化の豊かな国。他国のワインを好むとは意外だが、ポートワインの輸入量はフランスが世界一だ。しかも第2位のオランダと比べると、ほぼ2倍の量になるという。
コクのある甘口のトゥニーポートやホワイトポートを良く冷やし、食前酒としてよく飲んでいるようだ。
フランスでも酒精強化ワインは何種類かつくられているが、甘口のものやとろりとした口当たりが楽しめるデザートワインとして、食後に楽しむことが多いという。