同じワインでも、アルコール度数にはかなりバラツキがある。アルコール度数5%程度のものから、15%を超えるものまでさまざまだ。
こうしたアルコール度数の差は、どうして生まれるのだろうか? その理由を取り上げてみよう。
発酵の度合い、ぶどうに残る糖分で決まるアルコール度数
ワインの製造過程において、アルコールはぶどうに含まれている糖分から生まれる。つまり、使用するぶどう品種に含まれている糖分の量や、アルコール発酵をどこまで進めるかというサジ加減によってアルコール度数が決まってくるわけだ。
代表的なワインのアルコール度数はどのくらいなのか、Wine Follyがインフォグラフィック「Alcohol Content in Wine」にまとめている。その内容を踏まえ、アルコール度数が低いワイン、平均的なアルコール度数のワイン、最高レベルのアルコール度数のワインは次のとおりだ。
Original Source: Alcohol Content in Wine | Wine Folly
▼アルコール度数が低い(10%以下)ワイン
5~6.5% モスカート・ダスティ
7~8% ドイツのリースリング
モスカートを使った低アルコールワインとしては、サンテロの弱発泡性白ワイン「ドゥエ‼」(アルコール度数2%)などがある。
▼平均的なアルコール度数(10~13.5%)のワイン
10.5~12%アメリカ/オーストリア/オーストラリア産のリースリングワイン
11.5~12.5% ランブルスコ
12~13% ピノ・グリージョ/ピノ・グリ
12.5~13% ソーヴィニヨン・ブラン
また、日本の固有品種である「甲州」や「マスカット・ベリーA」からつくったワインもアルコール度数は11~12%程度のものが多い。
▼アルコール度数高め(13.5~15%)のワイン
13~14% ピノ・ノワール、ボルドー(赤)
13.5~14.5% シャルドネ
13.5~15% カベルネ・ソーヴィニヨン、マルベック、サンジョヴェーゼ、フランス産のシラー
14~15% シラーズ、アメリカ産のシラー
14.5% ソーテルヌ
14~15.5% グルナッシュ、ジンファンデル
15% ミュスカ
▼最高レベルのアルコール度数、15%を超えるワインも
さらにアルコール度数が最高レベルになっているワインとしては、アメリカのワイナリー「ランチョ・ザバコ」の「SONOMA VALLEY MONTE ROSSO ZINFANDEL」はアルコール度数16%、ロンバウアーの「ROMBAUER ZINFANDEL」はアルコール度数15.9%。オーストラリアのモリードゥーカーが出しているシラーズ「The Boxer」はアルコール度数16.5%と、ワイナリーによっては15%を超えるワインを出しているところもある。
白ワインは赤ワインと比べて発酵温度が低く、アルコール発酵が早めに止まる。そのため、アルコール度数の高いワインには赤ワインが多い。
収穫の時期で差が生まれることも
アルコール度数を高くするためには、糖度の高いぶどうが必要になる。
ぶどうの糖度を高めるために「収穫時期を遅らせる」という手法を採ることもある。普通の収穫よりも最低でも1週間ほど遅らせると、糖度の高い完熟したぶどうを収穫できる。
遅摘み(シュペートレーゼ)とも呼ばれるこの方法は、昔から甘口のワインをつくるために採られていた手法だが、最近では高い糖分を利用した高アルコールワインの製造手段としても使われている。
逆に早く収穫されたぶどうは、酸味が高くてすっきりと味わえる糖度だ。アルコール度数が低く、フルーティな白ワインや爽やかなスパークリングワインへと姿を変える。
アルコールを強化した酒精強化ワインも
この他にも、ワインを醸造する際にブランデーなどのアルコールを添加したものがあり、「フォーティファイドワイン(酒精強化ワイン)」などと呼ばれている。
代表的なものには、
・シェリー(スペイン):アルコール度数15度以上~
・ポートワイン(ポルトガル):アルコール度数16.5~22度
・マデイラワイン(ポルトガル):アルコール度数17~22度
がある。
こうしたワインの種類別のアルコール度数を覚えておいて、その日の気分・体調に応じて飲むワインを選べるようにしておけば、今よりさらにワインをスマートに楽しめるようになることだろう。