コラム

サッポロビール、「グランポレール北海道北斗ヴィンヤード(仮称)」開園で自社畑面積が2.6倍以上に ~ 「ワイン事業をビール事業に次ぐ第2の柱に」

サッポロビールは2018年4月19日、日本ワイン「グランポレール」向けのぶどうを育てる新ヴィンヤードを、北海道北斗市に開園すると発表した。

サッポロビールの高級日本ワインブランド「グランポレール」

グランポレールとは、サッポロビールが手掛けるラグジュアリーな日本ワイン。北海道、長野、山梨、岡山の4つの産地で育ったぶどうを使ったワインで、産地の個性を感じられる「プレミアムシリーズ」、畑の個性を表現した「シングルヴィンヤードシリーズ」、そしてグランポレールらしいおいしさを追求した「スタンダードシリーズ」があり、品種・風味ともに多彩なワインを生み出している。

日本ワインコンクールでは、「山梨甲州樽発酵2016」が2年連続金賞・部門最高賞を受賞。Asian Wine Review 2018では、「甲州辛口2016」と「山梨甲州樽発酵2016」が金賞を受賞するなど、国内外で高い評価を受けている。

グランポレールの2017年の販売実績は、約2万9500ケース。2018年は販売目標金額を150億円(前年比110.6%)に設定し、現段階で売れ行きは順調だという。

高品質なぶどうの確保が課題に

グランポレールのみならず、日本ワインは受賞歴の増加、品質の向上、オリンピック前に訪日観光客が増えていることなどの理由により、注目度が高まっている。

右肩上がりに販売量が増えるのに伴い、大きな課題となっているのが「ぶどう原料の供給不足」だ。

サッポロビールによると、高品質なワイン用ぶどうを栽培し、国内原料を確保することが今回の新ヴィンヤード開園の目的だという。

北海道北斗市三ツ石に開かれる新ヴィンヤード「グランポレール北海道北斗ヴィンヤード(仮称)」は、山を見上げ、津軽海峡を見下ろす風光明媚な土地にある。

北斗市が新ヴィンヤードに選ばれた理由としては、
・高品質なぶどうを生み出せる気候条件や土壌を備えている
・効率的な作業を可能にする広大な土地がある
・都市部が近く、栽培の担い手の確保も期待できる
・サッポロビールの創業の地である北海道の土地である
などが挙げられるという。

記者発表に出席した北斗市の池田達雄市長は、「この土地では古くからりんごやぶどうなどを栽培しており、農業が盛ん。ここでの農業のノウハウを、サッポロビールにも提供していきたい」とバックアップを約束した。

北斗市 池田達雄市長(右)とサッポロビール 髙島英也代表取締役社長(左)

自社畑最大となる新ヴィンヤード

北斗市の新ヴィンヤードの面積は25.4ha。2018年4月現在のサッポロビールの自社畑は、これで41haとなる。既存の安曇野池田ヴィンヤード(12.6ha)と長野古里ぶどう園(3ha)を合わせても15.6haだったことから、サッポロビールの自社畑は、2.6倍以上に拡大することになる。

予定されている栽培品種はメルロー、シャルドネ、ソーヴィニヨン・ブラン、シラーなど。「栽培は適したものを見極めていきたい。期待感もすごくある」と森本真紀ワイン事業部長はコメントしている。

今年から整地・造成を始め、2022年にファーストヴィンテージの発売を予定している。予定収穫量はワイン1万ケース相当となる。

「ワイン事業をビール事業に次ぐ第2の柱に」

サッポロビールでは、創業100周年記念事業としてワイン事業をスタート。グランポレールは創業150周年(2026年)までに、現在の3倍以上となる10万ケース販売を目標に掲げている。

サッポロビールの髙島英也代表取締役社長は発表の中で、「北斗市の協力を得て、広い土地を得ることができた。大事に使わせていただき、最高品質のぶどうをつくり、グランポレールを日本を代表するブランドにしたいと思っている」と語った。

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About the author /  鵜沢 シズカ
鵜沢 シズカ

J.S.A.ワインエキスパート。米フロリダ州で日本酒の販売に携わっている間に、浮気心で手を出したワインに魅了される。英語や販売・営業経験を活かしながら、ワインの魅力を伝えられたら幸せ