コラム

グランポレールの北海道ワイン ~ ケルナーに余市のピノ・ノワール、若手醸造家が語るワインづくりのこだわり

北海道・長野・岡山・山梨でつくられたぶどうを使う国産プレミアムワイン「グランポレール」12種類が集い、さらに勝沼ワイナリーと岡山ワイナリーから若手醸造家4名を迎えたイベント「グランポレール プレシャスサロン 七夕2018」が開催された。

各醸造家から産地の魅力を聞けるのも魅力だったこのイベント、これから長きにわたってグランポレールの品質を支えていく若手醸造家が、どうやってぶどうと向き合ってワインづくりに取り組んでいるのか、じっくりと話を聞くことができた。おいしいワインをさらにおいしく感じさせてくれるとても貴重な時間だった。

ワインバザールでは今回から4回にわたって、各産地でつくられるグランポレールの特徴と各若手醸造家のワインづくりにかける思いを紹介していきたい。

第1回目となる今回登場いただくのは、サッポロビール創業の地でもある「北海道」のブースを担当していた青山晴菜さんだ。


「ぶどうの声を聞いて、ぶどうのなりたい姿になるようにワインづくりを心掛けています」と、自身のワインづくりについて語る青山さん。感覚や感性だけに頼らず、数値をしっかり確認して裏付けをとることも大切にしているそうだ。

青山さんが語る北海道でのぶどう栽培

ぶどう産地としての北海道の特徴として、雨が少なく梅雨がないので、ぶどうが病気になりにくい点が挙げられる。さらに冷涼な気候のため、豊かな香りと酸味が特徴のワインが出来上がる。

北海道でグランポレールのぶどうを栽培しているのは、余市市内にある農家4軒。ケルナーをすべての農家で、ピノ・ノワールを1軒の農家が栽培している。

農家それぞれが連絡を取り合ったり、ぶどう畑で語り合ったりすることもあるそうだ。「いいぶどうを作る」という同じ目標の下、コミュニケーションを密に取りながら、ぶどうを栽培している。

醸造家の思いが詰まった余市のピノ・ノワール

北海道ブースでは、次の3種類のグランポレールが提供されていた。

・グランポレール 北海道ケルナー 辛口 2016
・グランポレール 北海道ケルナー 遅摘み 2016
・グランポレール 北海道余市ピノ・ノワール 2015

青山さんからはピノ・ノワールの栽培についてお話を伺えた。ピノ・ノワールの特徴は、ぶどうの粒の間が詰まっており、風が通りにくく雨が残りやすい。病気になりやすいため、栽培が難しい品種だ。

ぶどうの花が落ちた後、おしべが葉に残ってしまうと、粒の成長に合わせて実の間に挟まり、そこから病気になってしまうことがあるという。そのため、農家は花が落ちた後に、手作業でおしべを取り除く作業をしているそうだ。

その中から質のいいぶどうを選りすぐるため、ピノ・ノワール栽培を始めてからしばらくの期間は生産数量が安定しなかった。ここ数年になって生産数量が安定した背景には、栽培農家や醸造家による努力と工夫があったそうだ。

イベントに参加した醸造家の方に「思い入れの強いワインはどれか」と聞くと、このピノ・ノワールを挙げる方が多くいた。

北海道余市ピノ・ノワールは、華やかなアロマと柔らかなタンニン、そして鮮やかな酸味が楽しめて、ビロードのような滑らかな余韻が特徴だという。おすすめのポイントを次のように説明してくれた。

北海道・余市の契約農家である、弘津ヴィンヤードの弘津敏さん・雄一さん親子が大切に育てたピノ・ノワールを使っています。
淡く繊細な色合いですが、味はとてもしっかりしており、驚かされます。第一印象の香りの華やかさがチャームポイント!
ちょっとしたお祝いや、親しい人たちとの楽しい集まりなどでお楽しみいただきたいです

おすすめのマリアージュは「鴨のロースト、しゃぶしゃぶ、貴妃鶏(鶏手羽の中華煮込み)」だそうだ。

辛口なのに甘さも。人気の高い北海道ケルナー

年間4~5万本ほど生産され、すべて売り切れるほど人気だというのがケルナー。この日の人気投票でも、ケルナー辛口が北海道部門の人気1位となっていた。

辛口とはいってもアロマティックな香りで甘さを感じるワインに仕上げている。豊かな酸味があるため、ほんの少し甘さを残すことでバランスの良いワインになるからだ。

年によって酸味や香りの出方が違うので、毎年味を見ながら甘さの出し方を変えているそうだ。

グランポレールの中でも香りがとてもさわやかで、人気の高いワインです。暑くてジメジメしたシーズンにもするすると飲めるので、初夏のカジュアルなパーティーにぴったり。
おしゃべりも盛り上げてくれて、楽しい時間を作ってくれる1本です。

おすすめのマリアージュは「寿司、鮭のムニエルなど」だ。

青山さんはイベントの間中、ずっと笑顔でワインづくりについて話をしてくれた。ボトル1本が出来上がるまでにかかわっている農家さんや人々の気配が感じられ、ワインにドラマを与えてくれるようなトークで来場者をもてなしていた。

彼女の熱意はお客さんにも伝わっていたようだ。「多くの方に熱心に質問をいただいてうれしかった」と青山さんはイベントを振り返っている。

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About the author /  鵜沢 シズカ
鵜沢 シズカ

J.S.A.ワインエキスパート。米フロリダ州で日本酒の販売に携わっている間に、浮気心で手を出したワインに魅了される。英語や販売・営業経験を活かしながら、ワインの魅力を伝えられたら幸せ