コラム

長野・楠わいなりーの新たな挑戦。世界に挑むプレミアムワイン5銘柄を披露

   

ここ数年、世界的なワインコンクールで高評価を得る日本のワインが増えている。

長野県須坂市を拠点にする楠わいなりーも世界的な評価を得たワイナリーの1つだ。前回の「フェミナリーズ世界ワインコンクール」(パリで開催された女性だけのワインコンクール)では、「日滝原 2017」と「シャルドネ 2016」の2本が金賞を受賞した。

さらに楠わいなりー代表の楠茂幸氏は、マスター・オブ・ワイン協会が2018年6月にスペイン・リオハで主催した国際シンポジウムに、ゲスト・スピーカーとして招待された。他にもマスター・オブ・ワインのパトリック・シュミット氏の要請により、試飲ワインを提供。好評を得たという。

最上位の「プレミアム」シリーズ、新アイテムをリリース

そんな楠わいなりーが展開するワインは、「ヴァラエタル(3000円未満)」「スタンダード(3000円以上〜6000円未満)」「プレミアム(6000円以上)」という3つのクラスに分かれている。

2018年11月20日には、「プレミアム」シリーズの新商品を発表。あわせて試飲会が開催された。

このプレミアムシリーズのラベルには、とある銅版画家の版画があしらわれている。画家の名前は上原修一氏。図柄に表れる花は、上原氏が頭の中で思い描いた想像上の花だという。

この「銅版画家が想像する理想の花」に、「ワインメーカーが理想とするワイン」のイメージを重ね合わせ、ラベルに採用することとなった。

今回、発表されたプレミアムシリーズのワインは次のとおり。それぞれの説明と、テイスティングした印象をご紹介していこう。

ピノ・シャルドネ 2013 スペシャル・キュヴェ


参考価格:8640円(税込)

プレミアムシリーズ唯一の発泡ワイン。泡立ちは優しく、きめ細やか。
60%を占めるピノ・ノワールの心地の良い柔らかさ、シャルドネのエレガントな酸が特徴的。和食にも合わせやすい味わいだ。

リースリング 2014 スペシャル・キュヴェ


参考価格:6480円(税込)

若いうちはキリッとしている印象の酸がだいぶおさまり、リースリングのフローラル香が立ち上る優雅なワイン。
マスター・オブ・ワインのパトリック氏が絶賛し、同氏がかかわるイベントで日本ワインを紹介するための9本の中に選んだ。

シャルドネ 2015 キュヴェ・スペシアル


参考価格:1万800円(税込)

重みのあるしっかりとした味わいの中に、トロピカルフルーツのような香りと味わいが溶け込んだワイン。
さまざまな味が絡み合い、奥行きを増す。樽熟成の途中、1本だけ特別な香りと味になったという希少価値があるワイン。さらなる熟成も可能だ。

ピノ・ノワール 2011 キュヴェ・スペシアル


参考価格:1万2960円(税込)

収穫量をぎりぎりまで絞り込み、小さな樽で仕込んだまさにプレミアムなワイン。
シダーのような森の香り、スパイスやチャコールの香り、キャンディのような甘み。実に味わい深く楽しめる1本。

カベルネ・フラン 2014 スペシャル・キュヴェ


参考価格:8640円(税込)

フランス・ロワールの生産者が絶賛し、購入して帰ったという少量生産のカベルネ・フラン。
口当たりは甘みのある果実味が広がり、心地の良いボリューム感があり、続いて実にバラエティ豊かなスパイス、中国茶やクローブのような独特の香りが広がる。

手頃な「スタンダード」シリーズ、直近のヴィンテージの特徴

続いて、より親しみやすい味わいと価格の「スタンダード」シリーズとして販売予定の楠わいなりーのワインをご紹介しよう。

リースリング 2017


参考価格:3240円(税込)

「日本ではあまり風味豊かなリースリングが期待できない」という業界の先入観を吹き飛ばすような素晴らしいリースリング。
若さもありすっきりと爽やかな香り、キリッとした酸。リースリングらしいペトロール香もほのかに感じられる。

日滝原 2017


参考価格:3240円(税込)

フェミナリーズ世界コンクールで金賞を取ったワイン。セミヨン80%、ソーヴィニヨン・ブラン20%、キリッとしたさわやかな指向性は和食と合わせることをイメージした。
セミヨンの出来が素晴らしく、華やかさが加わりバランスの良い出来映えとなった。

シャルドネ 2016


参考価格:4320円(税込)

フェミナリーズ世界コンクールで金賞受賞のワイン。トロピカルで芳醇な香りを保ちつつ、エレガントな酸と適度なミネラル感が同時に味わえる。
今後の熟成ポテンシャルもあり、2~3年後にはさらにしっかりとした味わいになっているだろう、とのこと。

楠R(くすのきアール)

参考価格:3456円(税込)

「パッサージュ・ルージュ」として以前から販売してきた商品だが、例年になく出来の良い仕上がりとなったため、別ブランドとして販売する。
品種はカベルネ・ソーヴィニヨン、カベルネ・フラン、メルローと典型的なボルドーブレンド。骨格のあるバランスの良い味わいは、さらに数年の熟成を経ることで磨きがかかるだろう。

ピノ・ノワール 2016


参考価格:3888円(税込)

果実味とタンニンの渋みがどちらも楽しめるワイン。まだ多少硬い印象は否めず、ピノ・ノワール本来の魅力を引き出すため、さらに数年の熟成をかけてから楽しみたい。

これらのワインは当初、「食と酒の未来勘所」で先行販売する計画だ。2019年3月ごろから一般に流通する予定となっている。

特にプレミアムシリーズのうち、「ピノ・シャルドネ 2013 スペシャル・キュヴェ」「ピノ・ノワール 2011 キュヴェ・スペシアル」「カベルネ・フラン 2014 スペシャル・キュヴェ」の在庫は、現時点で120本以下、「シャルドネ 2015 キュヴェ・スペシアル」も250本以下となっている。気になる方はぜひ早めにキープしておきたいところだ。

世界からも熱い注目を浴びる長野のワインから、今後も目を離せない。

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About the author /  Yayoi Ozawa
Yayoi Ozawa

フランス料理店経営ののち、ワインとグルメ、音楽を専門とするライターへ転身