コラム

長野県産ワインのブランド化へ向けてーー新たに34品を長野県原産地呼称管理制度ワインに認定

地域活性化のため、官民が協力して長野県産農産物や農産物加工品のブランド化を目指している長野県。長野県産ワインを「NAGANO WINE」として広めようとしている。

その活動の中で、品質向上を担っている長野県原産地呼称管理制度の第33回ワイン、および、第23回シードル官能審査委員会の審査が6月3日に開催され、新たに34品のワインと、2品のシードルが認定された。

新たに認定されたワインは、林農園の8品、アルプスの8品、信濃ワインの4品、ヴィラデストワイナリーの2品、あづみアップルの3品、サン・ビジョンサンサンワイナリーの2品、井筒ワインの7品。シードルは、古屋酒造店の2品となっている。これで、長野県原産地呼称管理制度に認定されているワインは1241品、シードルは95品となった。

長野県原産地呼称管理制度とは

長野県原産地呼称管理制度は、2002(平成14)年度に、農産物や農産物加工品の品質を高めて高品質のものを提供するとともに、生産情報を開示することで消費者の信頼を獲得し、地域を活性化させるために制定された。長野県は、栽培方法や味わいなどで区別化を図り、「長野県産」を消費者にアピールすることで、将来的には、長野県産農産物をブランド化したいと考えている。

この制度は、長野県原産地呼称管理委員会、品目別委員会、品目別官能審査委員会の3つの組織で運営されている。管理委員会は全体の統括、品目別委員会は品目ごとの認定基準の制定、品目別官能審査委員会は官能審査の実施と認定品の決定を担う。

制定翌年の2003年にワインと日本酒の認定が開始され、2004年には米と焼酎、2007年にはシードルの認定が開始された。2019年6月4日の時点で、合わせて5381品が認定されている。

ワインの認定基準

長野県原産地呼称管理制度認定ワインは、2002年以降に長野県で栽培されたぶどうを100%使用した自醸酒でなければならないとされている。現在の審査対象は、スティルワインに限られているが、今後、スパークリングワインなど、対象とするワインの種類を広げていくとしている。

そのほかスティルワインの基準として、ぶどうの糖度は、品種ごとに定められた基準以上であること、醸造工程の全てを長野県内で行うことが決められている。酸やアルコールの添加、醸造年が異なるワインのブレンドは認められていない。添加物は酸化防止剤(亜硫酸塩)のみで、含有量についても、例えば貴腐ワイン、氷結ワインでは350㎎/Kg 以下、などと定められている。

審査は、色、香り、味わい、バランスの4項目で実施されるが、そのほかに栽培方法や生産方法も重要なポイントとなる。

シードルの認定基準

りんごからつくられる発泡性の果実酒、シードルの認定も、ワインの官能審査委員会が行っている。原料となるりんごの品種や栽培方法については特に規定されていないが、製造方法については、瓶内二次発酵方式、あるいはタンク内二次発酵方式、メトード・リュラル方式と定められている。添加物は、一定量の酸化防止剤(亜硫酸塩)のみ認められている。審査はワインと同様に色、香り、味わい、バランスの4項目で実施される。

信州ワインバレー構想

長野県では、長野県産ワイン(NAGANO WINE)のブランド化と県内ワイン産業の発展のため、「信州ワインバレー構想」を策定した。長野県のワイン産地を「桔梗ヶ原ワインバレー」「日本アルプスワインバレー」「千曲川ワインバレー」「天竜川ワインバレー」の4地域に分けて、それぞれのテロワールを生かしたワインを産出している。

桔梗ヶ原ワインバレーは、塩尻市桔梗ヶ原を中心とした地域。ナイアガラ種やコンコード種を中心に栽培している。また、メルロー種の研究や栽培にも力を入れていて、世界的に高く評価されている。

日本アルプスワインバレーは、松本から安曇野に広がる地域で、長野県のぶどう栽培発祥の地と呼ばれる場所がある。ぶどう栽培の歴史は長く、江戸時代から行われていて、品質の高いぶどうが多い。

千曲川ワインバレーは、小諸市・東御市・長野市・須坂市など千曲川周辺に広がる地域。この地域の気候や土壌は、ワイン用のぶどう栽培に非常に適しており、ヨーロッパ系品種であるメルロー種やシャルドネ種、カベルネ・ソーヴィニヨン種、ピノ・ノワール種をおもに栽培している。個性豊かなワイナリーが増えているため、今後が楽しみな地域となっている。

天竜川ワインバレーは、伊那市・宮田村・松川町などからなる天竜川両岸に広がる地域。ヨーロッパ系品種のシャルドネ種やメルロー種のほか、ヤマ・ソーヴィニオン種やヤマブドウ種など日本の固有品種を使用したワインも多くつくられていて、千曲川ワインバレー同様、今後が期待されている地域だ。

国内のワイン先進地域である長野県。信州ワインバレー構想のもと、県内の産地を4地域(バレー)に分け、観光にも結び付けてワイン産地としての価値を向上し、地域の活性化を図っている。同時に、長野県原産地呼称管理制度によりワインの品質と価値を高め、国内外でのプロモーションを通じて知名度を上げるなど、NAGANO WINEを世界に通じるブランドにすべく、その魅力を発信し続けている。

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