コラム

2020年のボージョレ・ヌーボーの出来は? サントリーとジョルジュ・デュブッフがオンラインセミナーを開催

2020年のボージョレ・ヌーボー解禁日は、第3木曜日にあたる11月19日だ。解禁を前に、サントリーワインインターナショナルは同年10月28日、ボージョレ・ヌーボーに関するオンラインセミナーを開催した。

セミナーでは、ボージョレ・ヌーボーを世界に広めたジョルジュ・デュブッフのアドリアン・デュブッフ・ラコンブ氏をゲストに迎え、ボージョレ・ヌーボーの基礎知識や、2020年の味わいを解説した。

ボージョレ・ヌーボーとは?

ボージョレ・ヌーボーは、フランス・ブルゴーニュ地方の南部に位置するボージョレ地区で、その年に収穫したぶどうからつくられる新酒ワインを指す。

通常のボージョレワインは半年ほど熟成させるのに対し、ボージョレ・ヌーボーの場合はおよそ1カ月の熟成期間を終えるとすぐに出荷される。そのため、早飲みに向いたフレッシュな味わいを楽しめる。

ボージョレ・ヌーボーの解禁日は現在、11月の第3木曜日に制定されている。この日は、フランス、日本のみならず、世界中でボージョレ・ヌーボーの解禁を祝うイベントが行われる。

ボージョレ・ヌーボー普及のキーマン、ジョルジュ・デュブッフ氏

ボージョレ・ヌーボーの解禁を世界的に祝うようになった背景には、ジョルジュ・デュブッフの創業者、ジョルジュ・デュブッフ氏(2020年1月に逝去)の功績がある。

ボージョレ・ヌーボー普及の功労者、ジョルジュ・デュブッフ氏

ジョルジュ氏は、ボージョレ・ヌーボーの解禁日が定められた1950年代(当時の解禁日は12月15日)、「ボージョレ・ヌーボーがやってきた!」のキャッチコピーとともに、フルーティで心躍るヌーボーの魅力を世界中に知らしめた、ボージョレ・ヌーボー普及の功労者だ。

ジョルジュ・デュブッフのヌーボーは、諸外国はもちろん、日本でも解禁日イベントなどを通して広く認知され、「ボージョレ・ヌーボーと言えば、ジョルジュ・デュブッフ」というイメージを築き上げた。2018年~2019年のデータでは、日本国内のボージョレ・ヌーボー市場ナンバー1※の売り上げを記録している。
※インテージSRI調べ(期間:2018年1月〜2019年12月)全国SM/CVS/酒DS/ホームセンター/ドラッグストア/一般酒店/業務用酒販店

2020年は「コロナ乗り越え、素晴らしいヴィンテージ」に

セミナーでは続いて、フランスからオンラインで参加するアドリアン・デュブッフ・ラコンブ氏が紹介された。アドリアン氏はジョルジュ氏の孫にあたり、ジョルジュ・デュブッフで輸出部長を務めている。

ジョルジュ・デュブッフで輸出部長を務める、アドリアン・デュブッフ・ラコンブ氏

アドリアン氏は2020年の気候と作柄について、「7月は降水量が例年より少なく乾燥し、8月は40℃に達するほど暑い日々が続きました。その結果、ぶどうは例年より早く成熟し、8月20日から始まった収穫では、成熟度が高く、実の中に味わいが凝縮された、良い状態のぶどうに恵まれました」と解説した。

また、アドリアン氏は、コロナ禍での生産現場の苦労について、「新型コロナウイルス感染症の流行は、ボージョレ地区にも大きな影響を与えました。特に収穫期は、感染予防の徹底に苦労しましたね。弊社では、コロナの感染予防のために、新しいルールをいくつか定めました。例えば、収穫の道具をシェアしないこと、アルコール消毒、ディスタンスの確保などです。また、フランス人はマスクを着用する文化がないため、オフィスでのマスク着用を徹底したことは大きな変化でした」と語った。

アドリアン氏いわく、2020年のボージョレ・ヌーボーは、「コロナの影響を乗り越えて、素晴らしいヴィンテージに仕上がっています」とのこと。「色は美しいダークルビー色。飲んでみると、ブラックチェリーのような完熟した黒い果実の香りがあふれ出し、芳醇な味わいが、心地良い余韻とともに口の中に残ります」とコメントしている。

例年より早く出荷されたジョルジュ・デュブッフのヌーボーは、2020年10月22日に日本に到着。解禁日の11月19日を待って、店頭に並べられる。

「日本は、時差の関係でフランスよりも早くヌーボーを楽しめます。皆様のお手元に届くまであと少し。どうぞ楽しみにお待ちください!」と、アドリアン氏はセミナー参加者に向かって語りかけた。

ボージョレワインの味わいをチェック!

今回のセミナーでは、サントリーワインインターナショナル輸入ブランド部のチョウ・アンジ氏による、ボージョレワインのテイスティングも行われた。

前述の通り、ヌーボーは解禁日まで飲めないため、この日はボージョレ地方のワインのイメージがつかめる定番の2種をセレクト。

セミナー参加者には、事前にテイスティングするワイン2種とペアワイングラスが送付された。ワインは「ジョルジュ・デュブッフ ボジョレー」と「ジョルジュ・デュブッフ ボジョレー・ヴィラージュ」。どちらも2018年のヴィンテージだ。

ジョルジュ・デュブッフ ボジョレー 2018&フードペアリング

ボージョレ地区の約半分の面積を使って栽培されるぶどうでつくった「ジョルジュ・デュブッフ ボジョレー」は、日光に恵まれたボージョレ地区の気候風土をダイレクトに感じられるワインだ。

チョウ氏はテイスティングで、「グラスに注ぐと、イチゴやベリーを思わせる華やかでフルーティな香りがします。ラベルには花のデザインがあしらわれていますが、花の香りも感じられますね。飲んでみると口当たりが良く、軽やかな味わいです。軽い渋みと酸も感じられ、バランスの良いワインです」と解説した。

赤ワインは渋みが強いイメージがあるが、ボージョレ地区のワインは軽やかで飲みやすいため、渋みが苦手な人にもおすすめだ。

さらにチョウ氏は、ペアリングについて、「ワインというと凝ったおつまみをイメージしがちですが、このワインは堅く考えずに、日常食と合わせて楽しんでいただきたいですね。例えば、焼き鳥やミートソース、肉まんにもよく合います」とアドバイスした。

ジョルジュ・デュブッフ ボジョレー・ヴィラージュ2018&フードペアリング

「ジョルジュ・デュブッフ ボジョレー・ヴィラージュ」は、先に紹介した「ジョルジュ・デュブッフ ボジョレー」よりも北部寄りの土地で収穫したぶどうを使用する。畑の標高が高いため、ワインはより複雑で力強い味わいに仕上がるという。

テイスティングでは、「ブラックベリーのような黒い果実や、ブルーベリーのような青い果実の香りがします。先ほどの『ジョルジュ・デュブッフ ボジョレー』よりも、しっかりとしたタンニンや酸を感じ、凝縮感がありますが、口当たりは軽やかですね」とチョウ氏。

おすすめのペアリングとして、「しゃぶしゃぶや鶏肉のクリームシチュー、フライドチキンや生ハムなどがよく合います」と紹介してくれた。

2020年のラインアップ

ジョルジュ・デュブッフでは、2020年の解禁日に向けて、オーガニックなどの新商品を加えた計10本のヌーボーをラインアップした。各ワインは、Amazonや楽天などのオンラインショップで先行予約を受け付けている。

ジョルジュ・デュブッフ ボジョレー・ヌーヴォー 2020

定番商品となるこちらは、チャーミングでかわいらしい“ザ・ボージョレ・ヌーボー”。軽やかでフルーティな味わいを特徴とし、果実や花の香りがあふれ、ボージョレ・ヌーボーならではのかわいらしさが詰まった1本になっている。

ラベルは、「感謝」の花言葉を持つひなげしやバラ、ダリアを中心に、ブーケのイメージをデザイン。テーブルを華やかに演出する。

タイプ:赤・ライトボディ
産地:フランス・ボージョレ地区
格付け:ボージョレAOP
ぶどう品種:ガメイ種
容量:750ml、375ml、15L木樽

ジョルジュ・デュブッフ ボジョレー・ヴィラージュ ヌーヴォー 2020

特に良質なぶどうでつくる、プレミアム・ヌーボー。こちらも定番商品だ。

ボージョレ・ヴィラージュは、ボージョレ地区北部38村の中でも特に高品質のぶどうが採れるエリア。この地の畑で手をかけて栽培され、丁寧に収穫したぶどうは、華やかさと繊細な香りを併せ持つ、濃密で滑らかな味わいのワインとなる。ラベルは、フランス国旗の赤・白・青の花を散りばめた、洗練されたデザインとなっている。

タイプ:赤・ライトボディ
産地:フランス・ボージョレ地区
格付け:ボージョレ・ヴィラージュAOP
ぶどう品種:ガメイ種
容量:750ml、375ml

ボジョレー・ヌーヴォー 2020 ラ・ロズレー

ジョルジュ・デュブッフ氏への感謝を込めた、2020年限定ヌーボー。

「ラ・ロズレー」は、フランス語で「バラ園」を意味する。2020年1月に亡くなったジョルジュ・デュブッフ氏の功績をたたえて、自社畑にバラが植えられたことにちなんで名付けられた。

ジョルジュ・デュブッフの自社畑のぶどうを100%使用したこのワインは、フルーティで軽やかな味わいが魅力だ。

タイプ:赤・ライトボディ
産地:フランス・ボージョレ地区
格付け:ボージョレAOP
ぶどう品種:ガメイ種
容量:750ml

ジョルジュ・デュブッフ ボジョレー・ヌーヴォー 2020 オーガニック

有機ぶどうでつくった、まろやかな味わいのオーガニック・ヌーボー。2020年の新商品となる。

自社畑のぶどうのほか、厳選したビオ専門生産農家のぶどうから、2~3%の良質なぶどうのみを使用している。果実の繊細な香りと、フルーティでまろやかな味わいが凝縮された1本。

タイプ:赤・ライトボディ
産地:フランス・ボージョレ地区
格付け:ボージョレAOP
ぶどう品種:ガメイ種
容量:750ml

ジョルジュ・デュブッフ オレンジ・ヌーヴォー 2020

もう1つの新商品は、話題のオレンジワイン。2020年に収穫した白ぶどうのうま味とコクが詰まった1本だ。

ジョルジュ・デュブッフの哲学である「イノベーションへの挑戦」から生まれた、珍しいオレンジワインのヌーボー(ボージョレ地区のぶどうを使用していないため「ボージョレ・ヌーボー」ではない)は、グルナッシュ・ブラン種とシャルドネ種をブレンドしている。今年収穫したぶどうのフレッシュな爽やかさの中に、花や果実のような香りが感じられる。

タイプ:白・辛口
産地:フランス・南フランス
格付け:ヴァン・ド・フランス
ぶどう品種:グルナッシュ・ブラン種、シャルドネ種
容量:750ml、375ml

ボージョレ・ヌーボーのおすすめの飲み方は?

本記事の公開にあたり、サントリーワインインターナショナル輸入ブランド部のチョウ・アンジ氏が、 今年のボージョレ・ヌーボーの味わいをより楽しめる、おすすめの飲み方を紹介してくれた。

チョウ氏によると、「冷蔵庫で軽く1時間ほど冷やしていただくと、フレッシュな味わいがより引き立ち、おいしくいただけます」とのこと。解禁日、ボージョレ・ヌーボーを楽しむ際に、ぜひ試してみてほしい。

今回のオンラインセミナーで、「コロナ禍の今だからこそ、いつもと違う方法で、いつもと同じ楽しみを味わいましょう」と語った、アドリアン氏。

サントリーでは、自宅でボージョレ・ヌーボーを楽しむ人のために、2020年11月19日~21日の3日間、タレントやお笑い芸人を日替わりでゲストに迎えてボージョレ・ヌーボーを楽しむ「オンラインボジョパ」を開催する。

2020年のボージョレ・ヌーボー。解禁をより楽しみたい方は、こうしたイベントも併せてチェックしてもらいたい。

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About the author /  原田さつき
原田さつき

広告制作会社でコピーライターとしてワイン・ビールの販売促進に携わったのち、フリーランスに。WEBメディア・取材記事・機関紙など、幅広く活動。得意分野は酒・食・ペット。