コラム

スペイン屈指の高級赤ワインを生み出す「ボデガス・ロダ」 ~スペインワイン&フード商談会2020

スペイン大使館経済商務部は2020年10月27日、インポーター35社が参加する、プロ向け試飲会「スペインワイン&フード商談会2020」を八芳園(東京都港区)で開催した。今年は新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて、例年よりも出展社数を減らし、入場者数に制限を設けるなど、万全の感染防止対策を取った上での開催となった。

会場に集まった多数のワインの中から、注目のワインとその生産者を紹介する。

ボデガス・ロダ

ワイナリーのオーナーであるマリオ・ロットリャント氏は、イベリアンコカ・コーラ社の取締役を務めているビジネスのプロだ。「スペイン最高のワインをつくりたい、自分の会社がつくったワインをレストランで楽しみたい」と、1991年にボデガス・ロダを設立した。比較的新しいワイナリーだが、品質の高さが評価され、現在ではスペイン国内にある数多くの有名レストランのワインリストに、ボデガス・ロダのワインを見つけることができる。

ボデガス・ロダは、高級ワイン産地であるリオハ地方の中でも、高い酸度で熟成向きの赤ワインができるリオハ・アルタを中心としたエリアでぶどうを栽培している。農薬の使用は極力避け、化学肥料は一切使用していない。

28の自社畑と契約畑の中から、毎年出来の良い17の畑を選び、そこで収穫したぶどうのみでワインを醸造。「常に素晴らしい品質でなくてはいけない」という哲学の下で、一切妥協しないワインづくりを行っている。

リオハでのワインづくりの経験をもとに、赤ワインの銘醸地であるリベラ・デル・デュエロのラ・オラ村に、ボデガス・ラ・オラを設立。ラ・オラ村はローマ時代からワインがつくられてきた地域で、樹齢の古いぶどうの樹があること、経験豊富なぶどう栽培者がいること、そしてリベラ・デル・デュエロの中でも最も冷涼な地区であることから、テンプラニーリョ種の栽培に最も適していると判断し、高い可能性を感じたのだという。

また、ボデガス・ロダでは、マヨルカ島やカタルーニャ州でオリーブオイルの生産もしている。同社のオリーブオイルは、ノーベル賞授賞式の晩餐会やいくつかのミシュラン星付きレストラン、各国のファーストクラスで提供されるなど、高い評価を受けている。

おすすめのワイン

ボデガス・ロダのワインは、最も手頃なものでも5000円ほど。著名なワイン雑誌やコンクールで高く評価されるなど、品質の高さはお墨付きだ。ここでは、ボデガス・ロダのワインを、それぞれの違いを中心に紹介していこう。

SELA(セラ)

樹齢15~30年の樹から収穫したぶどうを使用。フレンチオーク樽(1年使用樽)で12カ月熟成させている。フレッシュで心地よい果実味が広がる1本だ。

産地:D.O.Ca リオハ
品種:テンプラニーリョ主体、ガルナッチャ、グラシアーノ(ヴィンテージによって異なる)
参考小売価格:5000円(税別)

RODA(ロダ)& RODA Ⅰ(ロダ・ウノ)

樹齢30年以上の樹から収穫したぶどうを使用。フレンチオーク樽(新樽50%、1年使用樽50%)で18カ月熟成。12カ月熟成した時点で樽ごとにテイスティングを行い、赤い果実の風味がありフルーティなものを「ロダ」、黒い果実の風味を持ち、ミネラル豊富でより凝縮感が強いものを「ロダ・ウノ」に選別する。

ぶどうの出来が最高であれば「ロダ・ウノ」のみを生産し、優良な年には「ロダ」のみを生産している。もし、どの樽も望む品質に達していなければ、「ロダ」のラベルで販売されることはないそうだ。

「ロダ」は女性的で繊細なワイン。比較的手頃な価格帯でボデガス・ロダの世界観が味わえるとして人気がある。一方、「ロダ・ウノ」は男性的でパワフルなワインだ。高品質ワインを産するボデガス・ロダの中でも、「ロダ・ウノ」は最高品質を目指してつくられている。

産地:D.O.Ca リオハ・レセルバ
品種:テンプラニーリョ90%、ガルナッチャ、グラシアーノ(ヴィンテージによって異なる)
参考小売価格:ロダ 7000円、ロダ・ウノ 1万2000円(いずれも税別)

CIRSION(シルシオン)

樹齢60年以上の樹のうち、良く育った房を選抜し、タンニンが熟して甘くなっている状態で収穫したぶどうを使用。フレンチオークの新樽で約10カ月熟成させたワインは、高いアルコール度数で、甘味と酸味、タンニンや樽の風味が複雑に入り混じったゴージャスな味わいだ。輸入元である白井松新薬は、このワインを「スペイン最高のワイン」と表現している。

産地:D.O.Ca リオハ
品種:テンプラニーリョ90%、ガルナッチャ、グラシアーノ(ヴィンテージによって異なる)
参考小売価格:4万5000円(税別)

CORIMBO(コリンボ)&CORIMBO I(コリンボ・ウノ)

ボデガス・ラ・オラとして出しているワイン。「コリンボ」は平均樹齢20年、「コリンボ・ウノ」は平均樹齢40年の樹から収穫したぶどうを使用する。どちらもオーク樽(フレンチオーク80%、アメリカンオーク20%)で12カ月間熟成させ、自然のまま、ろ過しないで仕上げている。

「コリンボ・ウノ」の2010年ヴィンテージは、「デキャンター・ワールド・ワイン・アワード(DWWA)2016」にて、97点以上を取ったプラチナワインの中から、No.1に輝いている。

産地:D.O.リベラ・デル・ドゥエロ
品種:テンプラニーリョ(ティンタ・デル・パイス)100%
参考小売価格:コリンボ 6000円、コリンボ・ウノ 1万1000円(いずれも税別)

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About the author /  鵜沢 シズカ
鵜沢 シズカ

J.S.A.ワインエキスパート。米フロリダ州で日本酒の販売に携わっている間に、浮気心で手を出したワインに魅了される。英語や販売・営業経験を活かしながら、ワインの魅力を伝えられたら幸せ