コラム

「インターナショナル・ワイン・チャレンジ(IWC)2021」結果発表! 受賞数最多はフランス、日本ワインも健闘

今回で38回目を迎えた「インターナショナル・ワイン・チャレンジ(International Wine Challenge:IWC)」は、世界で最も権威のあるコンペティション(審査会)の1つとされている。

2021年の審査会は、4月にロンドンで2週間にわたって開催された。先入観をなくして公平を期すために、産地や名称を伏せたブラインドテイスティング方式で審査される。賞が決定するまでに、最低でも8人の審査員によってテイスティングされるのが特徴だ。得点が95~100点のワインに金賞、90~94点のワインに銀賞が与えられる。

今回発表されたIWC 2021の選考結果を、3回にわたって紹介する。

圧倒的な強さを見せつけたフランス

今回のコンペティションでは、エントリーされた50カ国以上、数千本のワインのうち、290銘柄が金賞、1758銘柄が銀賞を受賞した。また、金賞の中からカテゴリーごとの優れた銘柄に授与されるトロフィーには、82銘柄が選出されている。

その中で、圧倒的な受賞数を誇ったのがフランスだ。77銘柄が金賞を、419銘柄が銀賞を獲得している。

フランスの産地の中では、ブルゴーニュ地方の評価の高さが目立った。金賞33銘柄、銀賞93銘柄となっている。特にシャブリ地区は、25銘柄が金賞を受賞。日本でもおなじみのアルベール・ビショーは、7銘柄が金賞、2銘柄が銀賞を受賞している。

フランスでは他に、シャンパーニュ地方も評価が高く、28銘柄が金賞、113銘柄が銀賞を受賞している。歴史あるシャンパーニュメゾンのパイパー・エドシックは、4銘柄が金賞、3銘柄が銀賞を受賞した。

今大会の最高得点となる97点を獲得したワインは2銘柄。アルベール・ビショーの「Clos de la Roche Grand Cru Cuvée Cyrot Chaudron Hospices de Beaune, 2019」と、シャンパーニュ地方のパイパー・エドシックが手掛けた「Vintage, 2008」で、いずれもフランスワインとなった。

伝統国と新興国が入り乱れる結果に

フランスに続いて評価が高かったのが、ワイン新興国のオーストラリアだ。49銘柄のワインが金賞、261銘柄が銀賞に選出されている。続いてスペイン(金賞38、銀賞207)、ポルトガル(金賞26、銀賞165)、イタリア(金賞17、銀賞166)、アルゼンチン(金賞14、銀賞87)、南アフリカ(金賞13、銀賞57)となっている。

また意外にも、インターナショナル・ソーヴィニヨン・ブラン・トロフィーを獲得したのは、ソーヴィニヨン・ブラン原産地のフランスでも、一大産地となったニュージーランドでもなく、オーストリアのワインだった。オーストリアは11銘柄が金賞、35銘柄が銀賞を受賞し、上位10カ国に入りこんだ。

注目を集めたアルバリーニョ品種

今回のIWCでは、アルバリーニョ品種を使用した6銘柄のワインが金賞に選ばれたことが注目を集めた。

そのうちの4銘柄は、最も有名な産地であるスペインのリアス・バイシャス(ガリシア州)が受賞し、ニュージーランドとウルグアイからそれぞれ1銘柄が選出された。ウルグアイではさらに2銘柄が銀賞を受賞している。

また、アグロ・デ・バサンによる「Granbazán Etiqueta Ámbar, 2019」は、最も優れたスペインの白ワインに送られるSpanish White Trophyを受賞している。

アルバリーニョは和食との相性が良く、2020年のソムリエ・ワインエキスパートの二次試験では選択肢に入ってくるなど、日本でも注目度が高まっている品種だ。

日本ワインの結果は

ワイン産地として、世界での存在感向上を目指している日本ワイン。今回は1銘柄が金賞を、13銘柄が銀賞を受賞した。

金賞を受賞したのは、シャトー・メルシャンが山梨県笛吹市産の甲州で手掛けたオレンジワイン「笛吹甲州グリ・ド・グリ 2019」だ。オレンジワインはジョージアが有名な産地として知られているが、このワインは、ジョージア以外でつくられたオレンジワインでは初の金賞受賞となった。また、シャトー・メルシャンでは、他に6銘柄が銀賞を受賞している。

他に銀賞を受賞した日本ワインは、以下の通りだ。

・シャトー・メルシャン「北信左岸シャルドネ リヴァリス 2019」(長野県)
・シャトー・メルシャン「北信右岸シャルドネ リヴァリス 2019」(長野県)
・シャトー・メルシャン「北信シャルドネ アンウッデッド 2019」(長野県)
・シャトー・メルシャン「岩出甲州きいろ香キュヴェ・ウエノ Tank No. R133 2019」(山梨県)
・シャトー・メルシャン「椀子 オムニス 2016」(長野県)
・シャトー・メルシャン「新鶴シャルドネ2019」(福島県)
・マンズワイン「ソラリス 信濃リースリング・クリオ・エクストラクション 2019」(長野県)
・マンズワイン「ソラリス 古酒 甲州 2007」(山梨県)
・シャトレーゼ勝沼ワイナリー「勝沼甲州樽発酵 2019」(山梨県)
・白百合醸造「甲州樽発酵 2019」(山梨県)
・都農ワイン「白水アンフィルタードシャルドネ #6-B 2019」(宮崎県)
・広島三次ワイナリー「TOMOÉシャルドネ新月 2019」(広島県)
・広島三次ワイナリー「TOMOÉマスカット・ベーリーA木津田ヴィンヤード2019」(広島県)

日本の固有品種である甲州やマスカット・ベーリーAに加えて、長野県産の国際品種など、幅広い銘柄が評価を得た結果となった。

次回は高得点を記録したワインの中から、日本でも手に入りやすいワインを紹介する。

<関連リンク>
Wines awarded across the globe by the International Wine Challenge 2021

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

Twitter で
About the author /  鵜沢 シズカ
鵜沢 シズカ

J.S.A.ワインエキスパート。米フロリダ州で日本酒の販売に携わっている間に、浮気心で手を出したワインに魅了される。英語や販売・営業経験を活かしながら、ワインの魅力を伝えられたら幸せ