コラム

ドメーヌ・ポール・マス|コスパ最強のバリューワイン「ヴァルモン」手掛けたジャン・クロード・マスの原点 ~解説:フランスのワイナリー

魅力的なワインを数多く生産する、ワイン大国フランス。歴史あるワイナリーも多く、“フランスワインは高い”というイメージを持たれがちだが、コスパを考えると意外とお得なものも。厳しい品質管理と恵まれた環境から生み出されるフランスワインは、知れば知るほど奥深い。

個性と実力を兼ね備えたフランスのワイナリーの中から今回は、高品質なワインであり、かつバリューワインであることにもこだわる、ドメーヌ・ポール・マス(Domaines Paul Mas)を紹介する。

高コスパワインのつくり手、ドメーヌ・ポール・マスとは

ドメーヌ・ポール・マスの歴史は、マス家が1892年に、ラングドック地方のカルカソンヌ近郊に位置するペセナスでぶどう栽培を開始したことに始まる。1954年には、先代のポール・マス氏が畑を拡大。その後、息子のジャン・クロード・マス氏が引き継ぎ、2000年にドメーヌ・ポール・マスを設立。現在では、総生産量約90万ケースという規模を誇るワイナリーとなった。

“南フランスワイン変革の旗手”ジャン・クロード・マス

現オーナーのジャン氏は、高品質かつコストパフォーマンスに優れたワインの生産者として高く評価されている。2008年には、フランスの『レクスプレス(L’EXPRESS)』誌により、同国の明日を担う30人の醸造家に選出された。同年には、イギリスの『ガーディアン(The Guardian)』紙による、「ワイナリー・オブ・ザ・イヤー」も受賞。2020年には、アメリカのワイン専門誌『ワイン・エンスージアスト(Wine Enthusiast)』の「ヨーロピアン・ワイナリー・オブ・ザ・イヤー」を受賞し、ヨーロッパNo.1の称号を手にした。

ジャン氏は、“高品質であると同時に、低価格であること”をモットーにしており、受け継いだテロワールを重視しつつ、最新の醸造技術やアイデアを取り入れた斬新なワインづくりを続けている。本拠地以外の地域にも自社畑や契約畑を広げ、多様なテロワールで育てたぶどうから個性的なワインを生み出し、世界中に提供している。その先進的な手腕から、“南フランスワイン変革の旗手”とも呼ばれている。

ジャン氏が手掛けるおすすめのワイン

ヨーロッパNo.1に上り詰めたジャン氏は、ワイナリーの原点ともいえる「シャトー・ポール・マス」の他に、「ドメーヌ・アストラック(d.A.)」「フェランディエール」「シャトー・ロリガ」「アロガント・フロッグ」「シャトー・デ・クレ・リカール」など、さまざまなブランドを手掛ける。日本では、ワインの輸入販売を手掛けるスマイルとジャン氏が共同開発した「ヴァルモン」「ヴィニウス ヴィンヤーズ」が人気を集めている。

ヴァルモン

ジャン氏とスマイルが共同開発した、抜群のコストパフォーマンスを誇るワイン。ジャン氏の哲学に基づいて栽培される高品質なぶどうと最新の醸造技術により、長く味わえるワインに仕上がっている。

フリーランやファーストプレスの果汁のみを使用しており、若々しい果実味やアロマを感じられる。ブレンドは11月で、ステンレスタンクで4カ月熟成した後、瓶詰めする。

ヴァルモン 赤

ラズベリーやチェリーの果実の香りとフローラルな香りを特徴とする。外観は、紫がかった明るめの赤色。フルーティーで柔らかな口当たりのため、飲みやすい。バランスが良く、さまざまな料理に合わせやすい。

ぶどう品種:グルナッシュ、カリニャン、カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー、シラー
味わい:赤・ミディアムボディ
参考小売価格:790円(税別)
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ヴァルモン 白

赤ワインと同様に、飲み口が柔らかく、フルーティーな味わいとアロマが特徴。熟したシトラスやレモングラスの香りに、白い花のニュアンスがある。さっぱりしているので、濃い味の料理と合わせやすい。

品種:シャルドネ、ソーヴィニヨン・ブラン、コロンバール、ヴィオニエ
味わい:白・辛口
参考小売価格:790円(税別)
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ドメーヌ・ポール・マス シャトー・ポール・マス クロ・デュ・ミュール

ワイナリーの原点ともいえる、モンタニャックにある単一畑「クロ・デュ・ミュール」のぶどうだけを使用。樹齢40年以上の古樹からつくる上級キュヴェで、ジャン氏お気に入りのワインだという。オーク樽で9カ月熟成させており、スパイシーで焦げた香りが印象的。

ぶどう品種:シラー、グルナッシュ、ムールヴェードル
味わい:赤・フルボディ
参考小売価格:2200円(税別)
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ドメーヌ・ポール・マス アステリア 赤

ドメーヌ・ポール・マス最高峰の1本。「アステリア」という名は、ジャン氏の4人の娘の名前に由来する。芳醇な赤黒果実に、ハーブ、モカ、スパイスの香りが重なり、豊かに広がっていく。濃厚な果汁と存在感のあるタンニンを特徴とし、力強く、調和のとれた味わいを楽しめる。

ぶどう品種:カベルネ・ソーヴィニヨン、シラー
味わい:赤・フルボディ
参考小売価格:5600円(税別)
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ドメーヌ・ポール・マス レ・タンヌ オクシタン シャルドネ

ラングドック地方のシャルドネを100%使用してつくる、リュットレゾネ(減農薬栽培)のワイン。自然派ワインを手頃に楽しみたい人におすすめの1本だ。新鮮なフルーツの魅力が詰まった、フレッシュで程よいコクのある味わいが楽しめる。

ぶどう品種:シャルドネ
味わい:白・中口~辛口
参考小売価格:750ml/1300円(税別)、375ml/950円(税別)
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About the author /  KYOKO
KYOKO

出版社勤務を経てフリーランス編集ライターに。旅、グルメ、美容を中心に執筆や編集を行っている。大酒飲みで、旅先でご当地酒を飲むのが好き。最近はビオワインにハマリ中。