コラム

「第25回ジャパン・ワイン・チャレンジ2022」発表 ~最高賞にハンガリーの貴腐ワイン「トカイ・アスー・6プットニョシュ・セレクション 2017」

アジア最大規模のワイン審査会の1つである「第25回ジャパン・ワイン・チャレンジ2022」が、2022年11月2日から4日間にわたって開催された。最高賞のBEST OF SHOWのほか、トロフィー賞、プラチナ賞など各賞が発表され、2023年2月17日にはコンラッド東京ホテルにおいて、トロフィー賞の授賞式が開催された。

ジャパン・ワイン・チャレンジと第25回大会の概要

「ジャパン・ワイン・チャレンジ(Japan Wine Challenge:JWC)」は、1997年に設立され、毎年日本で開催されているアジア最大規模の国際ワインコンクールだ。世界各国から多くのワインがエントリーし、その中から、BEST OF SHOWのほか、トロフィー賞、プラチナ賞、金賞、銀賞、銅賞が選ばれる。また、部門ごとにベストワインも選出される。

JWCでは、最初に20点満点でワインを評価し、19点以上をプラチナ賞、18点以上を金賞、17点以上を銀賞、15.5点以上を銅賞に決定。その後、プラチナ賞、金賞を獲得したワインの中からトロフィー賞を、トロフィー賞を獲得したワインの中からBEST OF SHOWを選出する。

第25回目となるJWC2022は、2022年11月2~5日の4日間開催された。今年度は、世界21カ国から1200種類以上のワインがエントリー。その中から、最高賞のBEST OF SHOWに、ハンガリーのグロフ・デゲンフェルドが産する貴腐ワイン「トカイ・アスー・6プットニョシュ・セレクション 2017」が選出された。また、BEST OF SHOWを含むトロフィー賞18種、プラチナ賞14種、金賞63種、銀賞192種、銅賞に495種のワインが選出された。

JWC2022 BEST OF SHOWを受賞したワイン

最高位のBEST OF SHOWを獲得したのは、ハンガリーのグロフ・デゲンフェルドが産する貴腐ワイン「トカイ・アスー・6プットニョシュ 2017」だ。

トカイ・アスー・6プットニョシュ・セレクション 2017

生産者:グロフ・デゲンフェルド
参考小売価格:約8800円(税込)
アルコール度数:約11%

「トカイ・アスー・6プットニョシュ 2017」は、BEST OF SHOWのほか、白ワインで最高と認められたワインに授与されるTrophy for Best White Wineと、デザートワインで最高と認められたワインに授与されるTrophy for Best Dessert Wineも受賞している。グロフ・デゲンフェルドのワインは2019年から4年連続でトロフィー賞を獲得しており、2019年にもBEST OF SHOWに選出されている。

グロフ・デゲンフェルドは、1857年に設立された歴史あるワイナリーで、ハンガリー東部のトカイ地方に位置する。トカイは、ハンガリーの首都ブタペストから北東に200kmほど離れた、スロバキアやウクライナとの国境近くにある。貴腐ワイン「トカイ・アスー」は、世界3大貴腐ワインの1つと称されていて、グロフ・デゲンフェルドは数百年続く歴史と伝統を守りながら、トカイの地で最高級の貴腐ワインを生み出している。

ハンガリーの貴腐ワインは「アスー」と呼ばれ、白ワインに貴腐ぶどうでつくった貴腐ワインをブレンドしている。ブレンドに使用した貴腐ぶどうの量が分かるように、プットニと呼ばれる、かご1杯分のぶどうを1プットニョシュとして示している。136Lの樽当たりプットニ1杯分の貴腐ぶどうを使用している場合は、1プットニョシュとなる。つまり、「トカイ・アスー・6プットニョシュ 2017」は、かご6杯分の貴腐ぶどうを使用していることになり、その残留糖度は1Lあたり150~180gになるという。

「トカイ・アスー・6プットニョシュ 2017」は、熟成がまだ5年という短さでありながら、味も香りも完成されていて、他に類を見ない貴腐ワインと評されている。

JWC2022 トロフィー賞を受賞した日本ワイン

トロフィー賞のうち、Trophy for Best Japanese Sparkling Wineを受賞した「スパークリングワイン・Wa」、Trophy for Best Japanese White Wineを受賞した「シャトーマルス 甲州・ヴェルディーニョ 2021」、Trophy for Best Japanese Red Wineを受賞した「シャトーサンサンメルロ2019」を紹介する。

スパークリングワイン・Wa(SPARKRING WINE Wa)

生産者:岩手くずまきワイン
参考小売価格:1925円(税込)
アルコール度数:12.5%

「スパークリングワイン・Wa」は、岩手くずまきワインが産するスパークリングワイン。金賞と、日本産スパークリングワインで最高と認められたワインに授与されるTrophy for Best Japanese Sparkling Wineを受賞した。

岩手くずまきワインは、岩手県葛巻町の平庭高原に位置する。「山ぶどうワインで町おこし」を目的に、1986年に設立された第三セクターのワイナリーだ。

「スパークリングワイン・Wa」は、醸造用の種ありデラウエアとリースリングフォルテを使用した白のスパークリングワイン。程よい酸味とほのかな苦味を持つ、辛口のワインに仕上がっている。

他に岩手くずまきワインが産したワインは、銀賞に「ナドーレ・赤」が、銅賞に「レアリティ・赤」「蒼―あお―」「澤登ブラックペガール」「星―ほし―」が選出された。

シャトーマルス 甲州・ヴェルディーニョ 2021

生産者:本坊酒造 マルス穂坂ワイナリー
参考小売価格:1738円(税込)
アルコール度数:11%

「シャトーマルス 甲州・ヴェルディーニョ 2021」は、本坊酒造 マルス穂坂ワイナリーが産する辛口の白ワイン。甲府盆地で栽培した甲州ぶどうを使用し、かんきつ類の香りと酸味を持つ。今大会では、金賞と日本産白ワインで最高と認められたワインに授与されるTrophy for Best Japanese White Wineを受賞した。

マルス穂坂ワイナリーは、1872年創業の本坊酒造が2017年に設立したワイナリーで、山梨県韮崎市の穂坂町に位置する。醸造所には、高低差を利用したグラビティ・フロー設計を取り入れ、“芳醇な味わいと優雅な薫りのハーモニー”をテーマに、繊細なワインづくりをしている。

他に同ワイナリーからは、銀賞に「穂坂日之城 シャルドネ 2021」「穂坂三之蔵 メルロー&カベルネ 2017」、銅賞に「穂坂日之城 キャトル・ルージュ 2020」「穂坂 マスカット・ベーリーA 樽熟成 2020」「穂坂収穫 ブラン 2021」「白根 甲州シュール・リー 2021」「甲州 オランジュ・グリ 2021」が選出された。

シャトーサンサンメルロ2019

生産者:サン・ビジョン サンサンワイナリー
参考小売価格:5500円(税込)
アルコール度数:12%

「シャトーサンサンメルロ2019」は、サン・ビジョン サンサンワイナリーが産する赤ワイン。金賞と、日本産赤ワインで最高と認められたワインに授与されるTrophy for Best Japanese Red Wineを受賞した。

サンサンワイナリーは、社会福祉法人サン・ビジョンが設立したワイナリーで、長野県塩尻市に位置する。塩尻市と諏訪市を結ぶ中山道沿いにあった耕作放棄地を整備してワイナリーにすることで、地域の環境保全と振興を実現しようと、2011年に植樹、2015年に醸造を開始した。

ワイナリーでは、良いぶどうが良いワインを生み出すという考えのもと、テロワールを大切にしたぶどうづくりをしている。「シャトーサンサンメルロ2019」は、新梢一枝に一房という通常の半分になる収量制限をして栽培したメルローを使用。ステンレス発酵をしてから、フレンチオーク樽で11カ月熟成させている。適度な酸と凝縮された味わいを楽しめる、フルボディの赤ワインに仕上がっている。

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