コラム

南アフリカを代表するマリヌーのエントリーワイン「クルーフ・ストリート」の2本 ~「マリヌー生産者来日セミナー」レポート③

南アフリカの国内外で高い評価を受けるワイナリー、マリヌー(Mullineux)。2023年11月28日、創業者の1人であるクリス・マリヌー氏が来日し、輸入元のモトックス(Mottox)主催でテイスティングセミナーを開催した。

オーナー醸造家のクリス・マリヌー氏

今回はマリヌーのワインの中から、「一貫してスワートランドの素晴らしさを感じてもらえるワイン」とクリス氏が表現する、エントリークラスの「クルーフ・ストリート(Kloof Street)」シリーズについて紹介する。

「クルーフ・ストリート」シリーズの2本

エントリークラスだが手を抜かず、スワートランドの素晴らしさを知ってもらうことを目指し、細かいところまで力を入れてつくっている。天然酵母で発酵させており、スワートランドの天然のテクスチャーを感じてもらえるシリーズだ。

それぞれの品種や土壌の説明は、レポート②で解説しているので、併せて参考にしてほしい。

【関連記事】
南アフリカの銘醸地スワートランドとは ~「マリヌー生産者来日セミナー」レポート②

クルーフ・ストリート オールド・ヴァイン シュナン・ブラン 2022

38年以上の古樹のぶどうを使用。果実のフレッシュさを表現するために、80%をステンレスタンク、残りを旧樽で発酵している。酸をまろやかにするマロラクティック発酵(MLF)も自然に行っている。気候や土壌がワインにテクスチャーを与えているため、クリーミーさを出す必要がなく、撹拌はしていない。

タイプ:白・辛口
品種:シュナン・ブラン100%
土壌:石の多いシェール、シスト(カスティールバーグ地区)、風化した花崗岩(バールデバーグ地区)
希望小売価格:2500円(税別)

【クリス・マリヌー氏のコメント】
華やかさがある。ドライに仕上げているが、エネルギッシュでリッチな要素もある。口の中に広がる重厚感は、糖度やアルコール度数からくるものではなく、古樹によるもの。

比較的手に取りやすい価格なのに、これだけの品質を楽しめるということから、南アフリカを知るワインとしておすすめしたい。

クルーフ・ストリート スワートランド ルージュ 2021

マリヌーが最も重視しているというシラーを主体に、スワートランドで歴史的にも重要な4つの品種をブレンド。60%を全房で破砕し、天然酵母にてステンレスタンクで4週間発酵させる。フレンチオーク樽の旧樽でMLF後、11カ月熟成させている。

タイプ:赤・ミディアムボディ
品種:シラー57%、グルナッシュ・ノワール27%、サンソー9%、ティンタ・バロッカ7%
土壌:石の多いシェール、シスト(カスティールバーグ地区)、風化した花崗岩(バールデバーグ地区)
希望小売価格:2500円(税別)

【クリス・マリヌー氏のコメント】
フレッシュ感とエネルギッシュさのあるワインに仕上げた。1月や2月の収穫期にスワートランドに来ると、暑くて乾燥しているため、リッチでボリュームのあるワインが出来るだろうという印象を持つかもしれない。しかし、収穫のタイミングを見極めることで、気候のイメージとは違う要素が感じられるワインになっている。

マリヌーの3つのシリーズの中から、今回はエントリークラスの「クルーフ・ストリート」のワインを紹介した。次回は、フラッグシップワインの「シグネチャー(マリヌー)」シリーズのワイン3本を紹介する。

【関連記事】「マリヌー生産者来日セミナー」レポート
①南アフリカのトップワイナリーとして知られるマリヌー、生産者が語るそのワインづくりとは
②南アフリカの銘醸地スワートランドとは

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About the author /  鵜沢 シズカ
鵜沢 シズカ

J.S.A.ワインエキスパート。米フロリダ州で日本酒の販売に携わっている間に、浮気心で手を出したワインに魅了される。英語や販売・営業経験を活かしながら、ワインの魅力を伝えられたら幸せ