コラム

シャトー・オー・ブリオンの特徴は? 親しみやすい味わいの極上シャトー ~ 解説:ボルドー5大シャトー

   

1855年、メドック格付けにメドック地区外から唯一ランクインし、第一級に格付けされたのがシャトー・オー・ブリオンだ。それほどに名声を得ていたグラーヴ地区の雄、シャトー・オー・ブリオンは、他の第一級シャトーと異なる味わいを持つ。

ボルドー「5大シャトー」を取り上げる本シリーズ、今回はその「シャトー・オー・ブリオン」について紹介していこう。

Haut Brion Fac- Les vignobles de Bordeaux

ボルドーで技術革新を進めた立役者

1533年よりぶどう栽培を開始し、1649年にワインづくりに着手したシャトー・オー・ブリオン。このシャトーでは当時より、クオリティの高いワインを安定してつくるため、熱心な研究が進められていた。

シャトー・オー・ブリオンは世界で初めて「澱引き」や「ウイヤージュ(補酒)」といった技術を採用。理想的な状態での長期熟成を可能にし、結果としてイギリスで爆発的な人気になったという。ロンドンではシャトー・オー・ブリオンを扱う酒屋が盛況となり、「新しいフランスのクララット(赤ワイン)」として王室でも振る舞われた。

シルキーでエレガント、柔らかな味わい

シャトー・オー・ブリオンは5大シャトーの中で、最も「エレガント」で「香り高い」、そして「親しみやすい」と表現される。

この特徴は、独特のブレンドが引き出すものだ。他の4シャトーとは異なり、カベルネ・ソーヴィニヨンの比率とメルローの比率が拮抗し、メルローがカベルネ・ソーヴィニヨンより多くブレンドされる年もある。そのため、メルローの持つ柔らかさや滑らかさが際立つ味わいとなるのだ。

Chateau Haut-Brion

閉じたタンニンが少ないため、他のシャトーのワインよりも早い時期から楽しめて、飲みごろが長いワインと言われている。

合理性を追求する小さなシャトー

シャトー・オー・ブリオンは5大シャトーの中で、最も小さな規模だ。このシャトーをよく表している性格として、合理性追求のための技術革新に熱心なことが挙げられる。

「澱引き」や「ウイヤージュ(補酒)」のテクニック採用などに加え、忘れてはならないのが、ボルドーで最も早くステンレスタンクを導入したシャトーであるということだ。

Cuves Haut-Brion

ステンレスタンクの導入により、適切な温度管理が行えるようになった。また、6時間に1度行われる「ルモンタージュ」という工程が自動化され、省人化も可能となった。

シャトー・オー・ブリオンのおすすめワイン銘柄

シャトー・オー・ブリオンのつくるワインは次のとおりだ。

シャトー・オー・ブリオン

シャトー・オー・ブリオンのファースト・ラベル。メドック5大シャトーの中で最も親しみやすい味わいと評される。他の4シャトーよりもメルローのブレンド比率が目立って高く、そのため柔らかで滑らかな味わいを特徴とする。
chateau haut-brion

ラ・クラレンス・ド・オー・ブリオン

シャトー・オー・ブリオンのセカンド・ラベル。1935年よりシャトーのオーナーになったクラレンス・ディロン氏の名前から名付けられた。ファーストに使われるぶどうと全く同じ区画の若樹から採れたぶどうを使用する。

It's #wineoclock with Le Clarence De Haut-Brion 2008. #wine woodsy, leather, cassis,

シャトー・オー・ブリオン・ブラン

ボルドーで最も高級な白ワインのひとつとして知られる。セミヨンとソーヴィニヨン・ブランをほぼ半々のバランスで使用したすっきりとした逸品。赤のシャトー・オー・ブリオンと匹敵するほど高価な白ワインだ。

1990 Haut Brion Blanc

ラ・クラルテ・ド・オー・ブリオン・ブラン

オー・ブリオン・ブランとは向かいの畑からつくられるシャトー・ラ・ミッション・オー・ブリオン・ブラン。その両者のワインをつくるぶどうが採れた同じ畑のぶどうから生み出した白ワインがラ・クラルテ・ド・オー・ブリオン・ブラン。いわば白のセカンド・ラベルだ。非常に少ない生産量から、限られた人たちに愛されてきた秘蔵のワインだ。

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About the author /  Yayoi Ozawa
Yayoi Ozawa

フランス料理店経営ののち、ワインとグルメ、音楽を専門とするライターへ転身