コラム

シャトー・ペトリュスの特徴は? 1本数十~数百万円、フランス最高峰のメルロー[覚えておきたいワインブランド]

   

フランス・ボルドーのワインと言えば、左岸・メドックの格付け第一級の5大シャトーが有名だ。

一方、右岸・ポムロールを代表するワインのつくり手が「シャトー・ペトリュス」だ。生産量の少なさも相まって、今やペトリュスのワインは5大シャトーよりも高値、1本数十万~数百万円という価格で取引されるようになった。

Chateau Petrus wines

有名な評論家、ロバート・パーカーをして「ワインというより神話の象徴」と言わしめたこのワインについて、本コラムで紹介していこう。

聖人の名を冠したワイン

「ペトリュス」とはラテン語の言葉。英語の「ピーター」やフランス語の「ピエール」と同じ語源を持ち、「石」という意味がある。同時に、十二使徒の聖ペテロという意味もあり、1930年代からシャトー・ペトリュスのラベルには聖ペテロの絵が描かれている。

17世紀ごろにこの集落が「ペトリュス」と呼ばれていたために、ワインにもこの名前が付けられたと考えられる。

1878年にパリで行われた博覧会にて、ポムロールのワインとして初めて金賞を受賞し、シャトー・ペトリュスは知名度を上げた。20世紀の半ばころからは、数々の富豪に愛されるワインとして世界に知られるようになる。

Chateau Petrus

メルローの底力を出し切る栽培条件

ペトリュスの畑の土壌は粘土質で、メルローの栽培にとても適している。水はけの良い土壌を好むカベルネ・ソーヴィニヨンとは異なり、メルローの好む粘土質の土壌は、スポンジのように適度な水分を保水できるのが特徴だ。

この土壌で生育したメルローを、適度な間引きを経て、品質の良いものだけに厳選していく。もともと小さな畑であるが、この間引きにより収穫量は減り、質は向上する。

Chateau Petrus

最も入手困難なメルロー

2006年のプリムール(先物取引)では、近年最高の当たり年とされる2005年のペトリュスが、約34万円という前代未聞の高値をつけたことが話題となった。今や名実ともにボルドー最高峰のワインと言えるだろう。

100%メルローを用いてはいるが、一般に言われるような「早飲みできる」「口当たりの優しい」メルローとは一線を画し、最低でも10年の熟成を経ないと真価を味わうことはできないとされる。経年とともに、トリュフなどのセクシーな香りと印象の複雑さを増す。メルローの絹のような果実味は、煮詰めたジャムのような極上の味わいとなり、滑るような比類ない舌触りを楽しめるという。

ペトリュスのおすすめワイン銘柄

・シャトー・ペトリュス
Chateau-Petrus
シャトー・ペトリュスではセカンドラベル等は醸造しておらず、このファーストラベルのみをつくっている。
新しいヴィンテージでも30万円前後の値をつけることが多く、ワイン愛好家の間で争奪戦となるため、市場に出回ることが少ない。

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About the author /  Yayoi Ozawa
Yayoi Ozawa

フランス料理店経営ののち、ワインとグルメ、音楽を専門とするライターへ転身