2009年からの10年間で大きく輸入数量を増やしたスパークリングワイン。家で気軽に飲める2000円以下のものから高価格帯まで、広く楽しまれているというが、好調の理由は何だろうか。また、今後はどう展開されていくのだろうか。
メルシャンが2020年7月に公開した「ワイン参考資料」や過去の記事を基に、この10年のスパークリングワインの動向をまとめてみた。
特別な日の飲み物から日常で楽しめる存在へ
リーマンショックによる景気低迷の影響を受けて、スパークリングワインは一時大きく落ち込んだが、景気回復と共に輸入数量は回復し、順調に数字を伸ばしている。
2019年には、日本と欧州連合(EU)の経済連携協定(EPA)発効による関税即時撤廃の影響でEU各国からの輸入量が増加。2019年の輸入数量は前年比121.3%の4万3828klと、2009年の2倍以上になった。EUの中でも、特にカヴァを産するスペインからの輸入量増加が目立っている。
2010年以降は2000円以下のリーズナブルなスパークリングワインが人気で、近年では高価格帯の消費も堅調だという。
以前はクリスマスや祝い事など、特別な日の飲み物という印象があったスパークリングワインだが、現在は普段の食卓で楽しめる飲み物になったといえそうだ。
ワインファンの裾野を広げる存在としても期待
サントリーワインインターナショナルが実施したグループインタビューによると、「初めて飲んだワイン」として、30~40代ではスパークリングを挙げた人が多かった。
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この結果を受けて、同社が発売したのが和テイストのスパークリングワイン「雫音(しずね)」だ。「珍しさから一度だけ手に取った」で終わらず、新たなワインユーザーを取り込むために、品質の良さを追求してつくられた。
また、メルシャンでは、「飲みやすい」「買いやすい」「使いやすい」を満たし、気軽に楽しめるスパークリングワインを新カテゴリー「カジュアルスパークリング」として設定。「おいしい酸化防止剤無添加ワイン シードル」や「メーカーズレシピ スパークリング ウィズ ホップ」を展開する。他にも、「ビストロ スパークリング」のパッケージをリニューアルするなど、カジュアルスパークリングのラインアップ強化に力を注いでいる。
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若者がワインに触れるきっかけとなり、ワインファンの裾野を広げる存在として、ワインメーカー各社はスパークリングワインに期待を寄せているようだ。
<関連リンク>
メルシャン「ワイン参考資料2020」