コラム

イタリアでつくった日本向けのスパークリングワイン「メルシャン・ワインズ カンティアーモ スプマンテ」のこだわりと楽しみ方 ~「メルシャン・ワインズ スパークリングワイン新商品体験会」レポート②

メルシャンは2023年8月29日、ワインブランド「Mercian Wines(メルシャン・ワインズ)」初となるスパークリングワイン「メルシャン・ワインズ カンティアーモ スプマンテ」2種(ブリュット、ロゼ)を発売した。発売に先駆けて、同月21日にGOOD MORNING CAFÉ(東京都中野区)で「メルシャン・ワインズ スパークリングワイン新商品体験会」が開催された。

今回は、体験会の内容の中から、イタリアで日本向けにつくられたスパークリングワインへのこだわりや、カンティアーモの楽しみ方について紹介する。

「メルシャン・ワインズ カンティアーモ スプマンテ」とは

ト音記号が目を引く。「カンティアーモ」は、「一緒に歌いましょう!」という意味。参考小売価格1160円

「メルシャン・ワインズ カンティアーモ スプマンテ」は、「Mercian Wines(メルシャン・ワインズ)」初のスパークリングワインだ。「喜びのひとときを華やかに演出、大切な誰かとの幸せな乾杯に」をテーマに、メルシャンとパートナーワイナリーが、日本の消費者のためにつくり上げた。

イタリアのスパークリングワインの1つであるスプマンテは、フランスのシャンパーニュやスペインのカヴァ(カバ)のような瓶内二次発酵方式ではなく、タンクで二次発酵をするシャルマ方式が主流だ。シャルマ方式では、日本の消費者が望むフレッシュな味わいのスパークリングワインに仕上がる。

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新発売の「メルシャン・ワインズ カンティアーモ スプマンテ」は、ブリュットとロゼのどちらも「ジルベール&ガイヤール インターナショナル・チャレンジ(Gilbert & Gaillard International Challenge) 2023」で金賞を受賞している。

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パートナーのカーサ・ヴィニコーラ・ボスコ・マレラ

今回、メルシャンが共創パートナーとして選んだのが、カーサ・ヴィニコーラ・ボスコ・マレラ(ボスコ社)だ。

イタリアのベネト州に拠点を置く、約4000haの畑を所有する生産者組合で、自社畑を熟知した生産者がテロワールの特徴を反映したワインづくりをしている。「インターナショナル・ワイン・チャレンジ(International Wine Challenge:IWC)」などの著名な国際コンクールで、数多くの受賞歴があるつくり手だ。

本拠地があるのは、水の都ベネチアで有名なベネト州のトレビーゾ。アルプス山脈とアドリア海からの風で冷やされ、酸度を保った状態で熟したぶどうを早朝から収穫し、すぐにプレスすることで、日本の消費者がスパークリングワインに求める“際立つフレッシュさ”をキープしている。

ボスコ社は、イタリアの環境省が作成したガイドライン「VIVA sustainable wine」に基づいた取り組みを行っている。さらに、得た収益を設備や従業員に投資して競争力を向上させたり、ぶどうとワインの文化を新しい世代へ引き継ぐことを目指すなど、メルシャンがパートナーの条件として求める「サステナブルへの取り組み」と「品質の高いワインづくり」を兼ね備えているつくり手だ。

日本とイタリアのつくり手

今回の「メルシャン・ワインズ カンティアーモ スプマンテ」は、日本とイタリアの2人のつくり手が手掛けている。

1人は、シャトー・メルシャンの勝野泰朗(かつの・やすあき)氏(写真右)だ。現在は技術部で「メルシャン・ワインズ」などの商品開発に携わっているが、日本とフランスで栽培から醸造までの豊かな経験を持つベテラン。2013年には、フランスの国家資格エノログ(ワイン専門分野の職務を行える醸造技術者の資格)を取得している。

勝野氏は、今までは「日本のあわ」など、瓶内二次発酵のスパークリングワインに携わってきたが、シャルマ方式は初めてだったとのこと。「今回の取り組みは、エキサイティングだった。新しい挑戦だったので、勉強から始めた」と振り返っている。

もう1人は、ボスコ社のカブリエル・ロレンツォン氏(写真左)。若いつくり手だが、1年に1回しか醸造できないスティルワインとは異なり、シャルマ方式でつくられるスプマンテは、1年に何回でも手掛けられるので、若さ以上の経験値を積んでいるとのこと。

勝野氏は、ロレンツォン氏について「若さゆえのパッションもあり、つくりたいと言う思いを真摯(しんし)に受け止めて、試作品をつくっていた」と語っている。

味わいへのこだわり

クリーミーな泡を持つ、手頃で飲みやすいワインを手掛け、既に国際的に評価されていたボスコ社。メルシャンがさらに求めたのが、華やかな香りと酸度の高い酒質だ。

●華やかな香り
ボスコ社のスパークリングワインから、さらに日本の消費者が求めている華やかな香りを追求するためにこだわったのが酵母だ。二次発酵では酵母にこだわる生産者は少ないが、今回は酵母にこだわって試作を重ねることで、より良い香りを生み出せたという。

●酸度の高い酒質
年に1度のぶどうの収穫でベースワインをつくり、タンクの中で二次発酵させ、タイミングを見て瓶詰めして出荷するシャルマ方式のサイクルでは、最短2カ月でフレッシュな状態のスパークリングワインが出来上がる。しかし、日本へは船便で2~3カ月ほどかかるため、出来上がった状態ではおいしくても、時間の経過と共に酸が熟成して味わいが変わってしまう。そのため、日本に届いた時に酸が丸みを帯びて飲み頃になるように予測して、瓶詰め時点では酸が際立っている酒質を選んだそうだ。

また、ラベルにぶどうの品種は表示されていないが、これは求める味わいに応じてロットごとに品種の構成を変えているからとのこと。日本に届く第1弾は、ブリュットはグレーラ主体、ロゼはメルロー主体でつくられている。

気になる味わいと楽しみ方は?

それぞれのテイスティングコメントを見ていこう。テイスティングコメントは、シャトー・メルシャンの勝野氏によるもの。

「メルシャン・ワインズ カンティアーモ スプマンテ ブリュット」テイスティングコメント

きれいな淡いレモン色。若々しさを感じさせる。レモンのようなシトラス感やかんきつのゼストのような心地よい苦味を感じる、バランスの良い味わい。

「メルシャン・ワインズ カンティアーモ スプマンテ ロゼ」テイスティングコメント

フランス・プロヴァンス産ロゼのような美しい色合いのサーモンピンク。日本のサクランボのような爽やかな香り、イチゴの優しい甘い香り。果皮からくるうま味、ボリュームがしっかりしており、泡もクリーミー。心地よい、バランスの良いロゼ。

楽しみ方いろいろ

●幅広い食事と共に
幅広い食事に合わせやすいイメージのロゼだけではなく、ブリュットも料理に合わせやすい。

体験会では、さまざまな料理とのペアリングを試せた。いろいろな食材を使ったアペタイザーは、ロゼ、ブリュット問わず相性抜群。ポークのローストと粒マスタードソースをブリュットに合わせると、クリーミーな泡と後味のほんのりとした甘やかさが、食材とソースにマッチした(写真右)。ブリュット、ロゼ共に、食材や味付けのうま味に寄り添ってくれる味わいで、アペタイザーからデザートまで、食事を通して楽しめる。

時間をかけて飲むと泡の勢いは弱まっていくが、味わいがしっかりしているので長く楽しめる。

●氷を入れてもOK

氷を入れても個性が失われないしっかりとした味わいのため、暑い日やアルコール度数を少し下げて楽しみたいときにもぴったりだ。

●フルートグラス以外でも
スパークリングワインというと、フルートグラスで飲むものというイメージがある人も多いだろう。勝野氏によると、「香りが繊細なスプマンテは、フルートグラスではなく普通のワイングラスでゆっくりと味わうもの」と現地の人から教えてもらったそうだ。

「泡は抜けやすくなるが、スプマンテは泡の勢いだけを楽しむものではないので、普通のワイングラスでゆっくり楽しんでほしい」と語っていた。

人が集まる機会や家族の時間、さらに1人の時間を華やかに楽しみたいときに、手に取ってみてはいかがだろうか。

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About the author /  鵜沢 シズカ
鵜沢 シズカ

J.S.A.ワインエキスパート。米フロリダ州で日本酒の販売に携わっている間に、浮気心で手を出したワインに魅了される。英語や販売・営業経験を活かしながら、ワインの魅力を伝えられたら幸せ