コラム

ワインなのに「バリスタ」と名付けられたピノタージュとシャルドネとは ~「DISCOVER SOUTH AFRICA TOKYO 2023」レポート⑨

南アフリカワイン協会(Wines of South Africa:WOSA)は2023年10月17日、年に一度の南アフリカワインの大試飲会「DISCOVER SOUTH AFRICA TOKYO 2023」を開催した。同日に2回開催したマスタークラスは、申し込み多数により抽選となるほどの大盛況となった。

同試飲会のレポートでは、19社のインポーターと6社の未輸入ワイナリーが一堂に会した中から、いくつかのワイナリーとそのワインをピックアップして紹介してする。

今回は、ワインでありながら「バリスタ」と名付けられた、コーヒースタイルのワインを紹介する。

「バリスタ」シリーズとは

ワインでありながら、コーヒーのスペシャリストの称号である「バリスタ」と名付けられたこのシリーズ。果実感のしっかりしたピノタージュ(南アフリカで誕生した、サンソーとピノ・ノワールを掛け合わせた品種)と強めに焼いた樽を使用して仕上げたコーヒースタイルの赤ワインだ。

ワインメーカーのベルタス・フォーリー氏が、南アフリカのワイン卸売業者Vinmarkと共同開発し、ピノタージュを使用して初めてコーヒースタイルのワインをつくり出した。

コーヒースタイルでつくられたワインは、他のメーカーも手掛けているため、飲み比べてみても楽しいだろう。その中でも、特にリーズナブルな価格帯で楽しめるのが「バリスタ」シリーズだ。

「バリスタ」シリーズのワイン

DISCOVER SOUTH AFRICA TOKYO 2023で出展されていた、「バリスタ」シリーズのワインは2本となる。1本はコーヒースタイルのイメージがつきやすいピノタージュ。もう1本は、意外なシャルドネだ。

テイスティングコメントは、輸入元のスマイルによるもの。

バリスタ ピノタージュ 2021

厳選されたヴィンヤードのピノタージュを使用している。ミディアムトーストのフレンチオークの新樽で発酵させ、酸を和らげるマロラクティック発酵(MLF)を施した後に、澱とともにワインを4カ月熟成させている。

コーヒーのロースト香があり、口に含むと苦味と酸味のある芳醇なベリーの味わいが楽しめる。濃いワインが好きな人やコーヒー好きな人におすすめしたい1本だ。単体でも楽しめるワインだが、酸味としなやかなタンニンがあり、濃厚な肉料理や青カビチーズなどとも相性がよい。

【テイスティングコメント】
プラムやチェリー、桑の実のニュアンスに、コーヒーとチョコレートの濃厚な香り。滑らかで柔らかいタンニンと、穏やかな酸味がバランスよく取れている。

Barista Pinotage 2021
アルコール分:13.0%
品種:ピノタージュ100%
生産地:ウェスタン・ケープ
参考小売価格:1707円(税別)

バリスタ シャルドネ 2022

厳選されたヴィンヤードのシャルドネを使用し、トーストしたフレンチオークとアメリカンオークで澱を取り除いたピュアな果汁のみを発酵させている。熟成は澱と共に6カ月行う。

こちらもトーストした樽と豊かな果実味を生かしたワインだが、味わいはコーヒーというよりも乳製品のようなまろやかさ、洋ナシやモモのような果実味がある。後味にかんきつの皮のような苦味があり、魚介やチキン、揚げ物、ソテーなどと相性がよさそうで、ぜひ料理と一緒に楽しみたいと思えるワインだった。

【テイスティングコメント】
シトラスと熟したモモの華やかな香り。シトラスのニュアンスが感じられ、セイヨウスグリとヴァニラオークのリッチで長い余韻が続く。

Barista Chardonnay 2022
アルコール分:12.5%
品種:シャルドネ100%
生産地:ウェスタン・ケープ
参考小売価格:1707円(税別)

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About the author /  鵜沢 シズカ
鵜沢 シズカ

J.S.A.ワインエキスパート。米フロリダ州で日本酒の販売に携わっている間に、浮気心で手を出したワインに魅了される。英語や販売・営業経験を活かしながら、ワインの魅力を伝えられたら幸せ