2016年6月に国民投票によって決定したイギリスのEU離脱。2016年10月末時点では、どのような形で離脱するのかは定まっていない。
EU加盟国間ではこれまで、輸出入にかかる関税が不要だった。ワイン産出国の多いEUにおいて、イギリスの離脱はワイン産業にはどんな影響を与えるのだろうか。
スペインのワイン産業に打撃か?
イギリスのEU離脱について、ベルギーのシンクタンク「Farm Europe」は、スペインのワインと豚肉の輸出に大きな打撃を与えると考えているようだ。
ぶどうの栽培面積では世界一を誇っているスペイン。ワインづくりは紀元前から行われており、特にローマ時代に盛んになったという。
1500年代からアンダルシア地方のへレスで生産されたシェリー酒がイギリスへ輸出されている。世界で広く飲まれるようになったきっかけも、1800年代にイギリス国内で人気を得たからだと言われている。
現在もイギリスはスペインのワイン産業にとって、主要市場であるのは変わりない。
イタリア北部のワイン産業にも影響か
イギリスで近年人気が出ているのが、イタリア・ヴェネト州で生産されているプロセッコだ。
プロセッコは同名のぶどう品種を使った白の発泡ワインで、シャンパンなどと比べても価格が安く、フルーティな味わい。若い世代を中心に人気が出ているという。
2015年にはイギリス向けの輸出量が前年比で50%アップし、輸出量全体の3分の1を占めるほどになったという。
イギリスのEU離脱がプロセッコの売れ行きに与える影響について、日本でもNHKが6月に「私たちがここ数年築き上げてきた販路やビジネスを失うことになります」と語るプロセッコの生産者団体・代表者の声を紹介している。
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