コラム

11月24日は「和食の日」! 五法・五味・五色・五適・五覚から和食と日本ワインのマリアージュを考える

11月24日は「和食の日」だということをご存じだろうか? 実りの季節である秋は、日本の食文化にとって重要な時期であることから、「いいにほんしょく」の語呂に合わせて制定された。

「いい和食」に合うワインとはどんなものだろうか。和食と、日本の土と水で育ったブドウを使用して日本の風土の中で熟成される日本ワイン。両者のマリアージュを楽しむコツをメルシャンが紹介してくれた。

和食に大切な5つの“五”とは

和食には大切な5つの“五”がある。それが次に挙げていく「五法」「五味」「五色」「五適」「五覚」だ。

【五法:5つの調理法】

「生(切る)」「煮る」「焼く」「揚げる」「蒸す」
基本的な会席料理には、必ずこの5つの調理法で作られた料理が並んでいる。

【五味:5つの味】

「酸味」「苦味」「甘味」「辛味」「塩味」

【五色:5つの色】

「白」「黄」「赤」「青(緑)」「黒」

【五適:5つの適】

「適温」「適材」「適量」「適技」「適心」

【五覚:5つの感覚】

「味覚」「嗅覚」「触角」「視覚」「聴覚」

五法に合わせたワインの選び方

メルシャンの提案によると、調理方法ごとにワインを選ぶポイントがあるという。

生(切る)

和食の代表ともいえる寿司や刺身。ばらチラシや巻き寿司は、年末年始の人が集まるときに作ることが多いだろう。

寿司や刺身にはどんなワインが合うのだろうか。メルシャンのおすすめは、甲州ブドウからつくられる白ワイン。鉄分が少ないことから、生臭さを醸さないという。

日本ワイン以外では、豊富なミネラル感がおいしさを引き立ててくれるシャブリや、スペインのリアスバイシャスワインなどがおすすめだ。

煮る

しょうゆや砂糖を使った甘めの料理には、果実感があって、渋みが穏やかな赤ワインやロゼワインが合う。日本固有のブドウ品種「マスカット・ベーリーA」からつくったワインなどがおすすめだ。

焼く

焼き物に合わせるワインとしてメルシャンがおすすめするのは、「魚ならほろ苦いワイン、肉ならほど良いタンニン、果実味を持つ赤ワイン」とのこと。

ほろ苦いワインと言えば、甲州ワインの特徴だ。土由来のミネラルを感じながら、焼き魚を堪能するのも乙に違いない。

口の中に肉汁が広がるようなずっしりとした肉料理であれば、渋み成分のタンニンの存在感をしっかり味わえるものがいいだろう。

揚げる

揚げ物の油分、スパイシーな味わいにはコショウのニュアンスを持つワインがおすすめとのこと。

日本ワインではないが、黒コショウのニュアンスを求めるならシラー種、白コショウならボルドー地方のグラーヴワインか、ゲヴェルツトラミネールやシルヴァーナーといったブドウ品種を使った白ワインを選ぶとよさそうだ。

蒸す

お出汁やポン酢につけて頂くことが多い蒸し料理。優しい味わいを楽しみたいのなら、果実味と酸味のバランスが良い甲州ブドウからつくられる白ワインがいいだろう。苦みが素材の味わいを引き立てる名脇役を務めてくれる。

五味ごとにワインを選ぶポイント

メルシャンによると、「酸味」には酸味や柑橘香といた共通点のあるワインを、「甘味」には甘味や果実味といった共通点のあるワインを合わせると、相乗効果が生まれるのだとか。

日本食らしさを感じる「苦味」には、ワイン自体もほろ苦いものを選ぶようにと勧めている。

「辛味」のうち、ワサビ系の辛味には、ほんのりした甘みを持つワインを合わせると、甘い香りが辛さを柔らかくしてくれる。トウガラシ系の辛さには、まろやかなタンニンを持つ赤ワインがよいそうだ。

和食の繊細な「塩味」には、キリッとした酸味のある白ワインを合わせるのがいいのだとか。

ちなみに日本を代表する調味料・しょうゆには、マスカット・ベーリーAやピノ・ノワールがよく合うと言われている。和食に合うワインとして、メルシャンがおすすめしてくれたものとしては、「山梨マスカット・ベーリーA」「アンサンブル ももいろ」「山梨甲州」などがある。

ワインの五適

本来、和食の「五適」には、次のような意味がある。

「適温」温かいものは温かく、冷たいものは冷たい状態で。「適材」食べる人の年齢や性別に合った素材を使い選ぶこと。「適量」多すぎず、少なすぎず、適当な量であること。「適技」技巧にこりすぎることなく、適度に手を加えること。「適心」おもてなしの心のこと

引用元:日本調理アカデミー

これをワインに当てはめると、次のようになるだろうか。

適温:ワインには赤・白・ロゼ・スパークリング、そして甘口・辛口などにより、それぞれ魅力を存分に引き出せる温度がある。温度による演出も楽しもう。

適材:品種によるアロマの違いを楽しみ、一緒に飲む相手やシチュエーションに合わせたワインを選ぶようにしよう。

適量:ワインには空気を含むと味わいが深まるものや、フレッシュな香りを楽しむものなどもある。グラスに注ぐ量にこだわるのも重要だ。もちろん飲み過ぎにも注意したいところだ。

適技:ワインを楽しむワイングラスの形状もさまざまだ。ワイングラスで日本酒を楽しむ人もいるが、和の伝統を生かした江戸切子や九谷和グラスなどで日本ワインを味わうのも魅力的だ

適心:和の食材とワインの産地を合わせてみよう。日本ワインだからこそできる演出は、会話を盛り上げてくれそうだ。

和食がユネスコ無形文化遺産に登録されてから約4年。11月24日の「和食の日」や年末年始に、世界が注目する日本ワインと和食とのマリアージュを楽しんでみてはいかがだろうか。

<情報提供元>
メルシャン

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About the author /  鵜沢 シズカ
鵜沢 シズカ

J.S.A.ワインエキスパート。米フロリダ州で日本酒の販売に携わっている間に、浮気心で手を出したワインに魅了される。英語や販売・営業経験を活かしながら、ワインの魅力を伝えられたら幸せ