コラム

シャトー・マルゴー 1900年――約100年後に飲んだロバート・パーカー氏が100点満点を付けたワイン[20世紀を代表するワイン]

「最高のワインは何?」と聞かれて、あなたはどんなワインを思い浮かべるだろうか。

ワインに対する辛口評価で知られるアメリカのワイン専門誌『Wine Spectator(ワインスペクテイター)』は1988年から毎年のベストワインを選んだランキングを発表している。

そんなWine Spectatorが1999年1月に発表したのが「Wines of the Century(20世紀を代表するワイン)」だ。100年間にリリースされた数多くのワインの中から、厳選した12本のワインをリストアップしたものだ。

Wine Spectatorに選び抜かれた12本とは、一体どんなワインなのだろうか。これから1本ずつ取り上げて紹介していきたい。

Wine Spectator Magazine

「シャトー・マルゴー 1900年」はどんなワイン?

Wines of the Centuryに選ばれた1本目は、シャトー・マルゴーの1900年ヴィンテージ。ワイン評論家のロバート・パーカー氏が100点満点を付けたことでも知られている。カベルネ・ソーヴィニヨンを主体にブレンドした赤ワインだ。

2001 Chateau Margaux

あまりにも伝説的なワインのため、偽物が多く出回っていることでも知られている。

シャトー・マルゴーは、メドック1級格付けを得た5大シャトーの1つ。フランスのボルドー地方の中でも高級ワインの生産地として知られるオー・メドックにあり、「シャトー・マルゴーはフランス文化の華、栄光のシンボル」とも言われている。

1900年は非常に暑くて乾燥した夏となったが、適切な降水量など、ぶどうの生育に必要な天候に恵まれた年となった。ぶどうの収穫量も品質も並外れていたという。また、前年の1899年も傑出した品質のヴィンテージとして知られている。

Chateau Margaux

「シャトー・マルゴー 1900年」に対する評価

1987年にWine Spectator誌で発表されたテイスティングメモによると、同誌編集者のHarvey Steiman氏は、「フレッシュで生き生きとしており、深みとクラシックなクラレット(ボルドー産の赤ワイン)の味わいを感じさせる」としている。

パーカー氏が試飲して100点を付けたのは、このワインが誕生してから1世紀近くが経った1996年のことだった。シャトー・マルゴーのワインに対して、パーカー氏は他にも1990年、1996年、2000年のヴィンテージに100点を付けている。

Chateau Margaux.

また、シャトー・マルゴーの公式ホームページは、その味わいを次のように表現している。

1900年と言えば、なにより伝説的な品質だ!
物凄い量にも拘わらずこのワインは、力強さや滅多にない一定した凝縮性を持っている。このヴィンテージは、たちまち熱狂を巻き起こし、想像を絶する1899年を凌駕した。この素晴らしい感動とは2000年まで出逢うことはない。比類ない品質…。
今日でも、シャトー・マルゴー1900年は、常に見事な爽やかさを持ったワインだ。私たちが決して試飲したことがない最も偉大なボトルに数えられている。
ブーケには類まれなフィネスがあり、そしてみずみずしい果実の見事なノートを感じる。アタックには、想像を絶する豊潤さや心地よさがある。フィニッシュは長く続き、美味しく爽やかだ。まさに逸品と言える。

「シャトー・マルゴー 1900年」にまつわるエピソード

シャトー・マルゴーの1900年ヴィンテージは発売当初、たった3ドルだったという。2017年12月現在、海外のワイン情報サイト「Wine Searcher」に掲載されている販売額を見てみると、1400~2800ドル(約160万円~320万円)ほどで取引されている。

このワインはかつて、大阪市のWTC内にあった「ふれあい港館」のワインミュージアムにて展示されていたこともある。閉館後の2009年11月には入札が実施され、82万円で落札されている。

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About the author /  鵜沢 シズカ
鵜沢 シズカ

J.S.A.ワインエキスパート。米フロリダ州で日本酒の販売に携わっている間に、浮気心で手を出したワインに魅了される。英語や販売・営業経験を活かしながら、ワインの魅力を伝えられたら幸せ