コラム

ソノマ・カウンティの魅力を伝える7つのワイナリー ~カリフォルニアワイン・スプリング・テイスティング 2021

カリフォルニアワイン協会(CWI)は2021年3月、毎年春に実施する「カリフォルニアワイン・バイザグラス・プロモーション」に先立ち、「カリフォルニアワイン・スプリング・テイスティング 2021」を大阪(15日)と東京(17日)で開催した。新型コロナウイルス感染症拡大防止のため規模を縮小し、医師監修の下で万全の対策を講じた会場には、「ソノマ・カウンティ」をテーマ産地として、460品目を超えるワインが集まった。

今回は、会場に集まったワインの中から、ソノマ・カウンティのワインをまとめて紹介する。

ソノマ・カウンティとは

ソノマ・カウンティは、カリフォルニア州を代表するワイン産地の1つだ。同じく銘醸地のナパ・バレーと、マヤカマス山脈を挟んで隣接している。

カリフォルニア州近郊の海は寒流で、太平洋岸や南部にあるサン・パブロ湾に近いエリアの気候は冷涼だ。そのため、高品質なピノ・ノワールの産地として注目されている。内陸部は温暖で、カベルネ・ソーヴィニヨンやジンファンデルの産地として、高い評価を得ている。

ソノマには、AVA(アメリカワインの品質を管理するために制定された、アメリカ政府認定のぶどう栽培地域)が18あり、アレキサンダー・バレー、ナイツ・バレー、ロシアン・リバー・バレー、ソノマ・コースト、カーネロス、ペタルマ・ギャップなどが有名だ。また、ソノマ・コーストの中でもより冷涼な海側のエリアが、ウエスト・ソノマ・コーストAVAとして新たに申請されている。

ソノマ・カウンティのワイナリー

今回のスプリング・テイスティングにも、ソノマ・カウンティのワインは多数出品されていた。その中から一部のワイナリーを紹介する。

リッジ・ヴィンヤーズ

ジンファンデルを栽培するのになくてはならない場所、さらには南仏系のぶどうを育てるのに適した場所として、ソノマの畑と向き合っているというリッジ・ヴィンヤーズ。1976年の「パリ・テイスティング(パリスの審判)」でも選出された、高品質のワインを安定して生み出し続けているワイナリーだ。

人為的介入を最小限に抑え、テロワールを表現することにこだわったワインづくりをしているリッジ・ヴィンヤーズのソノマ産ワインは、以下の4本がある。

●リッジ ガイザーヴィル2017
品種:ジンファンデル68%、カリニャン18%、プティ・シラー12%、アリカンテ・ブーシェ2%
産地:アレキサンダー・バレー
参考小売価格:9680円(税込)

●リッジ リットンスプリングス2017
品種:ジンファンデル74%、プティ・シラー15%、カリニャン9%、マタロ(ムールヴェドル)2%
産地:ドライ・クリーク・バレー
参考小売価格:9680円(税込)

●リッジ ジンファンデル イーストベンチ2017
品種:ジンファンデル100%
産地:ドライ・クリーク・バレー
参考小売価格:6600円(税込)

●リッジ ペティト シラー リットン エステート2016
品種:プティ・シラー100%
産地:ドライ・クリーク・バレー
参考小売価格:8580円(税込)

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フリーマン・ヴィンヤード&ワイナリー

フリーマン・ヴィンヤード&ワイナリーは、2001年に家族で立ち上げたワイナリーだ。醸造を手掛けているのは、ワイナリーのオーナーでもあるアキコ・フリーマンさん。有機農業で栽培されたピノ・ノワールやシャルドネを使い、そのヴィンテージの気候でできた味わいを、そのまま表現することを目指している。

エレガントな味わいを特徴としており、2015年には当時のバラク・オバマ米大統領が安倍晋三首相を招いたホワイトハウス公式晩餐会で「涼風シャルドネ」の2013年ヴィンテージが供されるなど、品質の高さへの信頼が厚い。

スプリング・テイスティングには、以下の3本が出品されていた。

●涼風シャルドネ2018
品種:シャルドネ100%
産地:ロシアン・リバー・バレー(グリーン・バレー)
参考小売価格:8140円(税込)

●ピノ・ノワール ソノマ・コースト 2017
品種:ピノ・ノワール100%
産地:ソノマ・コースト
参考小売価格:8470円(税込)

●ユーキ・エステート・ピノ・ノワール 2016
品種:ピノ・ノワール100%
産地:ソノマ・コースト
参考小売価格:1万1550円(税込)

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アーサー・セラーズ

アーサー・セラーズは、日本人醸造家の桃井隆宏氏が立ち上げたワイナリー。「日本で飲もう最高のワイン2016」では、「アーサー ピノ・ノワール 2014」が最高得点で、赤・ミディアム部門のベストワイン賞を受賞するなど、ピノ・ノワールの評価が高いワイナリーだ。

スプリング・テイスティングには、以下の4本が出品されていた。

●ピノ・ノワール ケイアール・ランチ2018
品種:ピノ・ノワール100%
産地:ロシアン・リバー・バレー
参考小売価格:6380円(税込)

●ピノ・ノワール グロリア・ヴィンヤード2018
品種:ピノ・ノワール100%
産地:ロシアン・リバー・バレー
参考小売価格:7920円(税込)

●ピノ・ノワール スプリングヒル・ヴィンヤード 2018
品種:ピノ・ノワール100%
産地:ソノマ・コースト
参考小売価格:5720円(税込)

●シャルドネ ロシアン・リバー・バレー2019
品種:シャルドネ100%
産地:ロシアン・リバー・バレー
参考小売価格:5280円(税込)

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ブロック・セラーズ

ブロック・セラーズは、バークレーの街中にあるアーバン・ワイナリーだ。同ワイナリーのワインは、「ニューヨークタイムズ」に取り上げられてから注目度が高まり、今では“ニューヨークセレブご用達ワイン”と呼ばれている。

サステナブル農法やビオディナミ農法のぶどうを購入し、ワイナリーの設備を最小限に抑えて、オーナー醸造家のクリス・ブロックウェイ氏にしかできないワインづくりをしている。その結果、ぶどうの味わいとテロワールが表現された、うま味とナチュール感が味わえるワインを生み出している。

スプリング・テイスティングには、以下の2本が出品されていた。

●ヴァインスター・ジンファンデル・ソノマ・カウンティ2018
品種:ジンファンデル100%
産地:ソノマ・ヴァレー&ロシアン・リバー・バレー
参考小売価格:5720円(税込)

●オールド・ヴァイン・カリニャン・アレキサンダー・ヴァレー 2017
品種:カリニャン 85%、アリカンテ 10%、ジンファンデル 4%、パロミノ 1%
産地:アレキサンダー・バレー
参考小売価格:5500円(税込)

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フラワーズ

長年、「寒過ぎてぶどうの栽培に適さない」と言われていたソノマ・コーストの地に、フラワーズ夫妻が設立したワイナリー。夫妻が栽培したシャルドネを使い、“カリフォルニア・シャルドネの王”と称されるスティーヴ・キスラー氏が手掛けたワインは評判を呼び、ファーストヴィンテージをリリースする前から注目を集めた。

フラワーズは、ビオディナミ農法でぶどうを栽培し、発酵は元々ぶどうについている野生酵母で天然発酵させるという徹底ぶりで、その土地を生かした自然なワインづくりを実践している。

スプリング・テイスティングには、以下のワインが出品されていた。

●フラワーズ ソノマ・コースト シャルドネ 2017
品種:シャルドネ100%
産地:ソノマ・コースト
参考小売価格:9130円(税込)

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デコイ(ダックホーン)

デコイは、ナパ・バレー産のメルローで知られるダックホーンが、アレキサンダー・バレーにある2つの自社畑や厳選した契約畑のぶどうを使用し、リーズナブルな価格で提供する高品質ワインのブランド。ダックホーンのセカンドブランド的な位置づけにとどまらない挑戦をしている。

スプリング・テイスティングでは、ソノマ・カウンティ産のワインは3本出品されていた。

●ソーヴィニヨン・ブラン 2019
品種:ソーヴィニヨン・ブラン100%
産地:ソノマ・カウンティ
参考小売価格:3300円(税込)

●シャルドネ 2019
品種:シャルドネ100%
産地:ソノマ・カウンティ
参考小売価格:3300円(税込)

●メルロー 2018
品種:メルロー98%、カベルネ・ソーヴィニヨン1%、プティ・ヴェルド1%
産地:ソノマ・カウンティ
参考小売価格:3630円(税込)

チョーク・ヒル・エステート

ロシアン・リバー・バレーの北東部にある、白い火山灰に覆われた土壌を持つチョーク・ヒルAVA。同AVAで唯一の100%自社畑ワイナリー、チョーク・ヒルでは、標高の高い場所でつくられたぶどうを使用している。

スプリング・テイスティングでは、3本のワインが出品されていた。

●エステート ソーヴィニヨン・ブラン 2018
品種:ソーヴィニヨン・ブラン96%、ソーヴィニヨン・グリ4%
産地:チョーク・ヒル
参考小売価格:4620円(税込)

●シャルドネ ソノマ・コースト 2017
品種:シャルドネ100%
産地:ソノマ・コースト
参考小売価格:4290円(税込)

●ピノ・ノワール ソノマ・コースト 2018
品種:ピノ・ノワール100%
産地:ソノマ・コースト
参考小売価格:4510円(税込)

「カリフォルニアワイン・バイザグラス・プロモーション」の期間を延長

カリフォルニアワイン協会では、毎年「カリフォルニアワイン・バイザグラス・プロモーション」を実施している。

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2021年はソノマ・カウンティをテーマ産地として、4月1日~5月31日の期間で実施を予定していたが、4都府県に緊急事態宣言が発出され(その後6都府県に拡大)、酒類の提供が制限されたことを鑑みて、6月20日までの期間延長が決定している。

また、同イベントと連動して、抽選で100人にカリフォルニアワインが当たるインスタグラムキャンペーンも実施している。お気に入りのお店の応援も兼ねて、ソノマ・カウンティのワインを楽しみながら参加してみてはいかがだろうか。

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About the author /  鵜沢 シズカ
鵜沢 シズカ

J.S.A.ワインエキスパート。米フロリダ州で日本酒の販売に携わっている間に、浮気心で手を出したワインに魅了される。英語や販売・営業経験を活かしながら、ワインの魅力を伝えられたら幸せ