コラム

四重奏×シャブリワインのペアリングを楽しむ「シャブリ・シンフォニー」を開催

   

ブルゴーニュワイン委員会は2022年5月31日、国の重要文化財である自由学園明日館(東京都豊島区)にて、音楽とシャブリワインのペアリングイベント「シャブリ・シンフォニー」を開催した。シャブリのアペラシオン(AOC)ごとの個性を、聴覚と味覚で味わうという内容だ。

今回は、シャブリの魅力を再発見できるイベントの内容をレポートする。

「シャブリ・シンフォニー」とは

フランス・ブルゴーニュ北部に位置するシャブリ。土壌や気候が生み出すシャブリワインの魅力は、多くの人々によって語られてきた。今回開催したシャブリ・シンフォニーでは、シャブリの4つのアペラシオン(プティ・シャブリ、シャブリ、シャブリ・プルミエ・クリュ、シャブリ・グラン・クリュ)の個性や多様性を四重奏によって表現している。

シャブリ・シンフォニーに欠かせない6人

左から、近藤佑哉氏、松波匠太郎氏、吉田誠氏、上村文乃氏、川久保賜紀氏、佐野隆哉氏

シャブリ・シンフォニーを生み出したのは、作曲家の松波匠太郎氏、そしてソムリエの近藤佑哉氏だ。

作曲家の松波氏は、作曲にあたって、東京・銀座のフランス料理店「銀座レカン」の料飲統括マネージャーでソムリエの近藤氏のナビゲートによるテイスティングを重ね、曲のインスピレーションを得たのだという。その工程は堅苦しいものではなく、お互いに楽しい時間になったそうだ。実際に、楽しい時間を彩ったシャブリワインへの愛着が、4つの曲にしっかり反映されているように感じられた。

作曲家の松波匠太郎氏

新たなシャブリの発見につながる「シャブリ・シンフォニー」を奏でたのは、クラリネットの吉田誠氏、ヴァイオリンの川久保賜紀氏、チェロの上村文乃氏、ピアノの佐野隆哉氏の4人。国内外で高く評価されている演奏家たちが集まった。

アペラシオンのイメージを表現

4つアペラシオンのイメージを表現するために、4つの独立した曲で構成されている交響曲「シャブリ・シンフォニー」。それぞれの曲の特徴を見ていこう。

●プティ・シャブリ
ヴァイオリンがメインで演奏されている曲。生き生きとした酸が特徴のプティ・シャブリを、アペラシオンの末娘として位置付けて表現している。

●シャブリ
ピアノをメインで演奏。末娘よりもおとなしく、より“クラシック”な雰囲気だが、親しみやすさが表現されている。

●シャブリ・プルミエ・クリュ
唯一の管楽器であるクラリネットが、複雑に絡み合う弦楽器を背景に、滑らかに奏でられている。シャブリワインのヒエラルキーを登り続けているイメージ。

●シャブリ・グラン・クリュ
落ち着きの中にも威厳のある存在感を、チェロをメインにして表現。90秒弱の曲の中に、これまでのテーマが随所にちりばめられ、組曲のフィナーレを華々しく飾っている。

ワインとともに味わうシンフォニー

イベントでは、それぞれのアペラシオンのワインを、曲を聞きながら味わう機会が設けられていた。

木造の建物中に響き渡るシンフォニーは、ワインを味わう際に聴覚を刺激。シンフォニーによってアペラシオンごとの個性が際立つのがはっきりと感じられる貴重な体験となった。

オンラインで視聴が可能

この「シャブリ・シンフォニー」は、ブルゴーニュワイン委員会のサイトから視聴可能だ。ぜひ、“耳で味わうシャブリワイン”を体験してみてはいかがだろうか。

「シャブリ・シンフォニー」の視聴はこちら

次回は、演奏会に先駆けて行われた、近藤氏によるシャブリセミナーの内容を紹介する

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About the author /  鵜沢 シズカ
鵜沢 シズカ

J.S.A.ワインエキスパート。米フロリダ州で日本酒の販売に携わっている間に、浮気心で手を出したワインに魅了される。英語や販売・営業経験を活かしながら、ワインの魅力を伝えられたら幸せ