コラム

九州産の甲州ワインがプラチナ受賞! 赤ワインは初の国際品種で金賞 ~デキャンター・ワールド・ワイン・アワード2022

世界最大のワインコンペティション「デキャンター・ワールド・ワイン・アワード(Decanter World Wine Awards:DWWA)」が今年も開催された。このコンペは、イギリスの権威あるワイン専門誌『デキャンター(Decanter)』(1975年創刊)が主催し、2004年より開催されている。

第19回となる2022年は、世界54カ国から過去最高となる1万8244本のワインがエントリー。その審査結果が、同年6月7日に同誌の公式Webサイトで発表された。

過去最高の出品数から厳選された受賞ワイン

今大会は約250人のワイン専門家が2週間にわたって審査を行い、679本の金賞、5900本の銀賞、8074本の銅賞ワインを選出した。さらに、金賞ワインの中から、164本のプラチナワインが選ばれた。

そして今回も、プラチナに選ばれたワインの中から、わずか50本がコンクール最高の栄誉であるベスト・イン・ショー(Best in Show)に輝いた。

新世界の躍進、南米に注目が集まる

今大会では、ワイン生産の歴史が比較的浅い、アメリカ、イギリス、チリ、オーストラリア、ニュージーランド、アルゼンチン、南アフリカ、カナダなど、“新世界”と呼ばれる地域のワインが大躍進を遂げた。全体のわずか0.27%であるベスト・イン・ショー受賞ワイン50本のうち、半数近くを新世界のワインが占めており、その数は2021年と比べて2倍以上に増加している。

中でも、アルゼンチンとチリが受賞数を大きく伸ばし、南米に注目が集まった。特にアルゼンチンは、ベスト・イン・ショー、プラチナ、金賞の受賞数が、昨年の14本から3倍の41本と過去最高を記録した。

6本のベスト・イン・ショー、9本のプラチナ、60本の金賞を受賞したオーストラリアは、受賞数で新世界のトップに立っている。ニュージーランドについても、これまでで最高の4本がプラチナを受賞した。

フランスが圧勝、ボルドーワインが最優秀産地に

ベスト・イン・ショーに最も多くのワインが選出されたのは、昨年と同じくフランスだ。38本がプラチナ、125本が金賞を受賞したほか、ベスト・イン・ショーに10本が選出。そのうち5本がボルドー産で、ボルドーは今大会、最も優れた成績を収めた産地となった。

また、これまでも安定した強さを見せてきたイタリアは、9本がベスト・イン・ショー、24本がプラチナ、114本が金賞を受賞し、全体の受賞数でトップとなった。

日本はプラチナ1本、金賞4本

日本からは、2021年の「光 甲州 2018」「ロリアン 勝沼甲州2019」に続き、2022年は「安心院ワイン 諸矢 甲州 2021」がプラチナを受賞した。また、4本が金賞、16本が銀賞、33本が銅賞を受賞し、過去最多の受賞数を記録した昨年には及ばないながらも健闘を見せた。

甲州種の「安心院ワイン 諸矢 甲州 2021」がプラチナ受賞

日本ワインで唯一、プラチナ賞に輝いたのは、「安心院ワイン 諸矢 甲州 2021」だ。97点という高い評価を得ている。

昨年受賞の2本と同じく、千年以上の栽培の歴史を持つとされる、日本固有品種の甲州を使用。心地よい酸味が特徴的で、カボスやレモンのようなかんきつ系の香りが感じられる、爽やかな辛口の白ワインだ。

製造するのは、大分県宇佐市安心院町にあるワイナリー、安心院葡萄酒工房だ。焼酎「いいちこ」でおなじみの三和酒類が運営している。九州のワイナリーがプラチナを受賞するのは、今回が初になる。

安心院町は朝霧が立ち込める盆地に位置しており、昼夜の寒暖差が激しく、降水量が少ない。同ワイナリーでは、この風土に適したぶどう品種の選定、新しい品種の開発、土壌改良など、さまざまな取り組みを行ってきた。今回の快挙で、そうした努力が実を結んだ形となった。

初の国際品種で金賞「ブラウフレンキッシュ プライベートリザーブ 2020」

金賞には、初受賞となった昨年に続き、今年も赤ワインが1本選ばれている。受賞したのは、北海道余市町のキャメルファームワイナリー「ブラウフレンキッシュ プライベートリザーブ 2020」で、オーストリアの伝統的な品種ブラウフレンキッシュを100%使用している。国際品種のブラウフレンキッシュを使ったワインの受賞は、日本のワイナリーとしては初となる。

ブラックチェリーやブラックベリーを煮詰めたような心地よいアロマ、上質なハーブやミントのような適度な強さのアロマが特徴。エレガントな香りとしっかりとした味わいが評価され、金賞受賞の日本ワインの中で、最も高い96点というスコアを獲得している。

3本の金賞受賞で白ワインが高評価

白ワインの金賞受賞は3本。サントリーワインインターナショナルの「サントリージャパンプレミアム 甲州 2019」は、山梨県産の甲州を100%使用し、和かんきつのような上品な香りと、うま味を感じる繊細な味わいを特徴とする。

マルスワイナリーの「甲州 ヴェルディーニョ 2021」は、2021年に甲府盆地で収穫した甲州を使用。モモや洋ナシ、かんきつ類に加え、ピリッとしたミネラルの香りを持ち、繊細でフレッシュな口当たりと発酵由来のわずかな炭酸ガスを楽しめる。

盛田甲州ワイナリーの「グラン・シャンモリ ブラン アッサンブラージュ フルーティ 2021」は、山梨県産の甲州を主体に、ワイン醸造用として仕立てた山梨県産のネオマスカット種をバランスよくアッサンブラージュしている。洋ナシや白い花、メロンの繊細な香りとマスカット特有のジャコウの香りが華やかで、エレガントな余韻が長く楽しめる。

金賞受賞となった3本の白ワインには、全て日本固有品種の甲州が使用されており、いずれも95点という高評価を得ている。

日本ワインのさらなる飛躍に期待

2021年に引き続き、日本固有品種の甲州を使ったワインがプラチナや金賞を受賞した。その高い品質と、日本のワイナリーのたゆまぬ努力が、世界に認められた証と言えるだろう。

また、国際品種を使用したワインの金賞受賞も、日本ワインのポテンシャルを世界へ伝える大きな成果となった。今回の結果を通じて、日本ワインのさらなる飛躍に期待が高まる。

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About the author /  tomo

量販店の販売員、製造メーカーの設計部を経て、フリーライターに転身。ゆっくりお酒を飲みながら愛猫と戯れる夜のひと時に幸せを感じている。