コラム

ロゼ市場をけん引するプロヴァンス、統計で見るとロゼワインの市場動向はどうなっている?

   

2019年5月9日、ワイン関連総合商社のグローバルが主催するワインイベント「WINE TOKYO」で、プロヴァンスワインのセミナー「いつでも、どこでもロゼ プロヴァンスの多様性」が開催された。

その内容は、躍進するプロヴァンスワインの魅力を強くアピールするもので、(1)世界市場におけるロゼワインの市場動向、(2)プロヴァンス・ロゼの強みと多様性という2つのテーマで構成されていた。

今回の記事では(1)について、次回の記事で(2)についてご紹介する。このテーマで解説を務めたプロヴァンスワイン委員会のヴァレリー・ルロン氏は、プロヴァンス・ロゼがロゼワインの市場でどのような役割を果たしてきたかについて語ってくれた。

各国のロゼワイン生産と消費動向

2017年、全世界で生産されたロゼワインは2020万ヘクトリットル(hl)だった。最も生産量が多かったのはフランス(28%)。それにアメリカ(17%)、スペイン(15%)と続いた。全生産量の76%を、ランキング上位のフランス、アメリカ、スペイン、イタリア、南アフリカの5カ国が占めた。

かつてロゼワインと言えば、赤みの強いイチゴのような色のワインが多く見られた。今やその色合いは急速に変化し、プロヴァンスのロゼにみられるような淡いサーモンピンクが主流となってきている。

世界中からロゼを取り寄せ調査した結果、2013年は赤いロゼが全体の51%を占めていたが、2018年には31%に縮小。その分、サーモンピンクや淡いピンクのものが増えている。これは、プロヴァンススタイルのロゼが好まれている証拠と言っていいだろう。


一方で消費量は、2017年にはフランスが全体の36%を占め、次いでアメリカ(15%)、ドイツ(7%)と続いた。消費量は生産量をはるかに凌ぐ2340hlに上り、当時ロゼワインの供給難はニュースにもなった。

フランスは生産量も消費量もともに多く、“ロゼ大国”と表現していいだろう。とは言え、フランス人が自国のロゼばかりを飲んでいるわけではない。というのも、ロゼワインの主な輸入国トップもフランス(32%)だったからだ。ロゼワインの輸入量は次いでドイツ(13%)、イギリス(12%)の順で多かった。

一方、2017年にロゼワインの輸出が最も多かったのはスペイン(42%)だ。スペイン人はあまりロゼを飲まないが、ワイナリーは輸出するために多くのロゼワインをつくっている。次いで、イタリア(16%)、フランス(14%)と続いた。

全世界のロゼワイン市場拡大

ロゼワインはこのところブームと言われているが、実際に消費量はこの15年で30%も伸びた。2002年には1830万hlだったが、2017年には2340万hlに増大した。その分、赤ワインや白ワインのシェアは減り、2017年のシェアは10.3%となった。

では、どこの国で消費が伸びているのだろうか。ルロン氏は2002年〜2017年の伸び率を比較し、紹介した。

カナダ(+147%)、イギリス(+269%)、香港(+250%)、スウェーデン(+731%)と、新たな消費国では目覚しい伸びを示している。ロゼのお膝元であるフランスでも+46%と、フランス国内では白ワインの消費量をしのぐほどの勢いがある。

プロヴァンスワインの販売状況

ルロン氏は、プロヴァンスワインについて以下のように説明した。プロヴァンスの全ワイン生産量のうち、約9割をロゼが占める。これには、黒ぶどうに適した土壌と、山から海へと風が吹き抜けるテロワールが大きく関係しているという。

数あるワインの種類の中で、ロゼワインはバランスよくつくるのが難しく、特有のノウハウが必要だ。プロヴァンスは2600年ものロゼワインづくりの歴史があり、その経験を詰め込んだ仕様書の作成をはじめ、ロゼワインに関する研究を精力的に行っている。そのため、プロヴァンスワインの品質は年々向上しており、世界中の他のロゼワインがそれに追随する状況が起きている。

プロヴァンスワインの全販売量の35%がフランス国外へ輸出され、そのうちの約半分がアメリカへわたっている。イギリスも輸入量が多い(13%)。ルロン氏は「プロヴァンスのロゼがこれら2カ国のロゼブームを牽引している」という。

プロヴァンスのワインはかつて、そのほとんどがフランス国内で消費されていた。約10年前の2008年には全生産量のうち、たったの11%しか輸出されていなかった。この約10年間で、輸出量は数量ベースで+508%、金額ベースで+1023%と、驚異的な増加が見られる。

ルロン氏によると、この伸びにはプロヴァンスワインの質の向上が大きく関わっているという。2008年の時点で1本当たり2.56ユーロだった輸出価格は、2018年には4.80ユーロにまで上がっている。このことから、国際的な競争力を持つロゼが増えていることがうかがえる。

一方、日本への輸出量(2018年)は全体輸出量の0.2%に過ぎず、本数にして13万5000本、金額にして1億円程度だ。2008年に比べて、あまり変化がない。ルロン氏はその理由として、「世界的なロゼへの関心の高まりがいまだ日本に影響をもたらしていないこと」「チリワインをはじめとするニューワールド・ワインに市場が席巻されていること」の2点を挙げている。

ルロン氏によると、プロヴァンス・ロゼは「最も料理に合わせやすい」とソムリエが口をそろえるロゼワインとのこと。その繊細でエレガントな味わいは、和食の食材にも非常にマッチするという。質の高いプロヴァンス・ロゼが多く店頭に並ぶ日を、心待ちにしたい。

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About the author /  Yayoi Ozawa
Yayoi Ozawa

フランス料理店経営ののち、ワインとグルメ、音楽を専門とするライターへ転身