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マスター・オブ・ワインの大橋健一氏が注目する、カリフォルニアワイン産業の「ダイナミックなクリエーティビティ」
コラム

マスター・オブ・ワインの大橋健一氏が注目する、カリフォルニアワイン産業の「ダイナミックなクリエーティビティ」

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発行者
株式会社バザール
編集
Wine Bazaar編集部
連絡先
お問い合わせ・プレスリリース送付

カリフォルニアワイン協会(CWI)は2020年10月27日、「カリフォルニアワイン・グランドテイスティング2020」に際し、マスター・オブ・ワイン(MW)の大橋健一氏による特別セミナー「今、知っておきたい最新のカリフォルニアワイン産業」を開催した。

このセミナーでは、カリフォルニアワインのサステナビリティに加え、クリエーティビティに言及した。

日本のワイン業界も「クリエーティビティ」を受け入れる柔軟性を

大橋氏はまず、カリフォルニアワインのユニークかつダイナミックなクリエーティビティを理解するには、これまでの常識にとらわれない柔軟性が必要だと話す。

日本人はワインに純粋性を求めがちだが、今、世界ではこれまでの枠にカテゴライズできない新しいワインがどんどん生まれており、若い世代に親しまれているという。

日本のワイン業界も、こうした流れに乗り遅れずに新しいものを寛容に受け入れ、若者のワイン離れを食い止める時期にきている。

セミナーで大橋氏は、そうしたカリフォルニアワインのクリエーティビティを象徴するワインを紹介してくれた。

マスター・オブ・ワインの大橋健一氏が注目する、カリフォルニアワイン産業の「ダイナミックなクリエーティビティ」

マージュラム シバライト ソーヴィニヨン・ブラン 2019

大橋氏が最初に紹介したのは、マージュラムのソーヴィニヨン・ブランだ。まず驚くのはそのパッケージ。350ml缶入りで、大橋氏は「ハーフボトルとして扱ってほしい」と話す。

テイスティングしたのは、2019年のヴィンテージ。非常に爽やかなワインで、パイナップルやグァバ、トロピカルフルーツの香りが控えめに感じられる。このソーヴィニヨン・ブランには瓶入りも存在するが、大橋氏が缶入りと瓶入りを同一ヴィンテージで飲み比べたところ、缶入りのほうがアロマティックな香りがより引き立って感じられたという。

アルコール度数は12.3度。炭酸ガスがしっかりしているため、缶に直接口をつけて飲むには少し重たいが、若い世代にとっては清涼飲料水代わりで楽しめる要素がある。

この缶容器というスタイルは、クリエーティビティでありながら、サステナビリティの要素もある。大橋氏によると、缶は瓶よりも製造工程でのCO2排出量を削減でき、輸送時のCO2排出量も瓶やペットボトルより低いという。

AVAは、バラード・キャニオンとサンタ・リタ・ヒルズを少し山奥に入ったハッピー・キャニオン。すぐそばには、カルトワインとして有名なスクリーミング・イーグルの兄弟レーベルであるホナータのワイナリーがあり、やはりボルドー品種で成功を収めている。

【ペアリング】
大橋氏がこのワインと合わせたのは、メキシカンシュリンプのタコス。辛みが効いたホースラディッシュと焼き上げたシュリンプが、アロマティックなソーヴィニヨン・ブランによく合うとのこと。

2018 クルーズ・ワイン・カンパニー カリニャン エヴァンジェーリョ コントラ・コスタ

テイスティングでは、カリニャンによくあるダークフルーツの香りではなく、ザクロやアセロラのような甘い、しかし酸味の高い果実の香りの中にウメやハイビスカスティーのような香りもあると大橋氏。

カリニャンは、酸が高すぎたりタンニンがゴツゴツしていたりして、単体でまとめるのが難しい品種だ。通常はブレンドして使うことが多いが、このワインではカリニャンを単体で使いながら、非常にジェントルでアメリカらしいフルーティさを出していると評価する。

カリニャンの産地として有名なのは、スペインのカリニェナやフランスのラングドック・ルーション地方だが、このカリニャンはサン・パブロ湾沿岸のコントラ・コスタ・カウンティでつくられている。

カリニャンを冷涼な気候の地でつくるという発想もさることながら、その樹齢が120年というのも驚くべき事実であり、古くからチャレンジ精神を持ってワインづくりに取り組んできたアメリカの壮大なクリエーティビティが感じられる1本と紹介した。

【ペアリング】
このカリニャンのタンニンは滋味深く奥ゆかしい味わいで、日本的なだしを使った肉料理と相性が良いという。アメリカのキュイジーヌであれば、鴨肉に果実のソースをかけた料理をとてもエレガントに食べさせてくれるとのこと。

2016 ポール・ホブス カベルネ・ソーヴィニヨン ナパ・ヴァレー

オーパス・ワンの立ち上げに貢献した醸造家、ポール・ホブス氏が手掛けるワイン。

テイスティングで大橋氏は、松の葉のようなほっそりとしたイメージで、乾燥ハーブのようなニュアンスがありつつ、口に入れるとテクスチャーに優美さを感じると解説。抑制された果実感や、ナパ・バレーらしいジャミーな果実感がありつつ、プルーンや熟したブラックベリーの中にあるバニラの香りが心地よく、甘いインスピレーションで、タンニンが申し分ないとも話した。

フレンチオーク樽で20カ月熟成しており、この樽使いが素晴らしいとのこと。2016年のヴィンテージとまだ若いが、今飲んでも状態が良く、非常によくできたカベルネ・ソーヴィニヨンだと評価していた。

AVAは、ナパ・カウンティにあるクームスヴィル。サン・パブロ湾に近く、火山灰土壌で冷涼な気候が特徴とのこと。

【ペアリング】
このワインのペアリングには、ローズマリーで調理したリブアイをチョイス。ローズマリーの風味がカベルネ・ソーヴィニヨンと合うのだそうだ。

カリフォルニアワインを語り、サポートを

「カリフォルニアワインは、現在進行形ですさまじい勢いで進化している」と大橋氏。

サステナビリティの中にもクリエーティビティが存在し、クリエーティビティの中にサステナビリティの考えを包括する。マイノリティなAVAが先進的なワインをつくり、新しいAVAでは古典的なつくり手が高級ワインを手掛ける。そんなアメリカのダイナミックさを、カリフォルニアワインは体現している。

最後に、大橋氏はセミナー参加者の大半であるワインのプロに向けて、このセミナーで学んだことをシンプルなメッセージでアウトプットし、カリフォルニアワインをビジネスに活用してほしいと提案。自分たちがカリフォルニアワインを語ることによって、2020年の山火事で危機的状況に直面しているナパ・バレーをサポートしたいと結んだ。

編集情報

この記事はWine Bazaar編集部が、公開情報・取材情報・商品情報を確認し、読者がワインを選びやすくなることを目的に作成しています。内容は必要に応じて更新します。

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著者 / 

原田さつき

広告制作会社でコピーライターとしてワイン・ビールの販売促進に携わったのち、フリーランスに。WEBメディア・取材記事・機関紙など、幅広く活動。得意分野は酒・食・ペット。

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