コラム

日本で購入できるワインが1位に! 米専門誌『Wine Spectator』が選んだ2020年トップ100

INDEX

世界的に影響力のあるワイン専門誌最大手の一角、『Wine Spectator(ワインスペクテイター)』が1988年から毎年年末に発表している、その年のトップ100ワイン。2020年は1万1000本あまりのワインがレビューされ、90点以上のスコアを獲得した中から、品質・購入価格・米国内での入手難易度に加えて、「ワインづくりの背景にある心を動かす生産者のストーリー」を重要視して選出された。

日本でも入手可能なトップ10ワイン

上位10位に入ったワインのうち、日本でも取り扱いがあるのは以下の5本だ(2021年1月15日時点)。

1位:マルケス・デ・ムリエタ「カスティーリョ・イガイ グラン・レゼルヴァ・エスペシャル 2010」

●Bodegas Marqués de Murrieta「Rioja Castillo Ygay Gran Reserva Especial 2010」

スペインのワイン銘醸地リオハで1852年に設立されたマルケス・デ・ムリエタが、ぶどうの質が良い年にのみ手掛けているワイン。平均樹齢が80年ほどの古樹がある単一畑のぶどうのみを使用している。

生産地:リオハ(スペイン)
品種:テンプラニーリョ85%、マズエロ15%
スコア:96点

2位:オーベール「ピノ・ノワール UV ヴィンヤード 2018 ソノマ・コースト」

●Aubert「Pinot Noir Sonoma Coast UV Vineyard 2018」

カリフォルニア州ソノマ・コーストにある、UVヴィンヤードのピノ・ノワールのみを使用したワイン。UVヴィンヤードのぶどうは、オーベールが手掛けるピノ・ノワールの中で最も樹齢が高く、複雑な味わいを生み出すのが特徴だ。輸入元の中川ワインによる、日本での希望小売価格は2万円(税別)。

生産地:カリフォルニア州ソノマ・コースト(アメリカ)
品種:ピノ・ノワール100%
スコア:95点

4位:マヤカマス「カベルネ・ソーヴィニヨン マウント・ヴィーダー 2016」

●Mayacamas「Cabernet Sauvignon Mount Veeder 2016」

カリフォルニアワインの世界的評価を押し上げた1976年のパリ・テイスティング(パリスの審判)において、赤ワインの部で7位に選ばれたマヤカマス。2019年には、同ワインの2015年ヴィンテージがトップ100ワインの第2位にランクインしている。

生産地:カリフォルニア州ナパ・バレー(アメリカ)
品種:カベルネ・ソーヴィニヨン100%
スコア:96点

7位:マッソリーノ「バローロ2016」

●Massolino「Barolo 2016」

イタリアの赤ワインの象徴として、「ワインの王」と称えられるピエモンテ州バローロ。100年以上の歴史を持つマッソリーノは、バローロ地区の中で最も長期熟成能力が高く、男性的なワインを生むとされているセッラルンガ・ダルバにある。

生産地:ピエモンテ(イタリア)
品種:ネッビオーロ100%
スコア:95点

10位:ボランジェ「ボランジェ ラ・グラン・ダネ 2012」

●Bollinger「Brut Champagne La Grande Année 2012」

1829年設立の伝統あるシャンパーニュ・メゾンが、ぶどうの出来が理想的な年にのみつくるヴィンテージ・キュヴェ。ワインの名前である「La Grande Année」は、「素晴らしい年」を意味している。ボランジェのあるアイ村は、シャンパーニュ地方でグラン・クリュに格付された17村のうちの1つだ。高級シャンパーニュであり、今回の上位100の中では、3番目に価格が高い。

生産地:シャンパーニュ(フランス)
品種:ピノ・ノワール65%、シャルドネ35%
スコア:97点

その他のトップ10入りワイン

トップ10に入っているが、日本では取り扱いのないワインは以下の5本だ。ただし、ヴィンテージ違いでは、日本でも入手可能なものもある。

3位:サン・フィリッポ「ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ レ・ルチェーレ 2015」(San Filippo「Brunello di Montalcino Le Lucére 2015」)

5位:ラ・ヴィエイユ・ジュリエンヌ「シャトーヌフ・デュ・パプ ルージュ・レ・トロワ・ソース 2016」(Domaine de la Vieille Julienne「Châteauneuf-du-Pape Les Trois Sources 2016」)

6位:キスラー「シャルドネ ロシアン・リバー・バレー ヴァイン・ヒル・ヴィンヤード 2017」(Kistler「Chardonnay Russian River Valley Vine Hill Vineyard 2017」)

8位:Bodega Piedra Negra「Chacayes Los Chacayes 2015」

9位:ボー・フレール「ピノノワール リボンリッジ ザ・ボーフレール・ヴィンヤード 2018」(Beaux Frères「Pinot Noir Ribbon Ridge The Beaux Frères Vineyard 2018」)

日本でも手に入りやすい、11位以下のワイン

11位以下のワインの中で、日本でも手に入りやすいものがこちらだ。

15位:ダックホーン「メルロー スリー・パームス・ヴィンヤード 2017」

●Duckhorn「Merlot Napa Valley Three Palms Vineyard 2017」

生産地:カリフォルニア州ナパ・バレー(アメリカ)
品種:メルロー91%、カベルネ・ソーヴィニヨン5%、マルベック2%、カベルネ・フラン1%、プチ・ヴェルド1%
スコア:96点

21位:ジョエル・ゴット「ソーヴィニヨン・ブラン カリフォルニア 2019」

●Joel Gott「Sauvignon Blanc California 2019」

生産地:カリフォルニア州(アメリカ)
品種:ソーヴィニヨン・ブラン100%
スコア:92点

24位:プロデュットーリ・デル・バルバレスコ「バルバレスコ リゼルヴァ ラバヤ 2015」

●Produttori del Barbaresco「Barbaresco Rabajà Riserva 2015」

生産地:ピエモンテ(イタリア)
品種:ネッビオーロ100%
スコア:97点

44位:ハートフォード・コート「ロシアン・リバー・バレー・シャルドネ 2018」

●Hartford Court「Chardonnay Russian River Valley 2018」

生産地:カリフォルニア州ソノマ(アメリカ)
品種:シャルドネ100%
スコア:92点

45位:フェラトン・ペール・エ・フィス「クローズ・エルミタージュ・ルージュ・カランドゥ 2017」

●Ferraton Père & Fils「Crozes-Hermitage Calendes 2017」

2021年1月15日時点で日本で販売されているのは2016年ヴィンテージだが、輸入元のヴィントナーズによると、春以降に2017年ヴィンテージの入荷を予定しているとのこと。

生産地:ローヌ北部(フランス)
品種:シラー100%
スコア:92点

54位:トラヴァリーニ「ガッティナーラ 2015」

●Travaglini「Gattinara 2015」

生産地:ピエモンテ(イタリア)
品種:ネッビオーロ100%
スコア:92点

57位:シャトー・フィジャック「サン・テミリオン 2017」

●Château Figeac「St.-Emilion 2017」

生産地:ボルドー(フランス)
品種:メルロー47%、カベルネ・ソーヴィニヨン43%、カベルネ・フラン10%
スコア:96点

66位:インヴィーヴォ「インヴィーヴォ×サラ・ジェシカ・パーカー ソーヴィニヨン・ブラン マールボロ 2019」

●Invivo「Sauvignon Blanc Marlborough X, Sarah Jessica Parker 2019」

生産地:マールボロ(ニュージーランド)
品種:ソーヴィニヨン・ブラン100%
スコア:90点

67位:シャトー・ド・ボーカステル「シャトーヌフ・デュ・パプ 2017」

●Château de Beaucastel「Châteauneuf-du-Pape 2017」

生産地:ローヌ南部(フランス)
品種:ムールヴェードル30%、グルナッシュ30%、シラー15%、クノワーズ10%、サンソー5%など
スコア:95点

70位:スアヴィア「ソアーヴェ・クラッシコ モンテ・カルボナーレ 2017」

●Suavia「Soave Classico Monte Carbonare 2017」

生産地:ヴェネト(イタリア)
品種:ガルガネーガ 100%
スコア:92点

71位:スターク・コンデ「カベルネ・ソーヴィニヨン 2017」

●Suavia「Soave Classico Monte Carbonare 2017」

生産地:ヴェネト(イタリア)
品種:ガルガネーガ 100%
スコア:92点

73位:スパイ・ヴァレー「ソーヴィニヨン・ブラン 2019」

●Spy Valley「Sauvignon Blanc Marlborough 2019」

生産地:マールボロ(ニュージーランド)
品種:ソーヴィニヨン・ブラン100%
スコア:90点

75位:シャトー・ド・ピバルノン「バンドール ルージュ 2016」

●Château de Pibarnon「Bandol 2016」

生産地:プロヴァンス(フランス)
品種:ムールヴェードル90%、グルナッシュ10%
スコア:92点

83位:ゴラン・ハイツ・ワイナリー「ヤルデン・カベルネ・ソーヴィニヨン2017」

●Golan Heights Winery「Cabernet Sauvignon Galilee Yarden 2017」

生産地:ガリラヤ(イスラエル)
品種::カベルネ・ソーヴィニヨン100%
スコア:91点

91位:シャトー ラマルティーヌ「カオール 2016」

●Château Lamartine「Malbec Cahors 2016」

生産地:カオール(フランス)
品種:マルベック90%、メルロー10%
スコア:90点

平均価格は約50ドル

『Wine Spectator』がアメリカの専門誌ということもあり、入手のしやすさもあって上位100位のうちアメリカ産ワインが3分の1ほどを占めた。内訳は、カリフォルニア産が18本、オレゴン産が7本、ワシントン産が3本、ニューヨーク産が1本となっている。

ワインの伝統国では、フランス産が20本、イタリア産が19本、スペイン産が9本ランクイン。また、ニュージーランドや南アフリカなどの主要な新世界のワインに加えて、83位にはイスラエルのゴラン・ハイツ・ワイナリーの「ヤルデン・カベルネ・ソーヴィニヨン2017」が選出されている。

価格帯の平均は上位100位で約50ドル、上位10位に絞るとその倍の約105ドルとなっている。アメリカ国内での価格となるが、最もリーズナブルなワインは、日本でも2400円(参考小売価格・税別)で入手可能なジョエル・ゴットの「ソーヴィニヨン・ブラン カリフォルニア 2019」(21位)だった。一方、230ドルで最も高額となったのは、リッジ・ヴィンヤーズの「モンテベロ サンタクルーズマウンテン 2017(Monte Bello Santa Cruz Mountains 2017)」(77位)だった。

<関連リンク>
TOP 100 of 2020

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

Twitter で
About the author /  鵜沢 シズカ
鵜沢 シズカ

J.S.A.ワインエキスパート。米フロリダ州で日本酒の販売に携わっている間に、浮気心で手を出したワインに魅了される。英語や販売・営業経験を活かしながら、ワインの魅力を伝えられたら幸せ