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「ヴァン・ナチュール(自然派ワイン)」「オーガニックワイン」といった言葉をよく耳にするようになって数年が経つ。
世界のワイン業界は全体的に大きく減農薬・有機農法へとシフトしており、オーガニック認証を取ることがワイナリーのブランド力を左右する要因になってきているほどだ。
数年前まで、自然派ワインやオーガニックワインは「ビオワイン」といった安易な名称でまとめて称されていた。「ビオワインは好き/苦手」「ビオワインは頭が痛くならない」などという意見がよく聞かれたものだ。
しかし、本来のヴァン・ナチュール(自然派ワイン)は、オーガニックワインとも異なり、認証制度にも違いがある。
そのあたりを分かりやすく整理してみよう。
ヴァン・ナチュール(自然派ワイン)とオーガニックワインの違い
まずはヴァン・ナチュール(自然派ワイン)の定義から取り上げよう。
天然酵母で発酵させる
亜硫酸塩(SO2)を添加しないか、もしくは極力少なくしてつくる
一方でオーガニックワインとは、ぶどうを育てる農法のこと。醸造にポイントが置かれるヴァン・ナチュール(自然派ワイン)とは、カバーする領域が異なる概念だ。
ほかにも「ビオロジック」「ビオディナミ」など、関連する用語を耳にする機会もあるだろう。それぞれどんな意味があるのか、この機会に説明しておきたい。
リュット・レゾネ
減農薬栽培のこと。ただし法律が定めている基準はなく、生産者によって実践方法はそれぞれだ。
ビオロジック(有機栽培)
化学肥料を使わず、有機肥料を使用する農法。また、無農薬でぶどうを育てる農法。
ビオディナミ(生力学農法)
ビオロジック農法に、次の条件を加えた農法。教育理論でも知られる学者ルドルフ・シュタイナー博士が提唱したものだ。
月と地球の位置関係を記したカレンダーに合わせて、農作業を行う
プレパラシオン肥料(自然由来)を使用して土壌を活性化する
自然農法
言葉のとおり、人の手で何かを添加することなく、自然の力のみでぶどうを栽培する。
ちなみに、ヴァン・ナチュール(自然派ワイン)であっても、日本に入ってくるワインには、安定剤としての亜硫酸塩が少量添加されているものがほとんどだ。
しかし、従来の大手メーカーがつくったワインなどと比べると、その量はごく微量。結果的に体に馴染みやすい。人によっては頭痛が起きにくく、二日酔いになりにくいのもうれしい点だ。
現在では、農法に対しても添加物に対しても意識が高い生産者が非常に多くなった。愛好家にとっては、とてもありがたいことと言えるだろう。