コラム

シャトー・ブランドー|ビオロジックによるナチュラルワインを世界に送り出すシャトー ~知っておきたいボルドーのつくり手

フランスの中でも、ワインづくりに長い歴史を持つボルドー地方。そのボルドーで、近年広がりつつあるのが、ビオロジックによるワインづくりだ。

格付け第1級のシャトー・ラトゥールがビオロジック認証を取得したことは有名だが、他にもさまざまなシャトーがビオロジックに取り組んでいる。その1つが、ドルドーニュ川右岸のコート・ド・カスティヨンに位置する、シャトー・ブランドー(Chateau Brandeau)だ。所有する畑の周辺は自然に囲まれ、オーナー自身もナチュルな生活をするなど、特徴あるワインづくりで注目を集めている。

シャトー・ブランドーとは

ワインづくりには、ぶどう畑の特色や要素が大きく影響する。地域ごとの気候や土壌に合わせた独自の栽培方法・工夫によって、唯一無二のワインがつくられるのだ。シャトー・ブランドーは、まさにその唯一無二のワインを生み出すワイナリーといえる。

ベルギー出身のナチュラリストが設立

シャトー・ブランドーが設立されたのは、2015年のこと。オーナーは、ベルギー出身のジュリアン・ヴォーグ氏だ。彼はナチュラリストとして、ニュージーランド、カナダ、ガーナ、中央アメリカ、モロッコ、アジア各国を旅したという経歴を持つ。その後、ワインづくりで有名なフランスのボルドーでワイン醸造とぶどう栽培に参加する中で、ナチュラルワインの生産に興味を持ったヴォーグ氏は、ポムロールやサンテミリオンで修行した後、ワイナリーを立ち上げることにした。

ワイナリーの設立に際してヴォーグ氏は、ワイン醸造のみならず、自社でぶどう栽培も行いたいと考えていた。その時に出会ったのが、ボルドー右岸のカスティヨンにぶどう畑を所有していたキング氏だ。キング氏は、1990年からビオロジックによるぶどう栽培を開始しており、ヴォーグ氏の希望とも合致していた。賃貸契約をした土地でぶどうづくりをするフェルマージュ契約により、キング氏からぶどう畑を借り受け、2015年よりワイン醸造を開始した。

ビオロジックに適した環境でぶどうを栽培

シャトー・ブランドーの畑の大部分は、林や牧場に囲まれており、外界と隔離された環境が構築されている。これにより、ビオロジックによるぶどう栽培が行いやすくなっている。

ヴォーグ氏のモットーの1つが、「ビオロジックによる生きた土のみが、テロワールを表現できる」というものであり、それを実現するための努力は惜しまない。ぶどう畑の丹念な観察はもちろんのこと、畑は馬で耕し、穀物も同時に栽培することで、ビオロジックによるぶどう栽培の品質がさらに向上している。

畑や環境など、その他の概要は以下の通り。

・栽培面積:9.5ha
・栽培しているぶどう品種:メルロー、カベルネ・フラン
・平均樹齢:35~40年
・土壌:泥や土が混ざった石灰質
・気候:大西洋の影響を受ける海洋性気候

「ヴァン・ヴィヴォン」を消費者へ

シャトー・ブランドーは、「ヴァン・ヴィヴォン(生きたワイン)」を消費者に届けるべく、テロワールを反映したワインづくりに余念がない。ぶどう栽培と同様に、ワイン醸造も可能な限り自然に即した方法を採用している。

ぶどうは全て手摘みで収穫し、その場で選果する。それを醸造所に運んだところで、もう一度厳格に選果する。ワイン醸造では、ソルビン酸カリウムやアカシアのような添加物は一切使用せず、自然酵⺟で自発的に発酵させる。そして、抽出とマセレーションは、それぞれの区画のテロワールの特質に応じて、最適な方法を用いている。

このように、栽培から醸造に至るまで、限りなく自然に寄り添った生産を心掛けるシャトー・ブランドーには、このモットーに共感を覚えた人々が「WWOOFER(ウーファー)」として世界各国から訪れ、その活動を手助けしている。ウーファーとは、世界中の有機農家の手助けをすることで、農業ならびに自然への理解をさらに深めたいと考える人々の総称だ。

代表的なナチュラルワイン4選

シャトー・ブランドーは、いくつもの個性的かつ魅力的なナチュラルワインを生産している。今回は、その中から4本を紹介したい。

バンザイ

「人生は長いお祭りのようなもの」という意味を日本語の「バンザイ」に感じ、キュヴェ名に採用した。色合いはルビーレッドで、ブルーベリーやプラム、かすかにオレンジの皮の香りが漂う。フレッシュで心地良い酸が乗った柔らかい口当たりにはカシスのニュアンスも感じられ、後味にブラックベリーのジューシーさが口いっぱいに広がる。

ぶどう品種:メルロー100%
アルコール度数:13度
味わい:赤・フルボディ
参考小売価格:3300円(税込)

ガ・ガ

「ガ・ガ」とは、サラエボ出身の作曲家ゴラン・ブレゴヴィッチ氏の曲のタイトルであり、シャトー・ブランドーでは収穫の際、この曲を流して作業しているそうだ。世界中から訪れるウーファーに捧げる1本として、生産されている。

色合いは、ミディアムから濃いルビーレッド。オリーブやブラックベリーなどの果実に、湿った土、キノコ、スレートなどの大地の香りが混ざり合う。エレガントかつフレッシュな口当たりで、カシスやレッドベリー、スグリを思わせる心地良い風味も感じられる。スグリのニュアンスとともに、エレガントで長い余韻が続くのも魅力。

ぶどう品種:メルロー50%、カベルネ・フラン40%、カベルネ・ソーヴィニヨン10%
アルコール度数:12度
味わい:赤・フルボディ
参考小売価格:3960円(税込)

ジュエ・フラン・ジュ

純粋にカベルネ・フランだけで醸造し、ぶどう本来の味わいを体現している。「ジュエ・フラン・ジュ」とは、フランス語で「フェアプレー」の意味を持つ。添加物に頼ることなく、自然の力だけで勝負するという決意と自信が感じられる1本だ。

色合いは、ミディアムルビーレッド。ラズベリーやクランベリーなどの果実系、スグリ、リコリスなどの香草系からなる心地良い香り。その中に、湿った砂利やかすかにタールのニュアンスも感じられる。口当たりは柔らかくジューシーで、タンニンとうま味、フレッシュな酸が混じり合う感覚も楽しめる。

ぶどう品種:カベルネ・フラン100%
アルコール度数:13度
味わい:赤・フルボディ
参考小売価格:3740円(税込)

テンダックス ロゼ

ワインには、酸による“緊張感”があるといわれる。ヴォーグ氏は、白ワインのように生き生きとしていて、緊張感を内包しているようなワインを生産したいと考え、「テンダックス」(フランス語の俗語で、緊張した状況を表す)という名を持つロゼを生み出した。

色合いは澄んだサーモンピンクで、銀色の反射も見られる。グラスに注げば、かんきつ系の果物、白い花などの香りが広がる。口当たりはしなやかで、丸みがありバランスが取れている。また、赤スグリやオレンジピールなどのノートも感じられる。余韻には、ミネラル感と塩味が心地良く残る。

ぶどう品種:ソーヴィニヨン・ブラン50%、セミヨン40%、カベルネ・ソーヴィニヨン10%
アルコール度数:11度
味わい:ロゼ・辛口
参考小売価格:3960円(税込)

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関西大学卒 専業ライターを夢見て日々執筆する複業ライター。酒と肉と旅行と昼寝が好き。