コラム

バターフィールド|カナダ出身のオーナーが手掛ける新進気鋭のワイナリー ~知っておきたいブルゴーニュのつくり手

フランスワインの2大産地の1つ、ブルゴーニュ。古くから数多くのつくり手がしのぎを削る中で、新進気鋭のワイナリーとして注目を集めているのが、モンテリーを本拠地とするバターフィールド(Butterfield)だ。

カナダ・トロント出身のディビット・バターフィールド氏の確かな知識と技術をもとに、テロワールをストレートに表現することを目指したワインづくりに尽力している。ディビット氏のこだわりとブルゴーニュ愛が詰まったバターフィールドのワインは、2005年発表の初ヴィンテージから人気を博し、現在でもブルゴーニュの中心都市ボーヌでそのほとんどが消費されてしまうという。

今回は、そんな新進気鋭のワイナリー、バターフィールドについて紹介する。

バターフィールドとは

バターフィールドは、ブルゴーニュ地方のモンテリーにある小さなワイナリーだ。2005年にファーストヴィンテージを発表した新しいワイナリーながら、既に高い評価を受けている。

オーナーはカナダ出身

オーナーのディビット氏は、カナダのトロント出身。ブルゴーニュ好きな両親と共に、幼い頃から何度もブルゴーニュを訪れていたというディビット氏は、ボーヌのワイン学校に入学。ぶどう栽培や醸造を学び、卒業時にはフランス農務省から「名誉専門職」を授与されている。

彼の確かな知識や技術をもとに、テロワールにこだわってつくられるワインは本数も少なく、地元以外ではなかなかお目にかかれない逸品。2005年のファーストヴィンテージから、名品ともいわれるワインを世に送り出しており、急速にその評価を高めている。

テロワールにこだわり、リュット・レゾネを実践

バターフィールドのワインづくりのこだわりは、テロワールを率直にワインに表現すること。そのため、ぶどう栽培を行う土地と環境に最大限の敬意を払っている。バターフィールドでは、ボーヌやムルソー周辺に高品質のぶどうを生み出す区画を確保。ボーヌ・ブレッサンドやムルソーの一部の区画ではビオロジック栽培を採用し、それ以外の全ての畑でリュット・レゾネを実践している。

リュット・レゾネとは、フランスで導入された減農薬農法のこと。ビオロジックやビオディナミと違って、必要なときにだけ必要最低限の農薬や化学肥料を使用することで、環境に配慮しながらぶどうのリスクにも対処するため、合理的対応とも呼ばれている。

ワインに“優しい”醸造方法

バターフィールドのワイン醸造は、ぶどうが独自の個性を自然に発揮できるよう、ワインに優しい方法で行われている。

赤ワインは、区画ごとに醸造、熟成を行う。ぶどうの発酵中は伝統的なピシャージュ(色とタンニンを抽出するため、発酵中のぶどうの皮を踏む作業)を施し、数週間のキュベゾンの後に圧搾。重力を用いてカーヴに送った果汁は樽で18カ月熟成させる。瓶詰め前にフィルターはかけない。

白ワインの場合は、収穫したぶどうをすぐに圧搾する。果汁はタンクに静置してから樽に入れ、発酵させるが、フレッシュさを残すために、部分的にマロラクティック発酵を行わない。プルミエ・クリュは16カ月、それ以外は12カ月樽熟成し、フィルターをかけて瓶詰めしている。

バターフィールドのワインの評価とは?

しっかりと濃厚な味わいの中にピュアな透明感があり、オークの樽香を感じられるバターフィールドのワイン。

2005年に発表された生産数2400本のファーストヴィンテージは、「これぞムルソーワイン」との好評価を得て、ワイン生産者が集うボーヌのレストランなどで人気を博した。現在も、そのほとんどがボーヌで消費され、地元以外ではなかなかお目にかかれないといわれる、希少なワインとなっている。

おすすめワイン7選

ここでは、バターフィールドのおすすめワインを紹介する。

ブルゴーニュ・ブラン・レ・ヴォー

ブルゴーニュ・ムルソー村の単一区画レ・ヴォーのぶどうのみでつくられるぜいたくな1本で、「プティ・ムルソー」とも呼ばれる。重厚な味わいの中に透明感も感じられる。

ぶどう品種:シャルドネ100%
味わい:白・辛口
参考小売価格:4620円(税込)
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ムルソー

透明感のあるムルソー。桃やかんきつ系の花から次第にトーストやヘーゼルナッツの香りも現れる複雑なアロマ。クリアでピュアなワインながら、厚みやボリュームも感じさせる、巧妙なバランスが魅力の逸品。

ぶどう品種:シャルドネ100%
味わい:白・辛口
参考小売価格:1万4300円(税込)
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ムルソー プルミエ・クリュ・レ・シャルム

ムルソーのプルミエ・クリュの魅力を表現した1本。スモーキーなアロマと透明感ある味わいの中にも、芯の強さを感じさせる。

ぶどう品種:シャルドネ100%
味わい:白・辛口
参考小売価格:1万7160円(税込)
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サン・ロマン

ラ・ペリエールと呼ばれる区画のぶどうを使用。エレガントで芳醇な味わいのリッチな白ワインで、酸とミネラルのバランスも良い。

ぶどう品種:シャルドネ100%
味わい:白・辛口
参考小売価格:7480円(税込)

コルトン・ブラン グラン・クリュ

アロース・コルトン側にある南東向きのグラン・クリュのぶどうを使用。凝縮された果実味やスパイス、塩味などを感じさせる、複雑で力強い味わいの白ワイン。

ぶどう品種:シャルドネ100%
味わい:白・辛口
参考小売価格:2万2000円(税込)
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ボーヌ プルミエ・クリュ・トゥロン

ボーヌの中でも最良区画の1つといわれる、トゥロンのぶどうを使った赤ワイン。ラズベリーやブラックベリーの果実香の中に花のアロマが感じられ、豊かな果実味が味わえる。

品種:ピノ・ノワール100%
味わい:赤・フルボディ
参考小売価格:9570円(税込)

ニュイ・サン・ジョルジュ プルミエ・クリュ オー・ミュルジェ

ニュイ・サン・ジョルジュの北部、ボーヌ・ロマネのそばに位置するミュルジェのぶどうを使った赤ワイン。ブラックベリーなどの果実にスパイスやスミレの香りも感じられる複雑なアロマ。果実味とタンニンが心地良く重なる重厚感ある味わい。

ぶどう品種:ピノ・ノワール100%
味わい:赤・フルボディ
参考小売価格:1万7600円(税込)
フィラディスワインクラブで見る

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About the author /  KYOKO
KYOKO

出版社勤務を経てフリーランス編集ライターに。旅、グルメ、美容を中心に執筆や編集を行っている。大酒飲みで、旅先でご当地酒を飲むのが好き。最近はビオワインにハマリ中。