コラム

ホワイトへイヴン・ワイン・カンパニー|元会社員夫妻がスタートさせた世界が認めるワイナリー ~今知っておきたいニュージーランドのワイナリー

   

ワインの新興国の中でも、特に新しい国であるニュージーランド。栽培や醸造に先進的な技術を取り入れたワインづくりで、ワインファンからの信頼や人気を集めている。

今回はそんなニュージーランドを代表するワイナリーの中から、ホワイトへイヴン・ワイン・カンパニー(Whitehaven Wine Company)を紹介する。元会社員夫妻が妥協しない高品質なワインづくりを目指し、マールボロに設立したワイナリーだ。

ホワイトへイヴン・ワイン・カンパニーとは

元会社員夫妻がマールボロに設立

ホワイトへイヴン・ワイン・カンパニーは、1994年にマールボロで設立された家族経営のワイナリーだ。

設立者は、経済やマーケティングの分野でキャリアを積んだグレッグとスーのホワイト夫妻。設立当初はすでに著名な存在だったサイモン・ウォグホーン氏がワインメーカーを務め、妥協しない高品質なワインづくりを目指した。この方針は、グレッグ氏がこの世を去り、ワインメーカーがサム・スメイル氏に代わってからも保持されている。

世界中で愛されるワイナリーに成長

ホワイトヘイヴン・ワイン・カンパニーのワインは現在、ニュージーランドのほか、オーストラリア、イギリス、アイルランド、香港、日本、シンガポール、アメリカ、カナダに流通している。夫妻が掲げた、「家族経営のワインブランドとして、世界中から支持される」という目標は、既に達成されていると言えよう。

一方、経営陣や醸造家、ぶどう栽培チームは、小規模にとどめている。各自の才能を生かせる環境で、ワインづくりをしているのだ。

また、ホワイトヘイヴン・ワイン・カンパニーは、ニュージーランドを代表するワイン産地マールボロの3つのリージョン全てに畑を所有しており、テロワールをワインに反映。一貫したスタイルと妥協しない品質を保ちながらも、ヴィンテージごとの特徴が感じられるワインを手掛けている。

メンバーを務めるAMWとは

ホワイトへイヴン・ワイン・カンパニーは、マールボロ産100%にこだわっているつくり手だ。そのことは、AMW(Appellation Marlborough Wine)の一員であることからもよく分かる。

AMWは、マールボロ産のソーヴィニヨン・ブランのブランドを保護することを目的とした協会だ。

ニュージーランド産のソーヴィニヨン・ブランは、国際的に高い評価を受けており、ニュージーランドで栽培されているワイン用ぶどう品種の約80%を占めている。トロピカルフルーツ、ハーブ、グリーンのトーンなどの華やかな香りが特徴で、マールボロ地区はその代表的な産地だ。

2018年から始まったAMWの認証制度では、マールボロ産のソーヴィニヨン・ブランを100%使用することが求められる。また、ぶどう畑は100%サステナブルであるなど、多くの基準を満たす必要がある。現在は、49のワイナリーがメンバーとして登録されている。

ホワイトへイヴン・ワイン・カンパニーの産地

ホワイトへイヴン・ワイン・カンパニーがこだわる産地について見ていこう。

マールボロ地区とは

マールボロは、ニュージーランド南島に位置する国内最大のワイン産地だ。数百年の時をかけて川の影響を受けてきた土地であり、北には南島で最も大きな河川であるワイラウ川、南にはアワテレ川が流れている。

冷涼な地域で、日照時間が年間平均2400時間と長め。ぶどうの生育期である1月は日中と夜間の寒暖差が大きい。この日中と夜間の寒暖差は、高品質なぶどうをつくるための重要な条件の1つでもある。また、年間降水量も650mmほどで、ニュージーランドで最も乾燥した地域の1つだ。

特に、ラパウアからレンウィックの間の6kmほどは、マールボロの「黄金の1マイル」と呼ばれており、9つのワイナリーが軒を連ねている。

マールボロには、ワイラウ・バレー、サザン・バレー、アワテレ・バレーの3つのサブリージョンがある。ホワイトヘイヴン・ワイン・カンパニーでは、3つの地区全てにヴィンヤードを所有し、ソーヴィニヨン・ブランの他に、シャルドネ、ピノ・ノワール、ゲヴュルツトラミネール、ピノ・グリ、リースリング、ロゼなどのワインを手掛けている。

サブリージョンごとの特徴

ホワイトヘイヴン・ワイン・カンパニーが使用しているぶどうは、マールボロの3つのサブリージョンにある、35のヴィンヤードで収穫されたものだ。全ヴィンヤードを合わせると575haほどで、そのうちの256haが自社畑だ。なお、自社畑、契約畑ともに全てSWNZサステナブル認証を取得している。

それぞれのサブリージョンごとの特徴を見ていこう。

ワイラウ・バレー
マールボロのワイン用ぶどうの45%が生産されている地域。ワイラウ川流域に広がり、内陸部は冷涼で乾燥しており、風が強く、主に沖積土壌が分布する。沿岸部は比較的温暖で、内陸地から海風の影響を穏やかに受ける。ホワイトヘイヴン・ワイン・カンパニーのヴィンヤードは沿岸部に多く、ピュアな果実味の凝縮感とボディが特徴的な、クラシックなソーヴィニヨン・ブランができる。

サザン・バレー
マールボロのワイン用ぶどうの25%が生産されている地域。ワイラウ川南部に広がっており、ヴィンヤードは粘土・シルト土壌が堆積している、なだらかな丘陵地域と風化した砂利の平地にある。南下するほど冷涼で乾燥していく特徴がある、ピノ・ノワールに適した産地だ。また、ハーブ感とフルーティーな風味が特徴的なソーヴィニヨン・ブランができる。

アワテレ・バレー
マールボロのワイン用ぶどうの30%が生産されている地域。アワテレ川流域に広がっており、上記2つの地域よりさらに南の、ウィザーヒルズを越えた場所にある。太平洋の影響を強く受けるため、より冷涼で乾燥しており、強風が吹く。夏は長くて暑く、干ばつになりやすい。標高は高く、土壌はワイラウ・バレーよりも古い。川の流れに沿ってつくられた地形で、石の多い砂利や砂岩の土壌だ。

独特なミネラル感があり、冷涼な気候が反映されたソーヴィニヨン・ブラン、鮮やかでフローラルなピノ・ノワールができる。

ホワイトへイヴン・ワイン・カンパニーのおすすめワイン

ホワイトヘイヴン マールボロ ソーヴィニヨン・ブラン

日本でも人気が高く、輸入元のピーロートではトップセラー20に入っている1本。ピーロートの担当者は、「特徴的なアロマと他にはない味わいがあるところ、価格と品質が見合っていているところが、ロングセラーの人気商品になっているのかと思います」とその魅力を分析している。よく冷やして新鮮な魚介類、ムール貝、サマーサラダなどと一緒に楽しめる。

「ホワイトヘイヴン ソーヴィニヨン・ブラン 2021」
WHITEHAVEN MARLBOROUGH SAUVIGNON BLANC 2021
地域:マールボロ
スタイル:白・辛口
品種:ソーヴィニヨン・ブラン 100%
参考小売価格:4950円(税込)

ホワイトヘイヴン グレッグ ソーヴィニヨン・ブラン

ホワイトヘイヴンの設立者の1人であり、現在ワイナリーを支えるスー氏の夫グレッグ氏に敬意を表してつくられているワイン。アワテレ・バレーの土地を感じさせるフレッシュで芳醇な香りと酸味の中に、ほのかな塩味がアクセントになっている。余韻が長く続くのも特徴。アペリティフとして飲むほか、鶏肉、貝類(カキやムール貝)、白身魚と合わせるのもおすすめ。

「ホワイトヘイヴン グレッグ ソーヴィニヨン・ブラン 2020」
WHITEHAVEN MARLBOROUGH GREG SAUVIGNON BLANC 2020
地域:マールボロ
スタイル:白・辛口
品種:ソーヴィニヨン・ブラン 100%
参考小売価格:5610円(税込)

ホワイトヘイヴン マールボロ ピノ・ノワール

数々のワイン批評家や、マスター・オブ・ワイン(Masters of Wine:MW)から高い評価を受けている1本。果実由来の滑らかなテクスチャーと熟したプラムの風味、フレンチオーク由来のスパイスや味わいが融合している。ラムや鹿のジビエ料理、キノコ料理などと良く合う。

「ホワイトヘイヴン ピノ・ノワール 2017」
Whitehaven Pinot Noir 2017
地域:マールボロ
スタイル:赤・ミディアムボディ
品種:ピノ・ノワール 100%
参考小売価格:6050円(税込)

【今知っておきたいニュージーランドのワイナリー】
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About the author /  鵜沢 シズカ
鵜沢 シズカ

J.S.A.ワインエキスパート。米フロリダ州で日本酒の販売に携わっている間に、浮気心で手を出したワインに魅了される。英語や販売・営業経験を活かしながら、ワインの魅力を伝えられたら幸せ