コラム

ボデガス・アタラヤ|ガルナッチャ・ティントレラが生み出す濃厚な味わいと驚異のコスパで注目! ~解説:スペインのワイナリー

ワインづくりにおいて長い歴史を持つスペイン。その伝統を守りながら、新しいチャレンジでスペインのワイン界に新風を巻き起こす生産者も多く存在する。その代表格が、ミゲル・ヒル(ミゲール・ジル)氏が指揮を執る、ヒル・ファミリー・グループ(Gil Family Estates)だ。

そのグループを構成するワイナリーの1つに、ボデガス・アタラヤ(Bodegas Atalaya)がある。ガルナッチャ・ティントレラを使用したワインは、非常に濃厚でまろやか。ワイン雑誌でも高く評価されており、高品質ながら低価格で提供するワインは、抜群のコストパフォーマンスを誇る。

ボデガス・アタラヤとは

ボデガス・アタラヤは、スペイン南東部アルバセテ州にあるDO(Denominacion de Origen、原産地呼称)アルマンサに位置する。アルマンサは、他のDOと比べると知名度が低く、マイナーな産地だ。しかし、ボデガス・アタラヤはアルマンサの固有品種であるガルナッチャ・ティントレラを使用して、非常に濃厚で品質の高い赤ワインを生産しており、注目を集めている。

ヒル・ファミリー・グループを構成するワイナリー

ボデガス・アタラヤは、ミゲル・ヒル氏が率いるヒル・ファミリー・グループ(Gil Family Estate)を構成するワイナリーの1つだ。グループには、高級ワインとして注目を集める「エル・ニド」のつくり手、ボデガス・エル・ニドなどがある。

ミゲル・ヒル氏は、固有品種があること、樹齢が古いこと、マイナーなアペラシオンであることを念頭におき、さまざまなワイナリーを立ち上げている。その基準をクリアし、ガルナッチャ・ティントレラという固有品種に適したアルマンサに設立されたのが、ボデガス・アタラヤだ。

ワイナリーはアルマンサの町からおよそ3km北に位置し、畑は3カ所で計100haほどを所有する。全て標高900mほどの高い場所にあるため、日差しが強く、日中は気温が上がるが、夜は気温が下がり、昼夜の寒暖差が大きい。そのため、ぶどうがゆっくり熟成し、深みのある味わいが生まれる。土壌は、白亜質で石灰石が多い。

畑では、ガルナッチャとプティ・ブーシェの交配で生まれたガルナッチャ・ティントレラやモナストレルを栽培している。ガルナッチャ・ティントレラは、栽培や醸造が難しいだけでなく、珍しい品種であり、果皮、果肉、果汁の全てが赤い。成熟の速度が遅い品種だが、気候の影響により成熟がさらにゆっくり進むため、深みのある味わいとなる。ボデガス・アタラヤは、そうしたガルナッチャ・ティントレラの特徴を生かした、とても濃厚でまろやかなワインをつくっている。

ボデガス・アタラヤのワイン

ボデガス・アタラヤのぶどう栽培は、アルマンサで生まれ育ち、土地を熟知しているペペ・サイフ氏が担当。醸造は、ワインメーカーのフランク・ゴンザレス氏が管理している。

サイフ氏が指揮を執るボデガス・アタラヤのぶどう栽培は、自然をうまく利用し、かつ自然に優しい栽培方法が採られている。ぶどうの樹と樹の間隔を広めにとり、それぞれの樹が日光と水分を十分に得られるようにしたり、有機肥料を使用したりしている。さらに、ぶどう畑の標高が高く害虫がいないため、防虫剤はほとんど使用しないという。

ワインは、ゴンザレス氏の管理の下、ガルナッチャ・ティントレラを主体とした3種のブランドをつくっている。スタンダードクラスの「ラヤ」、ミドルクラスの「ラ・アタラヤ・デル・カミーノ」、最高クラスの「アラヤ・ティエラ」は、どれも濃い色を持ち、口当たりがまろやかで、濃厚な味わいが特徴のワインに仕上がっている。

おすすめワイン3選

アタラヤの固有品種ガルナッチャ・ティントレラを使用し、まろやかで濃厚な味わいのワインを生み出すボデガス・アタラヤ。代表的な3種のワインを紹介する。

ボデガス・アタラヤ ラヤ

ガルナッチャ・ティントレラ70%とモナストレル30%をブレンドした赤ワイン。モナストレルとブレンドすることで飲みやすさを生み出している。平均樹齢25年以上のぶどうを手摘みで収穫し、フレンチオークの新樽で4カ月間熟成させている。ノンフィルター、ノンファイニングで瓶詰め。色は深いチェリーレッドで、熟した果実の中にフローラルを感じるエレガントで複雑な香りを持つ。濃厚な果実味としっかとしたタンニンで、力強く飲み応えのあるワイン。

ぶどう品種:ガルナッチャ・ティントレラ70%、モナストレル30%
味わい:赤・フルボディ
参考小売価格:1650円(税込)

ボデガス・アタラヤ ラ・アタラヤ・デル・カミーノ

ガルナッチャ・ティントレラとモナストレルをブレンドした、ワイナリーを代表する赤ワイン。樹齢40年以上のぶどうを手摘みで収穫し、フレンチオークの新樽で12カ月間熟成させている。ノンフィルター、ノンファイニングで瓶詰め。生き生きとした紫色の外観で、チェリーやプラムの香りの中にペッパーを感じる。非常にバランスのとれた味わいのワイン。

ぶどう品種:ガルナッチャ・ティントレラ85%、モナストレル15%
味わい:赤・フルボディ
参考小売価格:3300円(税込)

ボデガス・アタラヤ アラヤ・ティエラ

ワイナリー最高峰のワイン。ガルナッチャ・ティントレラ100%の赤ワインで、その特徴が全て詰まったワインと評されている。フレンチオークとアメリカンオークの新樽で15カ月間熟成させている。ノンフィルター、ノンファイニングで瓶詰め。色はチェリーレッド。黒い果実やミネラルなどの、複雑な香りを楽しめる。力強さと、熟された絹のような滑らかな味わいを併せ持つワイン。

ぶどう品種:ガルナッチャ・ティントレラ100%
味わい:赤・フルボディ
参考小売価格:5940円(税込)

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