カンガスの気候・風土
カンガスはスペイン北部、アストゥリアス州東側に位置するワイン産地だ。アストゥリアスにはD.Oがなく、VCのカンガスが唯一のワイン生産地域となる。
スペイン北部の気候は概ね冷涼で雨が多いが、カンタブリア山脈とカンタブリア海に挟まれた地形が、夏の乾燥と気温の高低といったミクロクリマ(局所的な気候)を生み出している。土壌は無煙炭や粘板岩などが混ざったもの。斜面を利用してつくられたぶどう畑には樹齢100年以上のものも残されている。
カンガスのワインの特徴
カンガスでは古くからワインづくりが行われていたが、ワインよりもシードルの産地として知られていた。
現在稼働中のぶどう畑は100haほどと非常に規模が小さい。しかし、小さいながらも近年カンガスワインのクオリティは上昇している。VCの実績を5年以上保持する産地はD.O認定の申請ができることから、カンガスのDO昇格も時間の問題だろう。
カラスキン(カラスクアン)やベルデホ・ネグロなどの土着品種を使用した赤ワインはワイルドベリーやスパイスを感じさせるミディアムボディが多く、白ワインは柑橘系を思わせるフレッシュな味わいのものが多い。
エピソード
カンガスを挟むカンタブリア山脈のアストゥリアス州東部側はピコス・デ・エウローパ(「ヨーロッパの頂」の意)と呼ばれる。最高峰は標高2,648mのトレセレド山で、長く美しい海岸線の砂浜はリゾート地となっている。スペイン中南部に比べて気候が様々に変化することから、エスパーニャ・ベルデ(緑のスペイン)の愛称で呼ばれ親しまれている。
生産規模が小さいため海外市場への流通はほとんどない。しかし近年では、究極のワインづくりを求めて技術の高い生産者が畑を所有するなど、新しい動きもみられる。
VCの規制にとらわれない自由なワインづくりが行われており、非常にクオリティの高いヴィノ・デ・メサ(テーブルワイン)もある。格付けにとらわれないワイン選びができる、注目の地域といえる。
カンガスの代表的なワイン
コリアス・ギルファ
ドミニオ・デル・ウロガリョ(ヴィノ・デ・メサ)ペシコ・ティント