ノース・コースト

ソノマワインの特徴とは

   

ナパ・バレーと並ぶ、カリフォルニアを代表するプレミアムワインの産地、ソノマ。ナパ・バレーの2倍ほどの面積があり、550を超えるワイナリーが存在している。ヴィンヤードのオーナー数は1800以上で、80%が40ha以下、40%が8ha以下で、小規模な家族経営のところが多い。

ソノマでのワインづくりは1800年代初頭にアザラシの毛皮を求めてやって来たロシアからの入植者が、ソノマ・コーストでワイン用のぶどうを栽培したのが始まりとされている。

そんなソノマワインの特徴を見ていこう。

ソノマの気候・風土

ソノマ・カウンティは、サンフランシスコから、北に車を1時間ほど走らせたところに位置している。東に伸びるマヤカマス山脈の向こうには、ナパ・バレーのあるナパ・カウンティが広がっている。

土壌は非常に多様で、その種類は30以上。カリフォルニア州では珍しい石灰岩の土壌もあり、最適だと言われるピノ・ノワールの栽培も盛んだ。複雑な地形がマイクロ・クライメイト(微気候)を生み、多様なテロワールをつくり上げる。ソノマの多くのつくり手たちは、そのテロワールを反映させたワインづくりを追求している。

ソノマの西側は太平洋に面しており、冷たい海風や霧の影響を強く受けるのだが、複雑な地形なので海からの距離だけでは影響の度合いは測れない。複雑な地形を生み出しているのが、ソノマ・カウンティを縦断するサンアンドレアス断層だ。太平洋プレートと北アメリカプレートの境界には、小さな山脈があり、海からの風の流れを変えている。

夕方になると海からの霧が入り込み、日中に上がった気温をグッと下げ、大きな寒暖差が生まれる。内陸部に行くほど、海からの影響は少なくなるため温暖。また、海岸山脈が途切れるペタルマ・ギャップは、太平洋からサンパブロ湾に風が吹き抜ける通り道になっているため冷涼だ。サンパブロ湾はソノマの南に位置しており、湾からの海風が内陸(北)に向かって吹き込むので、北に行くほど温暖になる。

加えて、夕方から午前中まで当地に留まる霧の影響で、日中の気温の上がり方が遅く、気温のピーク時間は2~3時間程度だ。夏場でも比較的冷涼な時間帯が長いため、ぶどうはゆっくりと時間をかけて成熟し、きれいな酸を携える。

ソノマの代表的な産地

ソノマ・カウンティには、現在18のAVAと申請中のAVAが1つある。その中でも代表的な産地を見ていこう。

フォート・ロス・シービュー

2012年1月に設立されたAVA。太平洋側にあり、海の影響を受ける上に標高が高く、ソノマ・カウンティの他のエリアと比べて日中の気温が低い冷涼なエリアだ。

標高の高さゆえに、ワインづくりの環境は過酷。AVA内には5つしかワイナリーはないが、良質なピノ・ノワールやシャルドネが栽培されており、最近ではシラーの評判も高い。ヴィンヤードの中には、霧が上がってこないほど標高の高い場所にあるものもある。

ロシアン・リバー・バレー

エリアの中心を流れるロシアン・リバー沿いと丘陵地帯に畑が広がる。土壌は主に粗い土が加わった粘土質土壌。気候は冷涼だ。シャルドネやピノ・ノワールの栽培に適している。

>>ロシアン・リバー・バレーワインの特徴とは

ドライ・クリーク・バレー

比較的温暖なエリア。複雑な地形があり、夜中から朝にかけて発生する霧や日中の日照、夕方に吹き込む冷風の影響により、実に多様なテロワールが存在する。凝縮感のあるジンファンデルとカベルネ・ソーヴィニヨン、ソーヴィニヨン・ブランに対する評価が高い。

>>ドライ・クリーク・バレーワインの特徴とは

アレキサンダー・バレー

ソノマの中では最も北に位置し、比較的暖かい土地。カベルネ・ソーヴィニヨンの産地として世界的にも評価が高い。カベルネ・ソーヴィニヨンの他にも、ジンファンデル、メルロー、シャルドネなどが栽培されており、複雑で凝縮した味わいのワインが生まれている。

>>アレクサンダー・バレーワインの特徴とは

(新設予定)ウェスト・ソノマ・コースト

ウェスト・ソノマ・コーストは、新たなAVAとして申請中のエリアだ。太平洋にとても近く、標高が高い。土壌はさまざまな土が混じり合って複雑だ。険しい斜面にレッドウッド(セコイア)の森が広がっており、畑を切り開くのが大変な環境だが、良いぶどうができる。

ウェスト・ソノマ・コーストは、現在はソノマ・コーストAVAに該当しているが、山が険しく、気候や土地の個性が異なるこのエリアでは、他のエリアと個性の異なるワインが生まれる。

>>日本人ワインメーカーが語る、カリフォルニア注目の産地「ウェスト・ソノマ・コースト」 ~CWIウェビナー:Behind The Wines

その他のソノマ・カウンティのワイン産地

・カーネロス
・ムーン・マウンテン
・ソノマ・バレー
・ベネット・バレー
・パイン・マウンテン・クローバーデール・ピーク
・ナイツ・バレー
・チョーク・ヒル
・ロックパイル
・グリーン・バレー
・ソノマ・コースト
・ノーザン・ソノマ
・ファウンテン・グローブ
・ペタルマ・ギャップ
・ソノマ・マウンテン

ソノマの代表品種

ソノマ・カウンティでは、60種類を超える品種が栽培されている。

冷涼な地域でつくられる、ピノ・ノワールやシャルドネが人気だ。温暖な地域では、カベルネ・ソーヴィニヨンやジンファンデルが長年、高い評価を得ている。

ソノマのエピソード

ソノマ・カウンティはアメリカの中で最も古くからぶどうが栽培されていた土地だ。アザラシの毛皮を獲りにアメリカ大陸へやってきたロシア人入植者がぶどう栽培をスタートし、続いてスペイン人宣教師がぶどう栽培に着手した。1857年にはカリフォルニア最古のワイナリー「ブエナ・ヴィスタ・ワイナリー」が創業している。

>>“カリフォルニアワイン産業の父”の精神を受け継ぐ「ブエナ・ヴィスタ・ワイナリー」 ~カリフォルニアワイン産地 バーチャルツアー

アメリカで1920年から1930年代初頭まで施行された禁酒法により、カリフォルニア全体で700あったワイナリーの多くが廃業を余儀なくされ、ソノマ・カウンティでも50程度にまで減少した。その影響は大きく、禁酒法が撤廃されても、ワイン産業が完全に息を吹き返すまでには長い年月が必要だった。復興のきっかけとなった出来事の1つが第二次世界大戦だ。フランスからワインが入らなくなり、バルクワインを中心にワイン産業が栄えた。戦後、その勢いは落ちるのだが、ソノマ・カウンティの生産者たちはワイン産業の再建に努めた。そして、1976年の「パリ・テイスティング(パリスの審判)」により、カリフォルニアワインへの注目が高まると、80年代にはさらにぶどう栽培が盛んになり、醸造技術の発展により質も高まっていった。

長い歴史を持つヴィンヤードの多いソノマでは、近年、「良質な土壌づくりには長い年月が必要」と、カウンティ内の全てのぶどう畑に対して、サステナブル認証を取得する動きが進められている。

ソノマの代表的なワイン

フランシス・フォード・コッポラ・ワイナリー ディレクターズ・カット カベルネ・ソーヴィニヨン
ブエナ・ヴィスタ・ソノマ・ジンファンデル
リッジ ガイザーヴィル
フェイラ シラー エステート ヴィンヤード フォート・ロス-シーヴュー
フライ・ブラザーズ ジンファンデル
フラワーズ・ピノ・ノワール ソノマ・コースト
フリーマン 涼風シャルドネ

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