アルザスの気候・風土
アルザス(Alsace)はフランス北東部、ドイツ・スイスとの国境付近に位置する。ライン川とヴォージュ山脈に囲まれた、南北におよそ100kmにわたって広がる地域でぶどうの栽培が進められている。
アルザスの気候は、ヴォージュ山脈が雨雲を止めてくれることから年間雨量が極めて少なく、日射量が多い。標高が高いことから寒暖の差が激しい気候条件になっていて、ぶどうの成長はフランスの他の産地と比べて遅め。ぶどうの収穫もやや遅い時期になっている。
このあたりは5000万年前、地層に亀裂が入った影響から、場所によってさまざまな土壌が見られる。
栽培されている主な品種は、リースリング、ケヴュルツトラミネール、ミュスカ、ピノ・グリ。他にもシルヴァネール、ピノ・ブラン、ピノ・ノワール、シャスラ、クレヴネル・ド・ハイリゲンシュタインなどがつくられている。
多くのワインが1品種を使ってつくられ、使用するぶどうの品種など、ドイツワインとの類似点が多い。
アルザスのワインの特徴
アルザス産のワインは、背の高いフルート・タイプの瓶の使用が義務付けられている。暗めの緑色をした特徴的な瓶だ。
アルザスでつくられるワインの90%以上は白ワインで、その味わいは、繊細で華やかな香りを感じることができる。また使用する品種により味わいが異なるところもあり、各品種の違いを楽しむことができる。
一押しのワイナリー/当たり年
アルザス(Alsace)の生産者のうち、各方面にて高い評価を得ている作り手として、フロノルツ(Fronholz)、ドメーヌ・オステルタグ(Domaine Ostertag)、ジョス・メイヤー(Josmeyer)、ヒューゲル(Hugel)、ドップ・オ・ムーラン(Dopff au Moulin)、レオン・ベイエール(Leon Beyer)、マルセル・ダイス(Marcel Deiss)、マルク・クライドゥンヴァイス(Marc Kreydenweiss)、ローラン・シュミット(Roland Schmitt)、アルベール・マヌ(Albert Mann)、ロリ=ガスマヌ、ドメーヌ・ショフィット(Domaine Schoffit)、ドメーヌ・シュルンベルジェ(Domaine Schlumberger)、ドメーヌ・トリンバック(Domaine Trimbach)、シャルル・シュルレ(Charles Schleret)、クゥエンツ=バ、ドメーヌ・リーフレ(Domaine Riefle)、ドメーヌ・ヴァインバック(Domaine Weinbach)、ジント・フムブレヒト(Zind Humbrecht)などが挙げられる。
アルザスのワインは、2008年、2007年、2001年、2000年、1998年、1994年、1990年の出来が良いと評価されている。
1000~3000円までの手に取りやすい価格のものが多く、幅広い値段にて販売されている。
エピソード
アルザスで栽培される代表的なぶどう品種の1つ、リースリングはライン渓谷が発祥の地。ライン川沿いで盛んに栽培されている。ドイツ語で「流れる」という意味を持つriesenが語源だ。
ローマ時代から栽培が始まり、9世紀に入り、東フランク王国のルートヴィッヒ2世がライン川の沿岸で栽培するように命じたと伝えられている。
ただ、アルザスでリースリングが植えられるようになったのは、それからしばらく経った15世紀末から。広く栽培されるようになったのは19世紀後半からで、1960年代以降にはアルザスで栽培面積が一番多い品種になっている。
アルザスの代表的なワイン
アルザス ピノ・ノワール
アルザス ゲヴェルツトラミネール
アルザス リースリング