ニューワールド・ワインの先駆け的存在であり、世界のワイン市場でも質・量共に重要な役割を果たすオーストラリア。ぶどう産地は比較的冷涼な南部の沿岸に多く位置し、一部は国際コンクールなどに入賞するほどの特筆すべき高レベルなワインを産出する。

そんなオーストラリアの西部、西オーストラリア州では、州都パースの周辺およびインド洋・南大洋に近い土地にワイン産地を多く有する。一部の産地では100をゆうに超えるワイナリーを擁し、ボルドーに似た気候を生かしたワイン作りが行われている。

ぶどう品種としては、カベルネ・ソーヴィニヨンやメルロ、シラーズを使用したパワフルな赤ワイン、シャルドネやシュナン・ブランを使用した味わい深い白ワインなどが多い。また冷涼な地域では高品質のピノ・ノワールやリースリングなども栽培されている。

【西オーストラリア州の主な産地】

<ブラックウッド・ヴァレー>
ブラックウッド・リバーに沿って広がる産地だ。カベルネ・ソーヴィニヨンやシラーズの赤、ソーヴィニヨン・ブランとセミヨンの白がメインに作られる。

<ジオグラフ>
大陸の南西、インド洋に接する位置のジオグラフ湾に由来して名付けられたワイン産地。有名なマーガレット・リバーと似た土壌を有する。南大洋の冷風が影響しない土地のため、温暖な気候を生かしたパワフルな赤や芳醇な白を産出する。

<グレート・サザン>
西オーストラリア州南部に広がる広大なワイン産地。土地は乾燥しているが、幾つかの川によって用水を確保している。リースリングの白が有名で、ピノ・ノワールにも定評がある。

<マンジマップ>
ブラックウッド・リバー沿いに広がるワイン産地で、インド洋、南大洋からの海風と大陸性気候の両方の影響を受ける。かつてはピノ・ノワールに重点が置かれた時期もあったが、現在はカベルネやシラーズ、シャルドネがメインだ。

<マーガレット・リバー>
オーストラリアを代表する銘醸地のひとつで、西オーストラリア州では最も有名な産地だ。ヨーロッパの伝統を尊重したワイン作りをしており、カベルネとメルロ、シラーズの赤と、ソーヴィニヨン・ブラン&セミヨンの白ワインが有名だ。150を超えるワイナリーが軒を連ね、歴史の深いワイナリーもある。

<ピール>
パースから少し内陸に入ったあたりに広がる産地だ。日光量の多い産地でよく育つぶどうが栽培され、定番ぶどうの他、マルベックやムールヴェードル、シュナン・ブランなども栽培されパワフルなワインが醸造される。

<ペムバートン>
西オーストラリア州南端の沿岸から20キロほど内陸に位置する産地で、南大洋から吹きつける冷風を生かし良質なピノ・ノワールを栽培する。シャルドネの栽培も盛んで、繊細な風味を生かしたエレガントなワインを醸造している。

<パース・ヒルズ>
パースから内陸に入ったあたりに南北に広がるワイン産地。歴史のある産地だが、ワイナリーは少なく規模も小さい。フルボディの赤と酒精強化ワインをメインに醸造している。

<スワン・ヴァレー>
パースのすぐ北に位置するスワン・ヴァレーでは、シュナン・ブランやシャルドネ、ヴェルデホを使った白ワインが有名。また、シラーズやカベルネ・ソーヴィニヨンを使用したパワフルな赤もある。「フード・アンド・ワイン・トレイル」というグルメ街道に観光客が訪れる。